SS【星めくり】#シロクマ文芸部

お題「月めくり」から始まる物語

【星めくり】(440文字)

月めくりにしようか日めくりにしようか。
毎年この時期にはカレンダー選びで迷う。

でも今、目の前にあるのは星めくり。
袋にはそう書いてある。
星めくりってなんですか？
お店の人に聞いてみたが首をひねる。
そんなの仕入れたかしら…誰かが置いていったのかも。
よかったら差し上げます。

そう言われたから、受け取ってしまった。
断るべきだったかもしれない。
星めくりだなんて、使い方のわからないものを。
そもそもカレンダーなのかどうかも怪しいのに。

袋から出すと、大きな紙一面に星空。
星のひとつひとつには切り込みが入っている。
アドベントカレンダーなのかな。
でも月も日も書いてない。
どこがゴールなのかもわからない。

なにかめくってみようか…
めくることで始まるのかもしれない。
星たちが妖しく瞬いて私をまねく。

わたしは手を伸ばし、星をひとつ、めくる。

・・・

星めくりってなんですか？
お店の人に聞いてみたが首をひねる。
そんなの仕入れたかしら…誰かが置いていったのかも。
よかったら差し上げます。

今日もまた、だれかが星になる。

おわり

(2023/10/1 作)

小牧幸助さんの『シロクマ文芸部』イベントに参加させていただきました。
カレンダーは、いただきもので済ます派です(;・∀・)
そして怪しいものには手を出さない派です…