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池井戸潤19冊一気読みの感想

ミステリー系の小説はハマってしまうので封印していたのですが、日常に楽しみが欲しく久しぶりに大好きな池井戸潤さんの本を読んでしまいました。

読んだ本は「アキラとあきら」です。

読んだら面白くて止まらなくなり、他の本も含め19冊一気に読みました!!

半沢直樹シリーズはKindleに残っていたので2回目でしたが、ディテールを忘れていたので、面白くてまた読んでしまいました。

読んだ本は、以下の19冊です。星は面白度です。

【読んだ本+面白度】

『不祥事』★ ★ ★ ★ ☆
『アキラとあきら』★ ★ ★ ★ ★
『民王』★ ★ ★ ☆ ☆
『民王 シベリアの陰謀』★ ★ ★ ☆ ☆
『銀行総務特命』★ ★ ★ ★ ☆
『犬にきいてみろ』★ ★ ★ ☆ ☆
『最終退行』★ ★ ★ ★ ★
『花咲舞が黙ってない』★ ★ ★ ★ ☆
『半沢直樹 アルルカンと道化師』★ ★ ★ ★ ☆
『果つる底なき』★ ★ ★ ☆ ☆
『ロスジェネの逆襲』★ ★ ★ ★ ★
『銀翼のイカロス』★ ★ ★ ★ ★
『シャイロックの子供たち』★ ★ ★ ☆ ☆
『株価暴落』★ ★ ★ ★ ★
『ハヤブサ消防団』★ ★ ★ ★ ☆
『鉄の骨』★ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『7つの会議』★ ★ ★ ★ ☆
『仇敵』★ ★ ★ ★ ★
『かばん屋の相続』★ ★ ★ ★ ☆

●『不祥事』

花咲舞と相馬が初めて出会う小説です。
始めから痛快でドラマさながら(見たことはないですが)の元気の良さと切れ味の良さが堪能できて面白いです。

ここまで痛快に言うのを読んでると、普段言えない事を代弁してくれているみたいで楽しくなります。

なんだかんだ、優秀な2人だからできることだと思いながら、こういう仕事も楽しいなと思いました。小説を読んだ後、ドラマを少し見ました。なんかイメージのまんまでびっくりしました!笑

●『アキラとあきら』

アキラとあきら。
運命としか言えない2人のアキラの接点が見どころです。

かたやお金持ち、かたや苦労人とういうかかなり悲惨な運命を辿ります。
幼少期からのエピソードからメガバンクに入社してライバルとして、そして・・・

信念のために闘うアキラとあきらの姿には感動します!!

切羽詰まった企業改革と研修の場面は一番の見どころでした。

それにしても経営とは難しいものだと思いました。読んでいてダメにする経営者は絶対おかしいでしょ?と思う選択を凡人にはわからないと思うくらい自信満々にやってしまいます。経験などに裏打ちされた先見の明と妄想で愚かな選択は全く違うのだと思いました。

●『民王』

現役の総理とどうしようもないドラ息子の大学生が繰り広げるコメディ系ミステリーです。

なんか馬鹿げたことを言ったりするのに噛み合うところが面白くて一気に読めました。父の偉大さに感動したり、背後で蠢く巨大な陰謀についての考察が楽しめる作品でした。どちらかというとコメディ要素が多いのでそちらを楽しむ方が強かったです。

●『民王 シベリアの陰謀』

『民王』の続編で、成長した?息子と父親を見れて感動しました。

話の内容は未知のウイルスの話です。コロナを経験しているのでしっくりくるものがあり、没入することができました。騙し騙さる面白い作品です。

どんなことでもそうですが、初動は大切だと思いました。未知のことでわからないことばかりですが、情報収集をして、その場だけでなく、その後の行動を考えて決断することが重要だと思いました。最初の行動は迅速にが鉄則ですが、ただ早いだけではダメだと思います。映画『シン・ゴジラ』やドラマ『日本沈没』でも未知の出来事に対応するのが容易でないことがわかりますが、ここでもそれが学べて今のVUCAと呼ばれる時代に重要な思考だと思いました。

コメディっぽいのに勉強にもなるシーズン2でした。

●『銀行総務特命』

特命係長只野弘のように行内の不祥事に対処していく短編小説です。実際にありそうな不祥事を題材にしていて、銀行だけでなく不祥事に対応する大変さがわかりました。

また、同じことが起きたらどう対応しようかと考えたりすると面白いです。不祥事を起こすきっかけも日頃の業務や会社への不満からきているものもあり、どこにでもリスクがあるし、下手したら自分が巻き込まれる可能性はあるのでちょっと怖い話でした。

自分が社長や管理職でこんな不祥事が起きたらどうするか・・・

結構な決断がいるので、未然に防ぎたいものです。

●『犬にきいてみろ』

花咲舞と相馬の掛け合いが楽しめるとともに、中小企業を守りたい花咲舞の思いが伝わってくるものでした。みんなが一生懸命働いているのに搾取し、不正するのは本当に許せないと思いました。あと、タイトルの意味がわかった時、「なるほど〜」と思わず吠えるではなく、唸りたくなります。

●『最終退行』

船が出てくる壮大な話でびっくりしましたが、話も壮大で終着地はどうなるのかどんどん読み進めてしまいます。

どんな不正が起き、誰が何をしようとしているのか。疑問が疑問を呼ぶ面白い内容でした。きな臭いという言葉が本当に合う小説です!

