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男性性と女性性の狭間でギャル性を追究する

先日、メイクをする機会があった。

それは僕の所属する箕輪編集室の雑誌制作の企画の一環。「ギャル」特集の1コーナーに、メンバーが実際にギャルになってみるという企画があったからだ。(なんだか「だ・である」調でこれを書いていると、ばかみたいに思えてくるので、適当に読み流してもらいたい。)

2月某日、ギャル風にメイクをして街なかで撮影をするべく、雑誌制作メンバーの一部で渋谷に集まった。

ギャルメイクをしたのは2人。僕と、被写体(モデル)として活動している沙名さんだ。この日はほかに、この特集の編集担当の志帆さん、メイク担当のMarikaさん、カメラマンのダイヤさん、そしてサポートでスガイさん、かえでくんが来てくれた。

沙名さんは自分でギャルメイクを進めていった。いままでギャルメイクなんてやったこともないそうで、かなり苦戦していた。まあ僕は苦戦するとかそんなレベルですらなかったのだけれど。

そもそもメイクなんてしたことがないどころか、化粧水すらつけたことがない。化粧品の個々の名称も、“ビューラー” と “チーク” はなんとなく知っていたけど、ほとんどわからない。そのレベルだ。やり方、施す順序など、すべてMarikaさんに手取り足取り教えてもらいながらメイクをしていった。

というか、ほぼ全部やってもらった。

とにかく言われるがままにメイクを進める。

下地?をつくり、肌色の何やらをつけ、ファンデーションを塗り、眉毛を少し整えて、アイラインを引いて、まつげを上げて、口紅と、あと、えっと......。

とにかく覚えきれないくらいの化粧品を出してくれて、それを次々と指定された場所に塗ったりつけたり引いたりしていく。

まつげを微調整してもらう。

だんだんと僕のなかの男性性が薄まっていく......。

人生初のカラーコンタクトをつけようとしたがうまくつかない。

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カラコンが......

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つかない.......。

どんなに目を開いてつけようとしても、うまくつけられなかった。

結局、コンタクト装着までもMarika先生にやってもらうことになった。

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もはや手術みたいになってきたが、コンタクトも装着でき、微調整を進めた。

この日はとにかくMarikaさんのメイク技術がすごかった。前日に自分でギャルメイクを練習して、ギャルメイクのコツを掴んできてくれていたのだ。

Marikaさん曰く、「ギャルは時間がかかる」という。

余談だが、僕の高校には「GG」と呼ばれる集団がいた。「ギャル・軍団」で通称「GG」だ。なんとも安直な呼び方だけれど、本人たちが名乗り始めたのか、周囲からだったのか、その高校のギャル代々にその呼び名が受け継がれていたのか、僕らの世代だけだったのかはわからない。(ちなみに僕が通っていたのは10年前の横浜市内の高校だ。)

呼び方は違えど、きっと県立高校出身者なら特に見覚えのあるであろう厚化粧をしたギャルたちを思い出してほしい。一目見れば、学校に来るまでに化粧に何時間もかけていることが容易にうかがえた。というか授業中も休み時間もずっと化粧をしていた。もはやすっぴんの彼女たちに会っても、まったく気づかずにすれ違えるのではないかと思うほど、化粧でお顔の原型を留めていなかったギャルも多々いた。

僕は、そんなギャルに近づくべく、ギャルとなり、ギャルの明日が見たくて奔走していた。すべてはギャル性の追究のために。

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そうして、僕らは街へ繰り出した。

僕の心はすでに女性になろうとしていた。

普段は男としてこの街を歩いてきた。しかし、そのとき思った。

「ぼくはいま、ぼくじゃない」

ぼくは元々、男性のなかでも女性的なほうだと言われたり、可愛いと言われたりすることが多かった。幼い頃からいまに至るまでずっとそうだった。幼稚園児のころなんか、“おままごと” が好きで、母親にスカートを履かされたこともある。

そんな僕は、ギャルとして、そして女性として街を歩いていた。

「僕は、こんな生き方を求めていたんじゃないか」

普通は多少なりとも羞恥心が湧くものだろう。しかし、このときの僕はすでにそんなものは超越して、女性性を楽しんでいた。冗談のようだが、かなり本気でそんなことを考えたくらいに、女性性を追究しようとしていた。

そんなガチで挑んだギャル企画が、箕輪編集室ライターチームで雑誌になります。箕輪編集室では、かなり本気のクリエイティブをしている印象の強い人も多いと思いますが、こんなふざけたこともしています。

雑誌は春に完成予定。ギャルのほかにも、ファッションやコーチングなど、多くの特集企画が同時進行で進んでいます。

紙面になったときのビジュアルはわれわれも予想がつかないけれど、まあ楽しみに待っていてください。


次は井手上漠くんを目指したいな。



ライター 金藤 良秀(かねふじ よしひで


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