バリスタの1日はどのようにして始まるのか。
初めまして、バリスタラジオです。第1回目です。今日からよろしくお願いします。
今日は、僕たちバリスタの一日がどのようにして始まるのか、もしくは、何をしているのかを、お話しさせていただこうと思います。
早速ですが、バリスタは朝出勤すると、まずエスプレッソマシンの電源を入れます。バリスタは朝出勤すると、まずエスプレッソマシンのスイッチを入れるわけですね。当たり前のことではありますが。ただ、エスプレッソマシンの電源を入れてから、すぐにエスプレッソの抽出ができるわけではないので。
なぜかというと、エスプレッソマシンのタンクの中の水の温度が上がって、スチームの気圧なんかも含めて安定するところまでいくのに15分〜20分はかかります。なので、その15分くらいの間にお店の照明を点けたり、掃除をしたりしています。
そうしてるうちにエスプレッソマシンが立ち上がったら…それが大体お店のオープンの1時間前くらいなんですけれども、エスプレッソマシンの前に立って、それこそお店の前を通り過ぎて行くような人には目もくれず、カップの中に意識を落とし込んでいくわけです。
自動車の新車が買えるくらいするエスプレッソマシンとグラインダーなんですけれども、それでも全てが完璧なものではないんですね。というか、癖もありますし場合によっては調子が悪かったりもするので、僕はまず、一定の時間で出てくるお湯の量をチェックします。ボイラータンクに挿さった気圧計と実際にポルタフィルターの中でかかる気圧の誤差もチェックします。お湯の温度も、設定した温度と実際に抽出する時の温度が違うので、その誤差も把握するためにチェックします。
このチェックは毎日やってることです。これは毎日やらないと意味がないので。
さあ、やっとここからコーヒー豆に触ります。グラインダーのホッパーにコーヒー豆を入れます。僕の場合はできるだけ焙煎したてのコーヒー豆を使っています。
豆を挽くと一気に甘くて香ばしいチョコレートみたいなコーヒーの香りが広がります。この瞬間が最高ですよね。それまではお店の換気もしてますから、基本的には何の匂いもしないわけです。それが入り口から…窓から入ってくる風に乗って、コーヒーの香りが店中にいき渡るんです。想像するだけで、コーヒーが好きな人なら最高ですよね。
で、抽出のチェック。調整ですね。マシンの調整は体の使い方を確認しながらやっていきます。体のリズムとか身のこなし、力の入れ具合、体重移動などです。集中してやると一杯目、二杯目、三杯目と、どんどん研ぎ澄まされていくので、これは本当に集中してやることをお勧めします。
結局は十杯、二十杯くらいはやるんですけれども、最終的にエスプレッソの状態はどうなるか…どこを目指しているかと言いますと、カップの中に一滴、二滴、三滴とエスプレッソが落ちますよね。フィルターバスケットから程よくだいたい全体から均一に抽出される、そういった濃厚なエスプレッソっていうのは、液体…水みたいに流れないんです。最初、エスプレッソの雫が山を積み上げていくんです。立体的に。
これはエスプレッソとは何かっていう話もしないといけなくなってくるんですけれども、これはまたいずれお話ししたいなと思います。
ここだというところまで抽出したエスプレッソをチェックすると、見たままの味と言いますか…イメージした味になるまで結局調整するんですけれど、本当に見たまま、チョコレートソースみたいに濃厚で甘いエスプレッソになります。最終的にです。
もちろん砂糖が入っているわけではないので、そういうう甘さではなくて、舌触りとか香りから脳が導き出す甘さと言いますか…わかりますか。結局、甘さとかっていうのは、例えばレモンを見た時とか梅干しを見た時にもう口の中が酸っぱくなるのと一緒で、その香りから。
実は人間の甘さとかっていうインスピレーションも、コーヒーに関してはそれがかなり大部分を占めているんです。
で、そこまでやる。それが感じられる…苦味とかそういうことじゃなくて、濃厚で甘い。ここまでやらないとダメなんです。途中で妥協しちゃダメなんです。拘るというのは、一切の妥協が無いということなので。
もし拘りのコーヒー屋さんをやるとか、自分が拘りのバリスタだとか職人だとか、っていうこなのであれば、結局は一切の妥協はしちゃいけないということです。
毎朝オープンまでの時間で積み上げてきた…そういう山の山頂に、やっぱり毎日飽きもせず、また積み上げるような作業。まるで単調な作業なんですけれども、しかし重要な作業ということです。
コーヒー豆とエスプレッソマシンと会話をする。自分自身とも対話をする。何度も。自分のイメージした味になるまでです。
結局、皆さんそうだと思うんです。本当に拘って仕事に情熱を注いでいる人っていうのは、会社員だろうとバイトだろうと、どんな職種も共通することってたくさんあるので、きっとどの職種にも職人っていうのはいるはずなので、きっと皆さん同じ作業を気持ちでやっているんじゃないでしょうか。
話がうまくまとまっていないような気がしますが、バリスタが朝、オープンまでの時間にやる仕事をざっくりとにはなりますが、お話しさせていただきました。やることもそうですが、僕のバリスタとしての哲学が少しでも伝わればいいなと思います。
皆さん、明日も頑張ってください。僕も頑張ります。
BARISTA RADIO #1
2019/12/29公開 YouTubeより
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