ex落語家について①
私が彼を知ったのは彼が前座だったときのこと。
師匠の会の前座で落語を演じていた。
師匠が上手い人だから弟子が上手いのは当たり前か、という感想の他に、
「あの人、なんか座布団から浮いてない?」
「いやもうなんか佇まいが可怪しいし」
「顔はいいのに、なんか妙」
頭の中に落語に集中しようという気持ちとは別の部分が
どんどん気になり落ち着かない心持ちになってきた。
そうなるともう解決策は一つ、手帳に名前を書き、覚えておこうと念じるのみ。
書かれたその名は『春太』
それから数年後、心