Kira_Brot 南ドイツでパン職人

元CGアニメーター。現在は南ドイツ在住のパン職人です。2022年製パンマイスター資格取…

Kira_Brot 南ドイツでパン職人

元CGアニメーター。現在は南ドイツ在住のパン職人です。2022年製パンマイスター資格取得。また絵を描き始めたのでポツポツ載せさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。 ※イラストは心を込めて描いております。無断での画像の転用、転載はご遠慮ください。

最近の記事

【ドイツパン職人絵ッセイ】オースターフラーデン〈前編〉

ドイツでは、復活祭は大切な祝祭日です。 特に聖金曜日(Karfreitag)、 復活祭当日(Ostersonntag)、 復活祭月曜日(Ostermontag)はドイツ全土で祝日となり バイエルンではお店もほとんど閉まります。 ここからの二週間は学校もお休みになるので、 多くの方が遠方の実家に帰省したり 親戚でゆっくり集ったりして過ごします。 日本のお正月にちょっと似ているかもしれません。 お休みに入ったら私が絶対やりたかったこと。 それは、オースターフラーデンを焼くことで

    • これもまた春/The charms of spring

      復活祭が間近に迫ってきた 三月後半。 一歩パン屋の外に出れば イースターを象徴する花、 水仙が街路樹の根元を彩り 楽しげに蝶々が舞っています。 さらに心を躍らせるのは、 窓辺を飾るうさぎの飾りや 木々にかけられた 色とりどりのイースターエッグ。 このまま春へとまっしぐら そう思いたくなりますが、 騙されてはいけません。 この季節のドイツは 天気が非常に変わりやすいもの。 長い冬を越え 霜が解け クロッカスが花開く頃から、 一度はぐんと暖かくなり クローゼットの奥のTシャツを

      • 山桜に誘われて

        三月も半ばの頃。 イースターが近づくと、 ドイツの田舎町は 一気に春めいていきます。 こぶしの花が満開の頃、 町のあちらこちらで 山桜もまた 花を開かせ始めました。 日本で桜といえば やはりソメイヨシノでしょうか。 あんなに小さな花たちが あたり一面を ピンク色に染め上げるその様は ドイツでもやはり知られていて、 一度は見てみたいものだと 仰る方にもよく出会います。 山桜の花は ソメイヨシノに比べると 少し「さりげない」印象ですが、 家々、そして木々の間にすっと佇み 白

        • こぶしの記憶

          今のパン屋で働き始めて四年半。 今年の一月、 住み慣れた古いマンションを離れ、 隣の町に引っ越してきました。 新しい部屋にはベランダがなく、 そのお陰もあってか 私達はよく外へ出ます。 幸い 自宅の周りは緑も多く、 道もくねくねバラエティ豊か。 立ち並ぶ 美しいお家を眺めるだけでも楽しくて、 歩いていて飽きません。 近頃は暖かい日も多いので、 ほぼ毎日のように お散歩するようにしています。 先週末の日曜日も 住宅街をのんびり歩いていくと、 足元には野の花が咲き始め 木々は

        【ドイツパン職人絵ッセイ】オースターフラーデン〈前編〉

          Rüblikuchen 人参のケーキ

          ドイツは今、イースターの季節です。 この時期は、街中に うさぎや卵のオーナメントが飾られます。 うさぎと言えば… そして春を連想するからでしょうか。 私の働くパン屋さんでは、 季節限定の「人参のケーキ」が 作られ始めました。 ドイツ語では Karottenkuchen(カローテンクーヘン」や Rüblikuchen(リューブリークーヘン)と 色々な呼び方があります。 私の職場では、 薄くてタルトのような形なので Rüblitarteという名前です。 生の刻んだ人参と ロース

          Rüblikuchen 人参のケーキ

          早春の使者

          謝肉祭の忙しさも一段落した日曜日、 まだ日が昇りきらない早朝に お散歩をしに外へ出ました。 住宅街の間の小道を抜け、 朝靄のかかる広い畑へ突き当たると、 大きな木の下に、 お花の絨毯が出来ていました。 感動に心躍りましたが、 まだ朝が早すぎて お花たちはまだおネムなご様子。 花弁をしっかり閉じています。 そこでお日様が空の真上に来た頃に、 もう一度同じ場所を見に行ってみると…。 お花たちは皆揃って空に向かい 満面の笑顔を見せるように咲いていました。 紫のお花と白いお花は、

          謝肉祭 Fasching

          ドイツのパン屋さんでは、謝肉祭の季節になると、クラプフェン Krapfenをそれはそれは沢山作ります。 クラプフェンというのは、中にジャムやクリームを詰めたフワフワの揚げ菓子のこと。クリームドーナツのような感じでしょうか。 ドイツでは、そこに色々トッピングもして、見た目も鮮やか。ワクワク心の踊るお菓子ですが、作るのはやっぱり大変。ふぅ、今年もこの季節を乗り越えられて、よかったよかった。