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掌編小説【ぱちん】♯毎週ショートショートnote

お題「宝くじ」「魔法学校」

【ぱちん】(410文字)

母のグチが止まないので、うんざりして僕は言った。
「むしろ、運がよかったんだよ」
とはいえ、入試に全敗した僕がようやく入ることができたのが、『宝くじ魔法学校』なのだから母の嘆きもわからないではない。
「そもそも魔法学校ってなによ」
「知らないよ。宝くじ買ったら入学券が当たったんだ」
魔法なんかで食べていけるわけがない…お前はいつも考えなしだから…云々かんぬん。母のグチは続いたので僕は耳を塞ぎ、さっさと入学のために家を出た。

正月に帰省した時、母が再びグチをこぼし始めたので僕は言った。
「ミ」
そして母に向かって指を鳴らした。ぱちん。
母が目をシロクロさせている。しかし再び口を開いてグチを言おうとする。僕は再び指を鳴らして言う。
「ミ」
何度か繰り返しているうちに母の口がグミでいっぱいになる。もぐもぐ。
「グチを言うとグミに変えるよ」
母は何か叫ぼうとするが、口の中からグミがあふれて何も言えない。

「魔法でも食べていけそうだよ、かあさん」


おわり 

(2023/1/1 作)

あけましておめでとうございます。
今年も、上記の『たらはかに』様の1/1~1/7のイベントに参加させていただきました☆
のっけから難しいお題…(;・∀・)
しかし一年の計は元旦にありと申しますから、なにか一つ書こう!と思ってがんばりました~。
でもがんばりすぎるのは好きじゃないのでー、ゆるゆる楽しみます☆
みなさま、今年もよろしくお願いいたしまーす。

おもしろい!と思っていただける記事があれば、サポートはありがたく受け取らせていただきます。創作活動のための心の糧とさせていただきます☆