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週末に投資アイデアを考える(5/19~5/25)

割引あり

<マーケットチェック>


株価


米国株はNYダウが40000ドルを達成した後、大幅に下落しました。下落の場面でも好決算を発表したNVIDIAの株価は強く、半導体株もNVIDIA以外は弱いといった形で一極集中が強まっています。

最近の米国株はPMIやCPIでかなり動いています。しばらく、マーケットは金利上昇方向のヘッドラインで一喜一憂する展開になりそうです。

最近米国の景気関連の指標はネガティブサプライズの連続で、PMIは久々のポジティブサプライズでしたが、相場の連想は「今景気強い→タカ派な金融政策維持する→将来的には景気鈍化」となっており、景気鈍化を織り込む様な物色傾向になっています。コモディティを除くシクリカル株も1Qの上昇からやや調整し始めています。

日本株に関しては、NVIDIAがない米国株といった感じで、逆風はしっかりと受けており感じです。米金利が上昇するのであれば、円金利上昇は続く可能性がります。円金利上昇は足元の利益が小さく、将来成長を見込んでいる高PER株のアンダーパフォームに繋がっている様です。あまりにも弱いので中小型株売りの大きなフローあるのではないかとの見方もありますが、バリュエーション修正の面もあるように見えます。

先日、コメントした中国株に関してはバリュエーション修正はだいぶ進んだので、ここからはファンダメンタルズが本当に回復するのかという事に焦点が当たりそうです。
 

金利


予想通り、じわじわと金利上昇は上昇し、1%を超えてきました。どうも、足元の金利を押し上げているのは国内勢の債券売りの様です。

これは日銀の国債買入減額への思惑と入札が不調に終わっていることなどが背景あるようです。

10年債は銀行中心の市場ですが、先行きの政策金利見通しと現在の長短金利スプレッドという2つの要素で投資判断が行うのが基本です。将来的な政策金利の上昇を踏まえると、足元の90bpという長短スプレッドはまだ不十分と判断されているのだと考えられます。
 

為替


日銀のスタンスは金融引き締め方向に動いており、日本は金利引上げ方向、米国は金利引き下げ方向という見方は変えていません。ただ、金利差は引き続き大きく、その幅は米国の動きの方が大きいわけです。介入に関しても、ややけん制する発言もある事から少し分かりにくくなってきています
 

商品


商品は多少のアップダウンはあるものの、経済の好調さを現わしているかのような動きです。銅価格に関しては、ショートスクイーズが話題ですが、中国株との連動性が高いとされる現物価格も上昇しているので、中国景気回復が本当にあるのかに注目したいと思います。
 
 

<注目したニュース記事>


5/20日経 米国ファースト、ゆがむ円ドル相場 輸出の追い風不発

<要約>
米国経済は急速な利上げにもかかわらず景気後退を免れ、市場では円安・ドル高が進行しています。この背景には、米国が自国第一主義の経済政策を徹底していることがあります。バイデン政権は半導体やハイテク産業への巨額の補助金を通じて国内投資を促進し、ドル高にもかかわらず貿易収支が改善しています。特に、インテルなどの企業が米国内で巨額投資を計画しています。

しかし、このような政策は自由貿易を妨げ、市場経済の調整機能を阻害しています。その結果、日本や韓国などの輸出が減少し、通貨安が進行しています。米国の保護主義政策が貿易分断を招き、これが各国経済に悪影響を及ぼしています。

米国第一主義は短期的には効果を上げていますが、長期的には投資の過熱によるインフレや、金融引き締めによる経済失速のリスクがあります。歴史的には、1930年のスムート・ホーリー法が世界恐慌を深めたように、米国第一主義の危うさが示されています。

<河北コメント>
米国一強の象徴ともいえる米国ドル高は、関係国に様々な影響を及ぼしています。これに関しては、為替に関するトピックを今後も書いていくつもりです。この様に足元の動きを説明しただけではない分析に関しては、出来るだけ幅広く読んみ、考え方を理解しておくことが重要です。