金融ミステリーとして面白かったです。

●『花咲舞が黙ってない』

いつもながら痛快な掛け合いの花咲と相馬の2人。

不良債権に悩む東京第一銀行の中で情報漏洩が発生する。

強烈なキャラクターと行内の危機に立ち向かう花咲と相馬の金融ミステリーです。

あんまり面白くないだろうと実はドラマ見ていないのですが、今更見れば良かったと後悔していましたが、今田美桜さん主演で放送していたので見ました!笑

●『半沢直樹 アルルカンと道化師』

融資課長として中小企業のために奔走しながら、絵画に隠された謎を追うというなかなか手に汗握る話でした。東京近代美術館の方やパリのことを取材して書かれているので、ところどころでてくる美術の話やパリの話は勉強になりました。

心温まる話もあれば、半沢直樹が出てくるので痛快なところもあり、全体的にマイルド系で面白い作品でした。

会食での立ち回りや信念は、凄いと思うとともに何か忘れてた熱いものを思い起こされるような小説でした!

●『果つる底なき』

第44回江戸川乱歩賞受賞作品である本小説は、題名通り、一つ解決したと思ったらまた新たな疑問が起きて、いつまでも問題がスパイラルし終わらない沼のような事件が起きます。

あらすじにも書いてありますが、「これは貸しだならな。」という印象深い謎の言葉がいつまでも頭から離れません。

読んでいても自分の頭の中にずーっと何故か反芻してきます。
同僚の銀行員がアレルギー性ショックでなくなり、その原因を追い、銀行の闇へとはまっていくミステリー作品です。

●『ロスジェネの逆襲』

半沢直樹の第3弾となる小説です。
これは記憶が薄かったので再読です。

子会社である「東京セントラル証券」に出向させられた半沢直樹は、有名会社のM&Aに関わることになります。そこに親会社東京中央銀行の横槍が入り、M&Aという世界とクセになる敵との攻防戦が・・・

半沢直樹の信念が勝つのか。敵が勝つのか。買収攻防に半沢直樹が逆襲をかける。痛快な小説です。

ドラマでも「詫びろ×10」くらいのセリフが有名ですね・・・

●『銀翼のイカロス』

半沢直樹第4弾です!
この本も再読です。

終始嫌なキャラクターの女性官僚はおそらくモデルはあれかな〜と思いました。閣僚という国家権力の前に絶体絶命な状況になる半沢直樹が帝国航空の再建を進めていきます。企業にとって何が大事なのか。どんな考えで再建するのがいいのかわかります。懸命に働く従業員と経営層、再建者との気持ちの乖離がなんとも言えない感じでした。

ドラマでも「どの口がいうーーーー」と痛快な場面があり思い出されます。

ちなみに、僕はドラマ前に読む派です!

●『シャイロックの子供たち』

シェークスピアの『ベニスの商人』で登場人物として出てくる金貸しシャイロックがタイトル名になっているこの小説は、銀行の融資を巡る金融ミステリーです。

パワハラ、現金紛失、社内恋愛、ストレスにノルマ、出世から外れた行員、色々な行内の事件と人々の物語が一つに繋がるハラハラドキドキする話です。

内容も面白いですが、どんな社員にも家族がいて、背景にはプレッシャーや優しさなど色々あり、自分たちが普段見てる人たちもそうなんだなーと考えてしまします。普段の人を見る目も変わるようになる面白い小説でした。

●『株価暴落』

連続爆破事件と巨額融資が絡み合う金融ミステリーです。

連続爆破事件の犯人は誰か。そして、巨額融資をめぐる対立や思惑などストーリーがテンポよく進んで行き金融もミステリーも楽しめる一石二鳥の本でした!巨額融資と爆破事件がどう結びつくのか。最後まで目が離せず、誰もが予想つかない結末に読み終わってどっと疲れました。

一時期スーパーやショッピングモールができて地元の企業が店を閉めて商店街がシャッター通りになったりしてニュースになっていたことがあります。たまにドラマでもそのようなシーンがでてきます。程度は違えど、ある意味どこで起きてもおかしくないミステリーだと思いました。今まで順調だった商店がスーパーやショッピングモールができて行き詰まる状況は、企業に置き換えてもありそうですし、他人事ではないと思いました。そうした場合、巻き込まれた家族はどうすればいいのかと考えさせられます。

そして、巨額融資を巡る駆け引きや根回し、財務分析からの解決策や状況が変わってきた時にいかに変化できるかが大事なのかということが学べる本となっていました。

●『ハヤブサ消防団』

池井戸潤さんは金融業界出身ということもあり、金融ミステリーが多いと思いますが、今回は主人公のミステリー作家が連続放火犯を追うというミステリーでした。

移住した地域で消防団に入り放火犯を追うことで、地域のことが色々わかってきます。人間関係、土地、過去の出来事、地域を取り巻く環境。実際に田舎にいたことがあるので、「あるなー」と思うことがありました。ニュース等でも移住してから地域のしきたりや人間関係で戸惑うことなどもあり、そういうところを擬似体験できる小説です。

