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英語&翻訳解説【Want More】


まず曲を理解する

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この曲はふたつのことを歌っています。

ひとつは尽きることがない欲望です。

もうひとつは信頼を裏切ることです。

どちらも駄目だというのがこの曲のメッセージです。

人を後ろから刺す者は地獄に落ち、神の裁きを受けるんだと歌ってます。

ボブが生涯持ち続けたキリスト教的倫理観が強くにじみ出たナンバーです。

有名曲ではありませんが、警句を散りばめた歌詞がこころに残る力強い曲です。

英語表現と訳し方

Go down
直訳すると「下に行く」です。

Go up(上に行く)の逆です。

様々な場面で使われる便利な動詞表現です。

「気温が下がる」、「値段が下がる」、「品質が低下する」、「太陽や月が沈む」、「船が沈没する」もすべてgo downと言います。

ここでは落ちていく先が明示されていませんが、地獄へ落ちる(go down into hell)と言う意味です。

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ボブは「地獄」という言葉を隠しているので「下って行け」と訳しました。

Back-bite
Back(背中)+bite(噛みつく)という複合語です。

「背中に噛みつく」、つまり「本人が知らないところで悪口を言う」という意味です。

Back-biterはback-biteする人のことです。

Slanderslursmearも「中傷する」という意味ですが、「知らないところで」、「陰で」と言いたい場合、backbiteを使います。

Stab ~ in the back

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「~を後ろから刺す」、つまり「裏切る」という慣用句です。

名刺化したbackstabberという単語もあります。

「裏切り者」、「陰で人の足をひっぱる者」を指します。

Backstabbersと言えば、この有名なソウルクラシックですよね。

裏切り者とは「会えば笑顔を返してくる。でもいつもお前の座を狙っているやつ」だと歌っています。

Claim
「主張する」、「当然の権利として要求する」という少し硬めの動詞です。

Claim paymentと言えば「支払いを要求する」、claim damagesと言えば「損害賠償を請求する」という意味です。

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日本語の「クレーム」とは明らかに意味が違うので注意が必要です。

日本語で言うクレームは英語だとcomplaints(苦情)になります。

Make a complaint about ~で「~について苦情を訴える」です。

「顧客からのクレーム」はcustomer complaintsと言います。

Have ~ in derision
「~をあざ笑う」、「~を冷笑する」というかなり古めかしい慣用表現です。

補足説明になりますが、ネット上に存在するこの曲の歌詞は、ほぼすべてここをJah have them in the regionとしています。

完全に間違いです。

聖書を読まない人が耳を頼りに書き取ったんだと思います。大事なところで必ず聖書から言葉を借りるボブの作詞スタイルを考えれば間違いなくderisionです。

自信をもって断言しておきます。

Valley of decision
続くこのフレーズも聖書からです。

旧約聖書ヨエル書(Joel)の3章14節に出てきます。

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日本語版聖書新共同訳では「裁きの谷」と訳されています。

悪魔に従う者たちを滅ぼすために主が諸国の民を集める場所を指します。

Want more?
Do you want more?の簡略形ですが、耳だけで歌詞を追っているとOne more?(もうひとつ要るのか?)と歌っているようにも聞こえます。

シンプルなのに含みがあるボブならではのword game(言葉遊び)的フレーズです。

韻を踏んでいる箇所

韻を踏んでいる箇所はここだけです。

But Jah have them in derision
In the valley of decision

翻訳する上で苦労した点

特に難しい箇所はありませんでした。

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