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短歌 | 旅のはじまり

子どもの頃から母が若い頃行った旅の話を何度も聞いて、いつか私も旅をしたいとずっと思っていた。気づいたら旅した母と同い年になっていた。ようやく決心したものの、それまでためたお金も半分は税金で消えて、たった4ヶ月の旅になってしまったが、それでも一生大切にしたい思い出になった。そんな思い出でも、帰ってきて一年が経つと記憶も曖昧になってくるもので、これ以上忘れる前に記録しておきたいと思ってnoteを書くことにした。旅の間書いていた日記(毎日ではないが)と短歌をたどって、何十年たっても記憶を呼び起こせるフックをここにも置いておきたいと思う。

旅立ちに あふれた涙を隠さねば
真似した笑顔を一秒キープ

2023.2.28 飛行機の中

言葉を越えて 伝わるあなたの懸命さ
私も一歩前のめり

2023.3.4 台北 松山文創園區(台湾)

出発の日、空港の保安検査場の前で母が見送ってくれた時泣いてしまいそうだった(たった4か月なのに!)。仕事を辞め、しばらく実家に戻って久しぶりに長く両親と過ごしていたからだと思うが、にしても別れにめっぽう弱い。帰ってきてこの短歌を見せたら、母に「飄々としてたよ」と言われた。ばれないようにしたのに短歌でばれてしまった。

最初の都市は台北。以前2回行ったことがあったので、なんとなく最初は知ってるところで慣らしたいと思い選んだ。移動の勝手も少しは覚えていたけど、合計13kgのバックパックを前後に抱え、宿にたどり着いた時には疲れ切っていた。特にトレーニングもせずに出てきてしまって、これから4ヶ月この荷物を運び切れるだろうかと少し不安になったのを覚えている。それに、宿近くのファミマで水やら調達しようとしたら早速カードが使えず、幸先が悪いスタートとなった。まあ、これも旅の醍醐味。

ザ・観光地を巡るのもいいけど、その土地に住む人々の生活に入り込んだような旅をするのが好きだ。たまたま平日のお昼ごろに市政府駅に降り立ち、近くのオフィスから財布だけ持って歩く人たちに紛れて歩くと、台北に住んだらこんな感じなのかなと想像してワクワクした。その日のお昼ご飯も台湾料理ではなく洋食カフェに入った。台湾もコロナ以後の注文形式で、店員さんにQRコード読み取って注文してくださいと言われた。メニューは中国語のみでさっぱり読めず、どうにか漢字から推測しようとしていると、さっきの店員さんが戻ってきてくれて直接注文を取ってくれた。つたない英語で頑張って私に説明しようとしてくれている姿が本当に嬉しかった。一人旅だと猶更その優しさが染みた。ありがとう。


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