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読書紹介51「時限病棟」

あらすじ
謎の死の真相を掴み、灰病院から脱出せよ!

目覚めると、彼女は病院のベッドで点滴を受けていた。なぜこんな場所にいるのか?監禁された男女5人が脱出を試みるも・・・・。ピエロからのミッション、手術室の男、ふたつの死の謎、事件に迫る刑事、タイムリミットは6時間。大ヒット作「仮面病棟」を超えるスリルとサスペンス。圧倒的なスピード感。衝撃の結末は・・・・。医療ミステリーの超傑作、文庫書下ろし!

感想など

作者は、現役医師でもある知念実希人さん。
病院が舞台となっている話で、ところどころに挿入すされる医療エピソードや医学的な知識、蘊蓄も読みどころの一つの医療ミステリーです。

例えば「覚醒している患者に筋弛緩剤を投与すれば、意識はあるにもかかわらず呼吸ができないという、恐ろしい状態に陥ってしまう」なんて話も出てきました。
 
さらに、この「時限病棟」の前に書かれた「仮面病棟」は、舞台となる病院(田所病院)がそのままの設定として使われていました。
前作の登場人物や病院の秘密には触れられていて、病院の部屋の数やレイアウトもそのままでした。
さらにこの病院ならではの仕掛け~隠しエレベーターの存在は、綾辻行人さんの館シリーズミステリーを彷彿とさせるものがあり、それだけで、何だかワクワク、ドキドキしながら読めました。
お~、この病院のことを、知っている!というだけで楽しい気分になれました。
 
話自体は、前作同様、スリリングでした。
何より、今回は、時限爆弾?らしきものがセットされていて、謎解きの時間制限があるところに、読んでいてこちらもはらはらしました。
病院に閉じ込められた登場人物たちが、ピエロの仕掛けた「脱出ゲーム」の謎解きを進めていく中で、過去の事件や病院内の謎解きも進めていくことになったので、一つの謎が解けるたびに次の謎が出てきて、読めば読むほど、次にどんな問題が出るのか、どういう展開になるのか予想がつかず、ページをめくる手が止まらなくなります。
それが圧倒的なスピード感につながっていきました。
 
登場人物の「犯人が被害者の一人のふりをして紛れ込んで、周りの奴を殺していく。小説とかでよくありそうな話じゃねえか」の台詞のように、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」にもつながる話の展開だったと言えるかもしれません。
また、話の中で、警察の捜査の描写も挟まり、病院の外でも事件解明が同時進行で進み、ある意味、最後の大どんでん返しの「準備」にもなっていました。そういう意味では、綾辻行人さんの「十角館の殺人」を想起させました。
 
今回は「脱出ゲーム」の要素も入っていました。次のようなミッションも出ていました。
 
「09 18の真実を探れ そうすれば扉は開かれる」
「手術室に向かえ 鍵は靴の中に」
「腹を割って 真実を探せ」
「04 19の真実を探れ 誰が芝本大輝を殺した?そうすれば 扉は開かれる 嘘つきピエロに閻魔様の罰を」
「闇を照らして真実の道を無くし 最後のカギを持つピエロを探せ」
 
事件の謎解きだけではなく、脱出ゲームの問題の謎解きも次々と出てきたので、スリリングで、速さを感じる展開になったのではないかと思いました。知念さんのミステリー作品には、スピード感があり、いつも一気読みしてしまいます!

著書情報
・発行所   実業之日本社
・発行年月日 2016年10月15日

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