5/20日経 再雇用の給与を現役並みに

<要約>
日本企業は60歳以上の再雇用者の給与を現役並みに引き上げる動きを強化しています。スズキは2024年から、再雇用した従業員の基本給を現役並みに維持する新しい人事制度を導入し、日本精工やGSユアサも賃上げを実施しました。これらの企業は、シニア雇用の待遇改善を通じて優秀な人材を確保し、深刻な人手不足に対応しています。

改正高年齢者雇用安定法により、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となりましたが、多くの企業は再雇用を選択しています。しかし、再雇用者の給与は通常非正規となり、約半分に減少することが多いです。スズキはこの問題に対応するため、再雇用者の基本給を現役並みに維持し、専門的な技術や知識を持つシニア社員に意欲的に活躍してもらうことを目指しています。

一方で、他の企業も再雇用者への賃上げを行い、GSユアサは2年ぶりに再雇用者のベースアップを実施し、日本精工もシニア社員の賃金を引き上げました。人手不足が深刻化している中、企業はシニア人材の活用が不可欠となっています。再雇用者の待遇を改善することで、働きがいを高め、シニア人材をつなぎ留めることが重要です。

さらに、再雇用制度の見直しも進んでおり、伊藤忠テクノソリューションズは給与を引き下げず、フルタイムで働ける再雇用者には正社員と同水準の給与を支給しています。また、働ける期間を延ばす動きも見られ、住友電設は再雇用上限年齢を撤廃し、東北電力は段階的に70歳に引き上げる計画です。トヨタ自動車も65歳以上の再雇用を全職種に広げる予定です。

企業はシニア人材の経験と知識を活かしながら、労働市場の変化に対応するための施策を進めています。

<河北コメント>
私は人手不足のより賃金は上昇していくと言い続けていますが、正社員だけでなく非正規・女性・シニアといったこれまで賃金が抑えられてきた人たちの賃金が今後本格的に上昇していくと思います。
企業も彼らをどう囲い込んでいけるかが重要になってきます。


5/20日経 ドリル受注に見る景気

<要約>
OSGの大沢伸朗社長は、同社の切削工具が国内外の製造業に広く使われていることを背景に、日本国内の景気見通しや企業の課題について語りました。OSGは愛知県に本社を構え、自動車メーカーや関連部品メーカーを主な顧客としているほか、航空機や半導体関連の企業とも取引があります。このため、受注動向は景気を測る指標として注目されています。

現在の経済状況について

大沢社長によると、日本企業の業績が好調であるにもかかわらず、受注は期待ほどではないとのことです。特に自動車のサプライチェーンでは品質不正問題もあり、在庫調整が長引いています。これにより、受注は前年比で9割の水準にとどまっています。また、半導体関連の調整も続いています。一方、航空機関連では新型コロナウイルス禍の影響が薄れ、大型機の需要が高まりつつあり、中型機はすでに活況を取り戻しています。

自動車産業への影響

自動車の生産や出荷停止の影響で、日本の実質成長率は1~3月期にマイナスとなりましたが、6月頃には生産が完全に戻る見込みです。大沢社長は、自動車関連の在庫調整が最終段階に入ったと見ており、トヨタ自動車系の主要部品メーカーの在庫も減少傾向にあると述べています。

コスト上昇と販売価格への転嫁

原材料価格や人件費の上昇が続く中、日本市場では2022年に値上げを実施しましたが、電気代や賃上げによる人件費の上昇が続いており、経営上の課題となっています。海外市場では、インフレ率に応じた定期的な値上げが一般的ですが、日本では依然として難しい状況です。

米中貿易摩擦と中国市場のリスク

米中貿易摩擦による業績への悪影響は現時点では見られませんが、中国の自動車産業の変化や市場の停滞を注視しています。中国で生産された安価な製品が海外市場に流入し、価格競争が激化することへの懸念もあります。

電動化の影響

電気自動車(EV)へのシフトに伴い、自動車メーカーの姿勢にも変化が見られます。EV化が進むと、エンジン関連部品の需要が減少し、OSGの売上高が10~15%減少する可能性があります。しかし、自動車の生産台数は増加する見込みであり、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)など多様な車種への対応が求められます。

大沢社長は、シニア人材の再雇用やコスト転嫁の課題に対処しながら、電動化などの新しい流れにも柔軟に対応していく必要があると強調しています。

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