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立川志の太郎 定点観測

『やはり二人会というものをしてみたい。』
落語会を始めた人なら誰しも思うことを我々も考え始めていた。

前回の記事に書かせていただいた我々落語会の柱、立川談吉さんに
「二人会をしたいのですが、どなたがよろしいですか?」
と聞いたところ、即答で「志の太郎さんがいいでしょう」と返ってきた。
何度問うても「志の太郎さんがいいです。」としか言わないので、
では信じましょう。と出演依頼をしたのが立川志の太郎さんとの出会いだった。

初めて観た志の太郎さんは疲れていた。
というのも、私が見に行った前日、
国立演芸場で『立川流が好きっ!!』という公演があり、
私が見に行った上野広小路の寄席に出演していたメンバーが、
ほぼ全員出演していたため、
志の太郎さんのみならず、
みんな(国立に出演していなかった立川こしら師匠以外)が疲労困憊していた。
最早、カオス。
びっくりするぐらい誰もがグダグダだった。
しかし、そのグダグダが伝説をつくるというのが落語会というもので、
その時に、あの名作「シロサイ」が世の中に出てしまったのである。
知らない人は知らなくていい名作シロサイ。
(シロサイの前に出たから)被害を受けずにすんだ人、
その人こそが志の太郎さんであった。
振り返るとあの中でも、志の太郎さんはしっかりしていた。
疲弊はしていたが、精一杯自分を律し、ちゃんと口演していた。
私は確信した「あの人はちゃんとしている…。あの人は大事な人だ!」

志の輔師匠のお弟子さん、それを聞くだけで身震いするほど緊張したが、
初対面の志の太郎さんはとても優しく、丁寧な方だった。
その初対面の印象は今も変わっていない。
明らかにうちの落語会のグレードが上がったのは志の太郎さんのおかげだ。
的確なアドバイス、そして向上心をもって新潟の公演に向き合ってくれる。
新潟で行う小さな落語会に少しのプライドを上乗せしてくれる志の太郎さんは、いつの間にかうちの会の柱になっていた。

落語は笑わせる芸というのが一般的な認識だが、
深く知ると、聞かせる噺が本当に多いことに気付かされる。
大ネタといわれる噺のほとんどが聞かせる噺だ。
落語家は笑わせる力も必要だが、噺を進めていく技術も持ち合わせなければいけない。
志の太郎さんはどちらもバランスよく持ち合わせている。
公演をするたびにどんどん殻を破っていく、
二つ目はやっぱり面白い!
断言させてくれる、それが立川志の太郎という人だ。

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自己紹介

立川談吉さん・立川志の太郎さんを新潟県下にお招きし、「定点観測」という落語会を開催しております。次回は2019年12月、談吉さん・志の太郎さんの二人会を新潟・長岡にて開催。ゲストはナツノカモさんです。