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いまどきの社長(第5回)

1995年、コジマやダイキなど株主から頂戴した仕事で一息ついたディー・ブレインですが、まだまだ業績は安定しません。そこで、コスト削減と通勤の利便性のため、東京青山にあったオフィスを、自宅マンション近くの東京都町田市に移しました。当時、毎日深夜まで及ぶ仕事でタクシー代も嵩んでいました。
移転先は町田KKビルという町田駅から徒歩10分の小さなビルの5階。
当時社員は、私と会計士補のK君、事務のSさんの3名。

K君は、当時、会計士が就職難だった時代。青山のオフィスにやってきて、どうしても入社したいと言うので採用したのです。得意なことは?と聞くと、パソコン、といいます。この年、マイクロソフトがWindows95を発売。爆発的なヒットとなり、彼も最先端の機種で器用に資料を作成します。最初はアルバイトでということでしたが、いつの間にか、なくてはならない存在となり、半年で正社員になりました。仕事は、営業マンの生産性向上プログラムで業績を上げるコンサルティングがそこそこの人気。クライアントも増えつつありました。

町田のオフィスは、机を3つ並べるといっぱいになってしまう小さな部屋です。ある日のこと、ドアを開けて帰ろうとすると、ビルの清掃をされている担当者と鉢合わせ。「ここに入られたんですね~。」と笑顔です。「このビルは縁起のいいビルなんですよ。ここに入られた会社は、たいてい隣の大きな部屋に移った後、やがてこのビルから出て、出世して大きくなるんです。」と、嬉しいことを言ってくれます。続けて「このビルの地階に行ってみてください。以前、ここにいた会社の看板が残っていますよ・・・」

好奇心もあり地階に行ってみると、そこは空室でしたが、消えかかったプレートに書かれていたのは「Avex DD」の文字。1990年創業のエイベックスは、この当時、すでに大きなムーブメントを起こしていました。(つづく)


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