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本日も医療関係のサイトから。 「コロナ変異株、性状はどこまで分かったのか」

2021/03/25


TONOZUKAです。


本日も医療関係のサイトからです。ここ最近、気になる「変異株」についてです。


コロナ変異株、性状はどこまで分かったのか



以下引用

 日本でも新型コロナウイルス変異株の検出報告が増えている。2021年3月5日時点で、検疫や国内で確認された検出例は251例となり、地域的にも20都府県に広がった。監視が続く英国変異株、南アフリカ変異株、ブラジル変異株それぞれの性状はどこまで明らかになったのか──。

 まず、国内の変異株検出例の動向をおさえておきたい。2020年12月25日に第1例の報告があって以降、同月だけで20件に上った。さらに2021年1月には43件と倍増、2月には143件と増加が加速した。さらに3月に入ってからは、5日までに44件と1月の実績を超えてしまった。このままのペースで増えると3月は260件を超えてしまう勢いだ。変異株の種類別では、英国変異株が227件(90.4%)と多く、南アフリカ変異株が16件(6.4%)、ブラジル変異株は8件(3.2%)と続く。
 世界に目を向けると、日本同様、英国変異株の広がりが目立つ。WHOの3月9日時点でのまとめでは、英国変異株は検証中の国も含め111カ国で検出され、英国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の優勢株となっている。これに次ぐのが南アフリカ変異株で、WHOによると58の国々で報告され、南アフリカでは優勢株となっている。一方のブラジル変異株については情報が少ないが、WHOによると32カ国で検出されている。
感染性は? 致死率は?

 日本で初めて英国変異株の検出例が確認されたのが2020年12月25日(関連記事「SARS-CoV-2新規変異株、感染性増加が脅威」)。その時点で、英国で行われた感染性の変化の予備解析によると、英国変異株には従来の流行株(野生株)より感染力が強いという特徴が見つかった。感染性(伝播のしやすさ)が40~70%増加すると推定されており、基本再生産数(R0)は0.4増えて1.5~1.7の範囲に上昇すると見られていた。

 その後、変異株の性状についての研究が進み、野生株と比較した感染性は、英国変異株が43~90%増加、南アフリカ変異株は50%増加、ブラジル変異株は1.4~2.2倍増加と報告されている。気になるのは野生株と比較した重症度(致死率)だが、英国変異株は致死率が35%増加との報告があり、南アフリカ変異株は致死率の増加を示すデータはないものの重症化傾向が見られるとの報告があった。ブラジル変異株については、まだ報告されていない。
ワクチンへの影響は?

 こうした変異株は、新型コロナワクチンにどのような影響を与えるのだろうか。プレプリントだが、アストラゼネカ社のワクチンは英国変異株に対して74.6%の効果があったと報告されている7)。非変異株への効果は84%で、変異株への有効性は思ったほど下がっていなかった。また、ノババックス社のワクチンの効果は86%であり8)、ファイザー/BioNTech社のワクチンでは中和効果に大きな影響はないとの報告がある9)。総じて、英国変異株のワクチンへの影響は少ないとみていいようだ。

 一方、南アフリカ変異株のワクチンへの影響については、懸念される報告がある。例えば、アストラゼネカ社のワクチンは南アフリカでフェーズIIIの臨床試験が行われているが、初期解析の結果、効果は21.9%と低かった10)。また、ノババックス社のワクチンは南アフリカでフェーズIIの臨床試験が行われ、初期解析の結果、効果は全体で49.4%だった11)。ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンは、COVID-19患者の重症化(中等症から重度)を防ぐ効果は、米国で72%だったのに対し、南アフリカでは57%と低下していた12)。

 ブラジル変異株については報告が限られるが、ファイザー/BioNTech社とモデルナ社のワクチンで中和効果が大幅に減少との報告があった16)。その一方で、細胞性免疫は影響を受けていないとの報告13)もあり、さらなる解明が待たれる。

 なお、ブラジル変異株に関連しては気になる論文(関連記事「抗体陽性率が高いブラジルのマナウス市でCOVID-19入院患者が急増」)が発表された。集団免疫獲得レベルに達したはずのマナウス市で、今年1月の入院患者数が前年の約6倍に増えたという報告だ。マナウス市では2021年1月にブラジル変異株(P.1)が検出され、さらにスパイク蛋白質にE484K変異を持つB.1.128株から分かれたP.2系統も検出されているという。入院患者数の増加と変異株との関連性については、明らかになっていない。

 現段階で言えることは、南アフリカ変異株やブラジル変異株は英国変異株に比べるとワクチンへの影響が大きいように見える。ただし、確たる判断のためにはさらなるデータの積み上げが必要だろう。
感染研がリスク評価と対策の推奨を発表

 変異株の動向については、国立感染症研究所がレポートを発表している。3月8日には、変異株に関するリスク評価と推奨をまとめた見解を発表16)。日本でのリスクについては、以下の6項目を提示している。

(1)海外からの流入リスクは一定程度抑制されているが、完全に流入を防げるものではない。
(2)今後、社会における接触機会の増加や、感染対策の緩みが生まれることで、これまでより顕著に変異株の流行が拡大するリスクがある。
(3)国内で小児の集団感染もみられたことから、小児での感染性や病原性、小児からの感染性について引き続き注視が必要である。
(4)英国変異株については、変異による重篤度への影響も注視する必要がある。さらに、南アフリカ変異株およびブラジル変異株については、抗原性の変化により、既感染者に再感染のリスクが高まる可能性や、ワクチンの効果に影響を及ぼすリスクを考慮する必要がある。
(5)海外で発生した変異株が国内に持ち込まれることのみならず、国内流行株においても同じような変異が生じる可能性もある。
(6)国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法は、これまでと同様に使用可能である。

 また、日本の対応についての国立感染症研究所からの推奨には、以下の4項目を挙げている。

(1)変異株の流行状況に応じた水際対策の強化により、引き続き国外からの流入を最大限抑制しつつ、国内での拡大防止を図ると共に、積極的疫学調査などを通じて変異株の性質を明らかにし、流行制御戦略を適合させていく。
(2)国内流行の抑制のためには、入国者の監視体制が重要である。
(3)国内での拡大防止を図るためには、クラスター発生機会を抑制しつつ、変異株感染者の早期検知と徹底した積極的疫学調査によるクラスターの封じ込めを行う。
(4)個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、マスクの着用、手洗いなどが推奨される。

 英国変異株の発生を遡った研究によると、この変異株は2020年9月20日に出現していたことが明らかになっている。以降、11月中旬までは集団内で非常に低いレベルで循環していたものの、11月後半に急速に増加して流行株の主流に躍り出たわけだ。この2カ月余りでの変化は、日本でもあり得ると想定して今後も監視を続ける必要がある。


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