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週末に投資アイデアを考える(5/26~6/1)

割引あり

<マーケットチェック>

株価

日米ともに株式市場はさえない動きとなっています。金曜日にはMSCIの入替もあったので、その影響が大きく、週明け以降の動きを見ないと物色動向も判断が難しい感じです。何度も書いていますが、日本企業の今期業績予想は想定よりも低く、マーケットでは会社予想が保守的と言われていますが、市場が前提としてた為替の部分を調整しても弱いと思います。業績の上方修正は中間決算を待つ必要があり、4-6月期決算が出てくるころまでは業績予想の下方修正が続くと見ています。
6月は株主総会シーズンになりますので、ガバナンス改革の動きやアクティビストからの株主提案に対する反応などにも注目したいと思います。
ところで、米国株の動きで注意したいのは、セールスフォースが決算をミスしたことで、AIによる恩恵を受けると考えられていた他の銘柄への悪影響です。ソフトウェアだけではなく、半導体関連にも悪影響は波及しているように見え、「勝者は今のところNVDAだけ」という解釈が広がると、「NVDAはともかく周辺銘柄は大丈夫か?」の確認が始まる可能性があります。日本のハイテク株はNVDAの周辺の周辺という銘柄が多いので注意したいと思います。
 

金利

日本の金利上昇は上昇が注目されています。日本の金利市場の動きはこの2週間、海外比較でも大きくなっており、週末には10年JGBが1.05%と10年物SWAP1.08%と急激にキャッチアップしています。
昨年からの動きを見ると、国内金融機関がメインの投資主体であるJGBの金利は、海外勢も参加するSWAP金利よりもかなり低く抑えられてきたわけですが、ここに来てその差がほぼ消滅しました。国内勢の国内金利に対する見方が急速に金利上昇モードになったという事です。
6/14は日銀政策決定会合とSQがあり、日銀関係者らの発言が注目されるかもしれません。
 


為替

日銀のスタンスは金融引き締め方向に動いており、日本は金利引上げ方向、米国は金利引き下げ方向という見方は変えていません。ここから2週間は介入というよりも日銀のスタンスに関する発言が増えて来ると考えられるので、注目したいと思います。
為替の関係者は未だに金利差の話ばかりをしていますが、これまでも述べている通り、為替には安定した価格決定理論はなく、一度関係が崩れると動きが急速に大きくなることには注意しておいてください。
 
 

<注目したニュース記事>

5/27 WSJ “AI Is Driving the Next Industrial Revolutions”

(要約)
AI需要は依然ブームで、投資家はテクノロジー・セクター以外で勝者を見つけようとしている。資金に余力がある企業はAIに巨額の投資をしており、それがNVIDIAなどの半導体需要や、電力・労働、原材料の提供業者の追い風になっている。
S&P500で公益セクターは過去3カ月のリターンが+15%と、他のセクターをアウトパフォーム。エネルギーと素材株もS&P500をアウトパフォームした。データセンターの拡張やリノベーションから恩恵を受ける資本財企業の株価も急騰している。
NVIDIAの直近四半期の売上は前年同期比約3倍の260億ドルに達した。Jensen Huang CEOは「次の産業革命が始まった。企業や国々は既存のデータセンターをAIファクトリーに転換しようとしている」と語っている。大手テクノロジー企業は自社のAI能力を高めるためにNVIDIAの半導体や関連インフラに数十億ドル使っている。超党派の上院グループも、来年度にかけてAIへの連邦政府の投資に数百億ドル使うように提言した。
これにより、データセンター、オペレーター、電力、公益にも収益拡大機会が広がっている。データセンターでは需要急増によって、バックアップ、発電、冷却システム等の機器メーカーの納入に時間がかかるようになっている。Global X US Infrastructure Development ETFは今年+13%の上昇、データセンターの電力と冷却機器を製造するVertiv Holdingsの株価は今年2倍以上に上昇している。同社の1Qの新規受注は市場予想の前年同期比+15%に対して、実際には+60%も増えた。AIの採用はまだ初期段階であり、経済のあらゆる分野で普及が今後進もう。電力管理機器を製造するEatonの株価は今年+42%上昇し、商業ビルの電気システムを製造するJohnson Controlsの株価は同+28%上昇。
年後半にFRBが利下げすれば、インフラ関連株が恩恵を受けよう。株価急騰で予想PERはEatonが31倍、Vertivが40倍と、S&P500の21倍を大きく上回っているが、データセンター関連の設備投資増加によって、資本財企業の業績は過去よりもシクリカルでなくなってきているので、高バリュエーションは、以前よりリスクが小さくなっている。Eatonの利益は今後5年間で約2倍に増えると予想されており、電力会社に熟練労働者を供給するQuanta Servicesの株価も今年+31%上昇した。

