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掌編小説【転校生】♯毎週ショートショートnote

お題「理科室まがった」

【転校生】(410文字)

クラス替えと同時に、一人の男の子が転校してきた。
「須藤翔です」
彼は自己紹介で名前しか言わなかった。でもそれが私には小気味よかった。趣味や特技を伝えたところで、その人の何がわかるの?いつもそう感じていたから。

須藤君は勉強がよくできた。でも誰とでも気さくに接するので、すんなりとクラスに溶け込んだ。まるで水みたいに。
ある日、須藤君が私に話しかけてきた。
「放課後、理科室まがった所で待ってて」
え?なんの用?まさか告白?あり得ない。でも…。私はどきどきしながら理科室に向かった。
理科室を曲がって気づいたが、ここは死角になっていて外からは見えない。
「須藤…くん?」
振り向いた須藤君は全身が白く光っていた。眩しい。でも、それは確かに須藤君だった。

「君が僕と来れば世界は救われる。僕と来る?」
何を言っているのかわからない。でも問い直してはいけない事はわかった。
「あなたとなら、行くわ」
須藤君が微笑んだのがわかった。
私は彼と闇に消えた。


おわり

(2023/3/20 作)

『たらはかに』様の3/19~3/26のイベントに参加させていただきました☆
オチらしいオチのない、SFもどきの学園モノもどき…(;・∀・)

イメージは、なんとな~く『『なぞの転校生』とか『ターミネーター』でしょうか。…古い。

おもしろい!と思っていただける記事があれば、サポートはありがたく受け取らせていただきます。創作活動のための心の糧とさせていただきます☆