犯人探しだけでなく、土地の環境や田舎の人間環境も楽しめるし、読み進めて知れば知るほど誰もが怪しく見えてきます。

あと、自分たちでこの街を守るという気持ちが熱く感じる作品だと感じました。田舎だから住みやすい、苦悩もなく生きられるだろうと移住するのだと思いますが、やはりそこにはその地域なりの苦悩やしがらみなどがあります。自然が多くて開放感がある場所でも、そこに人がいれば人間臭さは残るし、何もかもから解放されることはないんだろうな〜と思いました。

ソラーパネル、過疎化、カルト集団など色々な社会問題の描写もあり、自分がその登場人物の状況になったらどうするだろうかと考えると、また違う小説の読み方ができて楽しめます。

なので、総合的に楽しめる本でした!

●『鉄の骨』

本小説は、金融ではなく談合に関する話でした。

最後までモヤモヤするすっきりとしない感じです。

それはおそらく、昔からの談合ニュースやイメージがそのまま反映されているからだと思います。

また、クリーンは大切ですが、業績など様々な要因が絡み合い、既得権益を根底から変えるのは難しいということを突きつけられたからなのかもしれません。こういう話題には目を背けてはいけませんし、無かったことにしてはいけないと思いますが、やっぱりいい気持ちにはならないですね。

また、時々恋愛話も入ってきますが、どっちつかずの煮え切らない状況に嫌悪感があったのも理由かもしれません。

●『7つの会議』

居眠り八角という仕事もせず会議でずっと寝ている万年係長がエース社員をパワハラで訴えるところから始まります。

バラバラだった色々な登場人物の過去や現在が一つになり物語の真相が見えてきます。

一回解決したと思ったら新たな疑問や問題がでてきて終始楽しめる小説でした。

組織とは何か。
その歯車である人とは。
お客様とは。

自分の周りにも内容や程度の大小はあれ、起きる出来事が書かれていました。もし自分がその立場だっだらどうするか考えてしまいます。会社に期待しないで自分で生きるのか、組織に魂を売って従うのか。難しい選択です。

家族があったり、守るべきものがある場合や転職が難しいと言われる年齢でスキルがない場合は尚更難しい選択になります。

●『仇敵』

東京首都銀行のエリートだった恋窪は、なぜか地方銀行で庶務工員をしている。本当に優秀で、行内の若手松木と色々な融資案件を解決していきます。

最後の仇敵との闘いはスピード感があり、ハラハラしてに汗握る展開で面白過ぎました!

情報漏洩や脅しや資金流用など色々な行内の事故と色々な事件が起こり、解決しながら話が進んでいきます。

半沢直樹と違い淡々と解決し余韻を残す感じで、スカッとはしなく、現実を見せつけれれる話でした。

●『かばん屋の相続』

金融ミステリーとヒューマンが混ざった短編小説でした。

スカッとしたりするのではなく、余韻に浸り自分だったらどうするだろうと様々な立場にたって読むと面白いです。

ざっくり6つのストーリを紹介すると

①十年目のクリスマス破産倒産した企業の社長が高級バックを持って買い物していることをきっかけにキャッシュフローから謎を解く話です。色々な人生があり、幸せとは…金融マンとしてはどう選択するということを考えてしまう話。

②セールストークひとつの決め台詞のセールストーク。資金繰りの苦しい会社を巡る融資の話誰が貸したのか…自分の行動には慎重になろうと思う話でした。

③手形の行方手形紛失から始まる事件です。社内での行動はしっかりし、安易な行動をしないと思えました。

④芥のごとく。融資課に配属された融資新人の話です。融資の難しいさをしれました。

⑤妻の元カレ妻の元カレの話です。夫婦との関係や自分ならどうするか。恋愛の難しいさを考えました。

⑥かばん屋の相続タイトルにもなるかばん屋の相続問題で、父の相続と兄弟の選択について書かれた話です。物語として1番好きでした。人の話はしっかり聞き、家族といい関係を築くことの大切さを考えさせらせました。

●終わりに

すごい面白い本ばかりで、一気に読み進めることができました。

半沢直樹シリーズや花咲舞シリーズはもちろん面白かったのですが、他の作品も1冊の本に様々な登場人物がオムニバスのように出てきて、その人物の人生とミステリーが読めて楽しかったです。

半沢直樹と花咲舞シリーズ以外の中で面白かったのは以下の3作品です。

『仇敵』
『株価暴落』
『アキラとあきら』

『仇敵』はハラハラ、ドキドキする金融ミステリーが好きな人におすすめです。

『株価暴落』は、二つの事件が複雑に絡み合いながら進み、最後までどうなるかわからなく、読み終わった後に満足感があるのが言い方におすすめです。

『アキラとあきら』は長編ですが、ザ・金融感が好きな人にいいと思います!!

久しぶりにミステリー小説を読みましたが、最高でした。

小説は人生を豊かにする面白い娯楽です♩

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