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「ブランドビジネス」の本質

わたしは、ものごとの
「本質」を理解するまで

近道でなく、割と遠回りをしてきた
タイプなんじゃないか
って、思う。

長く、ファッション業界の
ブランドビジネスに携わってきて、ようやく
自分なりの結論に辿り着く。


それは、

ファッションに限らず、
ブランドビジネスとは

「信頼」

である、ということ。


ブランド、と聞くと
エルメス、シャネル、グッチ、プラダ、ヴィトン・・・
こういった、商標の名前を
想像する方が多いと思う。


でも、看板掲げているところは、
全てブランドだと思う。

それは、
「ブランド」=「信頼」
だから。


多分、多くの方は、
洋服や身に着けるものの「ブランド」を
想像することが多いと思う。

そのブランド=センスがいい
そのブランド=経済的に豊か

確かに、わかりやすい。


でも、身近な食品について考えると
ちょっと視点が変わるのではないか。

例えば、
普段の買い物は近所のコンビニやスーパーで
済ませる方が多いと思うけど、

何かの御礼や挨拶なんかで
手土産として持っていく、

例えば果物で考えてみると、
千疋屋とか高野とか百貨店や高級スーパーなんかで
購入する方が多いと思う。


同じメロンであっても、
千疋屋が、高野が選んで買い付け、揃えた果物の
信頼、信用力を伴って

初めて贈り物として、自信を持って
大切な方へ贈ることができる。

つまりは、
「信頼」
を買っている。

信頼の裏には、
「期待」
がある。

だから、ブランドビジネスでは
「期待を裏切ってはいけない」


お客さまは、期待してくれているのだ。
信頼は、築くのは手間と時間が掛かるが、
崩すのは一瞬。

ココにお願いすれば、安心、
と期待し信頼してくれ
お金を払ってくれたとして、

仮に、不手際を起こしてしまったら
次からは、選ばれない。


選ばれないどころか、
他人へ悪い印象を伝えられてしまうこともある。


だから、仮に不手際を起こしてしまったとしたら、
自分たちが考える、
このブランドはこうだ、という範囲で
できる限り、早い対応をした方がいい。


ある日、こういった事が起こった。
担当していたファッションブランドで、
プレゼントでジップ式の長財布を贈られたお客さまが

「ジップが開かなくなってしまい、困っています。
どうしたら良いですか?」

と、売場のスタッフ宛にお電話で問合せがあった。
わたしがその連絡を受けて、先ずは

代替品を手配。

そして、
お財布が不具合を起こしてしまったことについて
スタッフからお詫びをしてもらい、更に

「一度商品を確認させて頂きたい。
不具合があればお取替えする」旨を伝え、

仮に、店舗へのご来店がむずかしいお客さまであれば、
着払いで発送してもらう、ことにした。


しかも、この時は
「財布が開かなくなってしまった」
ということで、中身を取りだせない、という状態だった。

これは、ブランドの信頼以前に、
商品として問題がある可能性も出てくる。

いわゆる、契約不適合商品(昔でいう、瑕疵担保責任を果たしていない)と
認定されてしまう。

お客さまが、週末にご来店して頂ける、とのことだったので
「最悪、壊してもいい
ジップを切って中身を取り出し、
新しいものとお取替えしてもいい。
先ずは、それで対応してもらい、

それでも
嫌なイメージがついたので、返品したい
ということであれば、購入店で受けると伝えて。」

これが、そのブランドに抱いて頂いている
お客さまのご期待に対する、最大限の対応と考えた。

こちらに不備がなかった場合に損得勘定で考えると、
商品を1本無価値にし、
新たな商品にお取替えするので、損失が出てしまう。

でも、そのプレゼントを受けた方の信頼
プレゼントとして、選んでくださった方の信頼を保ち、
いい印象を持ってくださって
いてくれるのなら

そんなものは、安いもの。

営業職としては、週末は休業日だが、
売場のスタッフも不安、ということだったので
週末もスイッチオンのまま、連絡を待った。

神経が高ぶったままなので、休んだ気もしないし
疲れるのだが、売場のスタッフも不安だし
お客さまも不安なので、その不安を解消するためには、
期待に応えるためには、仕方ない。


そして、売場のスタッフから連絡が入った。
「お客さまがご来店され、思い切りジップを引いたら、
開きました!
そして、新しいものとお取替えして
ご納得してお帰りになりました。」

とのことだった。
スタッフも声のトーンが高い。よかった。

先ずは、緊張していたスタッフを労い、
本社宛てにその商品を送ってもらうよう依頼して、

大きなトラブルに発展せず、お客さまにも
安心してお帰り頂けたことに
ほっと胸をなでおろした。

こういった対応が、「信頼」を維持する。


結局、商品に瑕疵はなく、
内側のジップの金属引手の傷防止フィルムが
外側のジップに咬んでしまっていただけだった。

商品にも瑕疵がなかったことを確認でき、
更に安心した。


こういった「信頼」を築くことは
ファッションブランドだけではない。

車だって、電化製品だって、百貨店だって、
セレクトショップだって、クリーニング店だって、飲食店だって。

このマークが入ってると、おいしく感じる!とか。

皆、その看板にお客さまが期待している。


長く続くブランドは
期待に応え期待を超え
信頼を勝ち得て
ファンを増やしている。

それが、ブランドたる所以。


最後までお読み頂き、ありがとうございます。

マネジメントでお悩みの方、
管理職になって日が浅い方、
上司の考えに「?」と思っている方、
カッチカチに古い体制の会社に疑問を持たれている方、
などなど。

お仕事でそんなお悩みを持たれている方に向けて
発信していきたいと思います。

 きのした


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