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「愛がなんだ」

見てしまったよ〜ついに。
ずっっっっと気になりつつ、でもみる勇気が出ず、今日まで引っ張りに引っ張りましたが、407円払ってみました。
Amazonプライムよありがとう。

みる勇気がずっと出なかったのは、怖かったからだ。

誰かの失敗や恥ずかしいシーンを目の当たりにした時、まるで自分の失敗のように感じてしまう感情のことを、共感性羞恥、というらしい。

芸能人にドッキリをしかけたりする番組を、辛くて見ていられないという人は多いと聞いたことがある。

私の場合、誰かの恥ずかしいシーンとか失敗にその感情を抱くことはほぼほぼない。
ドッキリ番組も、なにも考えず大笑いできてしまうタイプである。

ただ、恋愛ごとや人間関係のこじれ、自分対他人の問題に関しては、過剰に共感性羞恥を感じてしまう。
あるコミュニティに自分だけが馴染めない、とか、私を下に貶めて笑いをとろうとする雰囲気が蔓延している、とか、そういう話は聞くだけで苦しい。
特に恋愛が絡むとほんとうに良くない。
過去に、恋愛の最後の方がもつれにもつれて死ぬほどみっともないくそったれな自分になってしまったことがあった。
わたしは大事にされてるされてないとか、執着がどうのこうのとか、振り返ると全てが恥ずかしい。なので、映画やドラマやなんかでそんな感情を追体験するのは、過去のみっともない自分を見せつけられているようでとても苦しいのだ。

「愛がなんだ」の予告動画を見た時に、たったその数十秒で、あー、きっとテルコは私なんだなあと確信した。

偶然出会った男の子・マモちゃんのことが好きで好きでたまらなくて、マモちゃんのためならば他の全てを投げ打って走り出せる。
それでも、マモちゃんはテルコの恋人ではないし、自分勝手にテルコを拒否するし、大事にしないし、スミレさんという歳上の女の人が好きだ。
テルコの友達の葉子。葉子のことが好きで好きでたまらないナカハラくん。

どの人物に自分は1番近いんだろうか、と考えると、間違いなくテルコで。
好きで好きで好きでたまらない人に好きになってもらえない、テルコなのだ。

映画を見たら、テルコの痛々しさにきっと死にたくなるんだろうなぁ、とずっと思っていた。
観賞後の後味の悪さを勝手に予想して、遠ざけていた。
でも、気になって気になって仕方がなくて、ついにパンドラの箱を開けたのが、今日だった。

テルコは、たしかに正直とても痛々しく、なんなら怖かった。
マモちゃんがすみれさんに会うためのダシにテルコを呼び出しても、必ず会いに行く。そこにマモちゃんがいるから。たとえ利用する-されるの関係でも、繋がっていられるから。
なんでそこまでできるねん、と呆れてしまうくらいにまっすぐすぎた。
そして、あまりにもまっすぐすぎたからか、見ていて死にたくはならなかった。
だって、テルコ本人が全然死にそうじゃなかったから。
落ち込んでもばくばく食べる。死んだらもうマモちゃんに会えないから、死にたいなんてこれっぽっちも思わない。
マモちゃんと繋がり続けたいという鋼の願望が、テルコを貫いている。

それが愛の形として正しいとか正しくないとかは、テルコにはもう関係なかった。
マモちゃんと繋がっていられれば、正しくなくたっていい。

テルコは最後まで痛い女の子だったし、人生全て投げ打ってなんでそんなクズみたいな男のために一生懸命でいられるのかは、わたしにはわからない。
でも、テルコ本人がそれでいいと思っているから、きっとそれでいいんだと思う。

この映画を見れば、「愛」がどういうものなのかわかるような気がしていた。
でもちょっと違った。

恥ずかしくたって痛くたって悲しくたって、テルコがそうしたいからテルコ的にはそれでオールオッケーなのだ。
周りから、友達から、そして物語をそっと覗いている"私"から、それは健全で正しい愛ではない、と思われていたとしても。
そもそも愛に正しいとか間違ってるとか、◯×をつけることはできない。

ただ人間臭くて、各々みっともなく必死な、そして極めて個人的な恋愛を切り取って、よく言葉で使われるわりにどこか抽象的でつかみどころのない"愛"を見せてくれた映画だった。

辛くたって苦しくたって、やめられないとめられない、な人たちがいるんだなぁ。
人間臭くて、みっともなくて、最高だった。

恋愛関係を含む人間関係にとても苦手意識があるわたしは、もしかしたら形とか正しさか世間体にこだわりすぎていたのだろうか。ちょっとよく考えたい。
みっともなくたっていいのよねきっと。
ていうかみっともないことが悪いみたいな言い方してるけど、そもそも良いとか悪いとかないんだね、誰にどうこう言われたって。一昨年くらい前の失恋したての私に会いにいって言ってやりたい。良いか悪いかは別として立派にがむしゃらでみっともなかったぞって。

でも、やめられなくてとめられないくらいに好きな人がいるということは、素直にとてもすごいことだな、と思う、そんな夜でした。

もはやまとめる気のない、殴り書きになってしまった!

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