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幻のプリン

突然ですが、私はちょっと周りに呆れられるくらいの、大のプリン好きです。

何かといえばプリンプリン、甘いものといえばプリン、何かにつけてプリンプリンプリン。
カメラロールにはいろんなお店のいろんなプリンの色んな写真がドカドカ出てくる。

プリンの味はもちろんなんだけども、プリンのあのどこか懐かしい佇まい、ころんとしたかわいいフォルム、プリンという名前ですら、愛おしくてたまらないわけです。

「プリン」ってカタカナ表記が多いですが、たまにメニュー表で見かける、ひらがなでささっと手書きされてる「ぷりん」もとても好き。

ふわふわとろとろのプリンも焼きプリンも大好きだけど、やっぱり一番は喫茶店のしっかり硬めプリン。
(絶対に硬め"風"ではない、ちゃんとしたやつ)

なによりも、スプーンをプリンの横っ腹にそっと差し入れる、あの瞬間...!
(思わず息を止めてしまうあのどきどきは、子どもの時わくわくしながらぷっちんプリンをぷっちん!する時の気持ちと似てる気がする。)

そして、お店の数が相対的に多い東京は、魅惑的なプリンのお店も、やっぱりとても多いところなのでした。

なので、札幌に戻ることが決まった時につくった「帰るまでにやりたいことリスト」には、「東京のぷりんを食べ尽くす!!」もしっかりリストアップされていた。

本屋で食い入るように見つめたプリン特集。
何度検索したかわからない「プリン 東京」。
インスタの「#プリン」も強い味方。(ハッシュタグってほんと便利なんだね)

プリン発掘に情熱を燃やしていた三月、東京に遊びにきていた少し歳の離れた友達が、新橋のとあるお店を教えてくれた。

「今日の帰りに、寄ってったらいいんじゃない?」

東京駅、彼が乗る空港行きのバスの停留所まで歩きながら、そう薦められる。
私たち2人ともが好きなモデルさん、あっこちゃんこと菊池亜希子さんもお気に入りのお店らしい。



あっこちゃんの喫茶店本「好きよ、喫茶店」にも掲載されている、「喫茶 ヘッケルン」というお店。
他に掲載されてるお店も、どれもうっとりするほど素敵です。全制覇が夢。
あととにかくあっこちゃんが可愛い。イラストまで可愛い。
あっこちゃんみたいな女の子になりたい。

話がそれた。
映画、音楽、カルチャー、そしてお店選びに関して絶対的な信頼を寄せている友のおすすめ、加えてあっこちゃんのお気に入りときたら、それはもう間違いない、彼が乗るバスを見送って、すぐにGoogle マップを開く。

東京駅からは歩いて30分ちょっと。
田舎育ちにはこれくらいなんてことないので歩くことにする、スニーカーでよかった。

歩き出して割とすぐにポツポツ、しとしと、無視して歩くには無理がある強さの雨が降ってきて、少し寒い。めげない。

何度か曲がるところを間違え、引き返したりなんだりしているうちに雨は止み、湿気で汗ばみながら細い路地を歩いて行ったところに、ようやくお目当てのお店を見つけた、「喫茶 ヘッケルン」。

1人で初めての店に入るのはそんなに苦手ではないはずなんだけど、老舗感ある佇まいに少し怯んでしまう。

いやいや、じわっと汗ばむくらいの距離歩いてわざわざきたんだから!えいやっ!とお店に入る。

いらっしゃい、の声と、こぢんまりとした、ほっとする大きさの店内。カウンターかソファの席好きなとこどうぞ、とのことで、迷わずカウンター席。
1人の時はカウンター席一択です。

きょろきょろと店内を見回すと、少し古びた張り紙の、「ジャンボプリンセット」を発見。

ああこれだこれだ、あっこちゃんが食べてたやつ。
カウンターの中にいるマスターにそっと声をかけて注文。

「ジャンボプリンセットください」

なんでか緊張して私の声は少し小さくなっちゃったけど、マスターはしっかりと目を合わせてくれて、そうだよね、あいよっ、わかったぞ、というふうに、軽く手を上げてこくんこくんと頷いてくれた。
私が声をかけるまで常連さんとおしゃべりを楽しんでいたマスターだけど、語らない職人の正直さ、みたいなのを感じた。
これはジャンボプリン、信頼できるぞ。

というか、ジャンボプリンセットっていう言葉だけで、なんだか幸せになってしまいそう。なんてったってジャンボなプリンですから。

先に珈琲が運ばれてくる。(ウェイトレスの女の人も気さくな感じで嬉しい)
少しして、ジャンボなプリンも私のもとにやってきた。

もう、惚れ惚れしてしまうような、綺麗なプリンだった。
スプーンを差し入れるのがもったいない、バシャバシャと写真を撮って、ようやく、震えながらそっとすくう。
こんなに緊張したファーストコンタクトは初めてかもしれない。スプーンが震える。ぱくりと頬張る。

少し柔らかめ、でもしっかり輪郭のある、絶妙なかたさ。
シンプルで、こだわりと潔さのある甘さ、飽きがこない、何度でも食べたいと思ってしまうプリンだった。

当たり前なんだけど、プリンは食べれば食べた分だけ減ります。
ああどんどん小さくなるじゃん、淋しい淋しい、切ないわと思うのに、手は止まらない。
こんなに大切にしたいプリンは、間違いなく、生まれて初めてだったのだ。

✳︎

しかし、このnoteのタイトル「幻のプリン」は、私が食べ進めているこのプリンではなく、同じお店で数分後に登場する、別のプリンなのです。

なんだかとっても長くなってしまった。ので、続きはまた明日にしよう。
気になってくれた方、よかったら明日も読んでみてください。

華金!

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