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いまどきの社長(第2回)

1年間の運転資金のために必要なのは1千万円と見積もったところですが、何せ大手監査法人の看板を背負ってきたからこそ仕事ができた私です。その看板を失って仕事がとれるのか、些か不安でした。そこで経営コンサルティングのFC(フランチャイズチェーン)を探すことにしました。加盟金を支払ってノウハウを取得。コンサルティング会社のブランドも生かせます。

マッキンゼー、ボストンコンサルティング、船井総研、田辺経営など名だたるコンサルティング会社に片っ端から電話で連絡。しかし、FCを運営しているコンサルティング会社はなかなか見つからない。ようやく見つけたのが、日本LCAでした。

小林忠嗣会長率いる日本LCAは1993年の当時、「DIPS」という手帳を使ったコンサルが大ヒット。知的生産性向上ツールと呼ばれていましたが、いわゆるホワイトカラーが自らの仕事の効率を高めるためのツールです。その日本LCAのFC加盟金が、なんと900万円。提携金融機関からの融資の制度があると持ちかけられましたが、もし売上を十分に上げられずに返済できなかったら…と思うと不安です。

そこで考えたのが株式の発行による資金調達です。株式発行による資金調達のことを「資本調達」(エクイティファイナンス)といいます。
必要資金は運転資金と合わせて約2,000万円。
資本調達の利点は、返済が不要であることです。借りたお金を返済できないと会社は倒産するリスクもありますが、資本調達ではその心配はありません。

株式の一般のイメージは証券市場の上場株式。株式発行により資本調達ができるのは、上場会社だけで、中小企業には関係ない、と思っている人も多いでしょう。
しかし、会社法には株式会社の新株発行の手続きが書いてあります。会社法は上場会社に限った法律ではありません。「株式会社」であれば、どんな会社でも株式を発行して資金を集められるのです。

中小企業の多くは、株主は創業者一人。創業者=経営者です。でも中には、親戚や友達に株主になってもらっている会社もあります。その株主をちょっと広げることで、返済不要の創業資金を確保することができます。

私は起業に際して、株式会社ディー・ブレインを設立。この株式会社に出資いただく株主を募ることにしました。問題は、誰がこのような無名の会社に出資してくれるか・・・ということです。(つづく)


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