<マーケットチェック>
株価
日米ともに株式市場はさえない動きとなっています。金曜日にはMSCIの入替もあったので、その影響が大きく、週明け以降の動きを見ないと物色動向も判断が難しい感じです。何度も書いていますが、日本企業の今期業績予想は想定よりも低く、マーケットでは会社予想が保守的と言われていますが、市場が前提としてた為替の部分を調整しても弱いと思います。業績の上方修正は中間決算を待つ必要があり、4-6月期決算が出てくるころまでは業績予想の下方修正が続くと見ています。
6月は株主総会シーズンになりますので、ガバナンス改革の動きやアクティビストからの株主提案に対する反応などにも注目したいと思います。
ところで、米国株の動きで注意したいのは、セールスフォースが決算をミスしたことで、AIによる恩恵を受けると考えられていた他の銘柄への悪影響です。ソフトウェアだけではなく、半導体関連にも悪影響は波及しているように見え、「勝者は今のところNVDAだけ」という解釈が広がると、「NVDAはともかく周辺銘柄は大丈夫か?」の確認が始まる可能性があります。日本のハイテク株はNVDAの周辺の周辺という銘柄が多いので注意したいと思います。
金利
日本の金利上昇は上昇が注目されています。日本の金利市場の動きはこの2週間、海外比較でも大きくなっており、週末には10年JGBが1.05%と10年物SWAP1.08%と急激にキャッチアップしています。
昨年からの動きを見ると、国内金融機関がメインの投資主体であるJGBの金利は、海外勢も参加するSWAP金利よりもかなり低く抑えられてきたわけですが、ここに来てその差がほぼ消滅しました。国内勢の国内金利に対する見方が急速に金利上昇モードになったという事です。
6/14は日銀政策決定会合とSQがあり、日銀関係者らの発言が注目されるかもしれません。
為替
日銀のスタンスは金融引き締め方向に動いており、日本は金利引上げ方向、米国は金利引き下げ方向という見方は変えていません。ここから2週間は介入というよりも日銀のスタンスに関する発言が増えて来ると考えられるので、注目したいと思います。
為替の関係者は未だに金利差の話ばかりをしていますが、これまでも述べている通り、為替には安定した価格決定理論はなく、一度関係が崩れると動きが急速に大きくなることには注意しておいてください。
<注目したニュース記事>
5/27 WSJ “AI Is Driving the Next Industrial Revolutions”
<河北コメント>
足下のマーケットでは、NVDA以外のAI関連株は大丈夫かという動きが出ていますが、WSJでは少し遅れて、NVDA以外のAI関連株への物色の広がりと報道しています。
日本株は、AIど真ん中の銘柄はほとんどなく、周辺、あるいは周辺の周辺といった銘柄が中心です。
半導体関連でも、従来は業績の濃淡はあっても同じ様に動いていた銘柄群の中に、メリットを受けるもの、ほとんど受けないものの差が広がる可能性が高まいと考えられます。
米国企業の動向と共に、日本企業内での格差をどのように市場が評価していくか、確認するようにしてください。
5/28 日経 バス「現金払いなし」
<河北コメント>
人手不足が顕在化している業界を中心に、政府は様々な補助金を用意しようとしています。それに伴い様々な規制も緩和されてくるでしょう。
その様な動きが、1人当たり生産性や単位時間当たりの生産性改善にどの様につながっていくかという視点で、企業を見てみると、いろいろな発見があります。
5/28日経 倒産予備軍、コロナ前近づく