SS【規約違反】♯毎週ショートショートnote

お題「名を自動転売鬼」

※このお話は表お題「顔自動販売機」【冒険心】の老女のその後のお話ですが、これだけ読んでもまぁまぁわかりますー

【規約違反】(410文字)

私は冒険心に富んだ百歳の老女である。
規約違反のせいでタイムマシン屋からは、今後おひとりさまお断りと言われてしまった(自販機で購入した顔は一日で消えたのに)。

しかし私はもう一度五十年後に行きたかった。
帰り際にチラッと見ただけだが『君の名を自動転売鬼ヶ島はこちら』と書かれた看板があり、意味不明すぎてずっと気になっているのだ。

私は同行者として、かれこれ九十五年間私に片思いしている幼馴染の桃太郎を誘った。
「鬼ヶ島といえば桃太郎でしょ？」
いそいそと付いてきた彼に、私は例の看板を見せた。
「どう思う？」
「その辺の人に聞いてみるか」
「未来の人と話しちゃいけないのよ」
実はタイムマシンには規約がいろいろあった。
「あなた桃太郎なんだからちょっと行って見て来てよ」

「お客さま！同行者の方のお名前が？！」
「転売されて金太郎になっちゃって…」

未来では売るのも禁止ですと怒られた。
でも冒険心に富んだ老女は後悔しない。金太郎になってもお友達よ。

おわり　　

(2023/6/7 作)

『たらはかに』様の6/4～6/10のイベントに参加させていただきました☆
今回は裏お題ですー。
百歳超えたらやりたい放題かなぁと勝手に想像して楽しみにしています…
(*´ω`*)ふふ