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英語&翻訳解説【Burnin' and Lootin'】

まず曲を理解する

朝目を覚ますと警察が住まいを包囲していた・・・

そうか・・・昨夜暴動が起きたんだったな。そう振り返るゲットー暮らしの主人公・・・

放火と略奪」という現実に起きたすさまじい破壊行為を振り返る曲ですが、実は社会の変革を願うボブの主張が秘められています。

資本家や富裕層が持つ「すべての人が平等に扱われている」という「幻想」は、貧困、差別、ドラッグといった現代社会の有害な面=「汚れ」と共に燃やし尽くされなければならない。それがうめき悲しむ歌詞の裏にボブが隠したメッセージです。

英語表現と訳し方

Curfew
「夜間外出禁止時間」という意味です。

軍事政権によって戒厳令(martial law)が出されているケース以外に、暴動や大地震などの直後に治安維持のために設定されたりします。

「政府は真夜中から夜明けまで外出禁止令を出した」と言う場合は、The government imposed a curfew from midnight to dawnと言います。

Stand over
「近くから人を見張る」という意味です。

目を光らせて厳重に監視する状態を表したい時に使います。

Pay the cost
「代価を払う」という意味です。

よく似た表現にpay the priceというのがあります。意味はまったく同じです。

Burning and looting
ふたつの言葉を一組にして使う慣用表現です。「放火と略奪」を指します。

放火のみの場合、arsonという単語もよく使われます。

「~に放火する」は、set ~ on fire、あるいはset fire to ~と言います。

Roots Man
ラスタマン(ラスタ思想の持主)のことです。

通常レゲエの歌詞ではRasta Man、あるいはRastaを使いますが、ここでは意図的に別の表現Roots Manを用いています。

実はこのアルバムBurnin'のラストナンバーRasta Man Chantまでボブは一回もRastaという最重要キーワードを口にしていません。

興味をそそっておいてアルバム最後の曲で自分たちが何者なのか?明かしているわけです。

前段階としてここでは自分たちは「rootsを大事にする人間」だと伝える。そんな意図からこの造語を使ったんだと思います。

Take a blow
慣用句で「マリファナを吸引する」という意味です。

単数形a blowなんで「一服」です。二回吸引する場合は、take two blowsとなります。

ちなみにラスタの人たちはマリファナをherb(薬草)と呼びます。Potとかweedとかganjaとか言うのは商売のため、あるいはファッションとして姿形だけラスタっぽくしている連中です。

Weep
「涙を流す」「泣く」という意味の動詞です。

「嘆き悲しむ」、「悼む」というニュアンスがあります。

同じく「涙を流す」「泣く」を意味する動詞でもcryには「大声で叫ぶ」、「わめく」というニュアンスがあります。

Weepの方がより悲しみにフォーカスしている感じです。鳥や動物の鳴き声なんかにも使うcryは響き渡る大きな叫びのことです。

Wail
こちらも「泣き叫ぶ」、「泣いて悲しむ」という意味の動詞です。

同じ意味の単語をふたつ並べたweeping and wailingは一種の強調表現です。慣用句とも呼べると思います。

ボブが紡ぎ出す宝石のような言葉の源=聖書でもweepと重ねて使われています。

https://www.biblegateway.com/passage/?search=Jeremiah+9%3A10&version=KJV

Stop the tears
「涙をストップする」→「涙を抑える」という意味です。

Tearsのすぐ後にfrom falling downという説明が隠されています。

全部書くとstop the tears from falling downです。「涙がこぼれ落ちないようにする」という慣用句です。

Hold the tearsという言い方もあります。意味は同じです。

韻を踏んでる箇所

以下の3箇所、語尾で韻を踏んでいます。

How many rivers do we have to cross
Before we can talk to the boss?

All that we got, it seems we have lost
We must have really paid the cost

Give me the food and let me grow
Let the Roots Man take a blow
All them drugs gonna make you slow now
It's not the music of the ghetto

翻訳する上で悩んだ箇所

独立した内容を持つ各パートを強引に結びつけずに「ありのまま」そこに置きながら、「ひとつの歌詞」にするのが難しかったです。

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