WSJ

<河北コメント>
足下のマーケットでは、NVDA以外のAI関連株は大丈夫かという動きが出ていますが、WSJでは少し遅れて、NVDA以外のAI関連株への物色の広がりと報道しています。
日本株は、AIど真ん中の銘柄はほとんどなく、周辺、あるいは周辺の周辺といった銘柄が中心です。
半導体関連でも、従来は業績の濃淡はあっても同じ様に動いていた銘柄群の中に、メリットを受けるもの、ほとんど受けないものの差が広がる可能性が高まいと考えられます。
米国企業の動向と共に、日本企業内での格差をどのように市場が評価していくか、確認するようにしてください。


5/28 日経 バス「現金払いなし」

(要約)
国土交通省は、全国の路線バスの料金支払い方法をICカードなどキャッシュレスに限定しやすくするため、7月にも規則改正を実施予定。
全国の路線バス事業者が参考にする「標準運送約款」を改め、キャッシュレスに限定できると明記する方針。
経費削減や運転手の業務負担軽減を目的としている。
バス事業者や業界団体から、キャッシュレス決済に限定することが「乗車拒否」に当たるのではないかという懸念があった。完全キャッシュレス運行でも法律に違反しないと明記する方針。
路線バスの現金対応運賃箱のメンテナンスや7月の新紙幣発行に伴い、追加費用負担が予想されるため、キャッシュレス運行を認める。
2019年度から2021年度にかけて、路線バス運転手が約8.4万人から7.4万人に減少人手不足もあり、現金やり取りの業務負担軽減が求められていた。
国交省は完全キャッシュレス運行を事前の届け出制とし、事前の周知とガイドライン作成を進める。

<河北コメント>
人手不足が顕在化している業界を中心に、政府は様々な補助金を用意しようとしています。それに伴い様々な規制も緩和されてくるでしょう。
その様な動きが、1人当たり生産性や単位時間当たりの生産性改善にどの様につながっていくかという視点で、企業を見てみると、いろいろな発見があります。


5/28日経 倒産予備軍、コロナ前近づく

(要約)政府による新型コロナウイルス禍の中小企業支援策が6月に終了し、資金繰りが平時に戻りつつある。借金返済を信用保証協会が肩代わりする代位弁済は45%増加し、全体に占める割合はコロナ禍前の水準に近づいている。
政府は2020年3月から22年9月にかけて、中小企業に元本返済と利子支払いを免除する実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を実施した結果、22年9月末時点でゼロゼロ融資の利用件数は約245万件、融資額は43兆円に達する。23年夏から返済が本格化し、24年4月に最後の返済ピークを迎え、約5万社が返済期に入る。コロナ禍からの業績回復が進む企業と経営不振から抜け出せない企業で二極化が進んでいる。
24年3月末時点でゼロゼロ融資を完済した企業の割合は16%、53%が元金を返済中。代位弁済を受けた企業の割合は2%で、23年度の代位弁済は前年度比45%増の4万3830件、代位弁済額は4割増の4946億円。小規模・零細企業が中心で、1件あたりの平均代位弁済額は約1100万円。信用保証協会の保証債務残高に占める代位弁済の割合は23年度に1.3%、コロナ禍前の19年度の1.6%に近づく。物価高や人件費増で返済が難しくなり、代位弁済を受ける企業が増加中。ゼロゼロ融資では特例措置として100%保証がついており、これが代位弁済率を押し上げる要因となる恐れがある。
中小企業の借入金はコロナ禍を通じて膨らみ、22年度末の長期借入金は157兆円と19年度比で2割増。資金繰り支援の延長ではなく、中小企業が自立的に債務を返済できるようにすることが重要。増える倒産予備軍がゾンビ企業化しないようにすることが求められている。

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