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英語&翻訳解説【Revolution】

まず曲を理解する


「俺たちが住むこの世界は間違いだらけだ」

「正義が失われた社会を正すには革命が必要だ」

「ラスタはその先頭に立つ」

そう歌っているこの曲のテーマは「世界の再創造」です。

背景にはボブが信じる新約聖書「ヨハネの黙示録」があります。

近い将来、神と悪魔の間に最終戦争が起こり、神の側が勝利し、造り直された地上に「神の国」が実現する。

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これが黙示録の世界観です。

啓示通り、稲妻、雷、火の海、炎が出現し、あらゆる悪を消し去り、世界を神の正義で覆い尽くすんだと力強く語っています。

予言というより、必ず起こるであろう大変革に対する確信を感じさせるナンバーです。

英語表現と訳し方

Revelation reveals the truth
Revelationとは新約聖書巻末の書「ヨハネの黙示録」を指します。

正式にはThe Book of Revelationと言います。

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Revealは「隠されていたものを見せる」、「知られていなかったことを明らかにする」という動詞です。

Truthは「真理」です。

もっと正確に言うとGod’s truthになります。「(神が告げる)絶対的真理」という意味です。

Revolution
「大変革」という意味です。

通常は「革命」と訳します。

Russian Revolutionと言えば「ロシア革命」、American Revolutionと言えば「アメリカ独立戦争」、Industrial Revolutionと言えば「産業革命」のことです。

社会主義の実現も「革命」のひとつ

ちなみにRevolutionという言葉は聖書にはまったく出てきません。

ボブならでの聖書解釈を反映したこの曲のキーワードです。

Live in the park
直訳すると「公園に住む」です。

詩的な言葉を使って「家を失ってホームレスになる」ことを表現しています。

Shadows
「光がさえぎられてできる影」を指します。

The tree cast a shadow on the groundと言えば、「その木は地上に影を落としていた」という意味になります。

The shadow of deathという言い方もあります。

「死の影」とか「破滅の兆し」という意味です。

Grant ~ a favor
Favorは「好意的な行い」、「恩恵」、「えこひいき」を指します。

Grantは「与える」という意味のフォーマルな響きがする動詞です。

Giveに置き換えることができます。

「恩恵を与えさせてはいけない」と歌っているので、少し意訳して「餌を撒かせてはいけない」と訳しました。

Make it burn
「燃えさせる」という意味です。

目的語「It」が何を指すかは明示されていません。

世界に大変革を起こし、過ちを正すという曲のテーマに合わせて「悪を燃やす」としました。

Rasta deh pon top
Deh ponは標準英語の「are on」に相当するパトワです。

文章全体を英米式の英語に直すとRastas are on topとなります。

「一番上」というのは「神から見て」ということです。

つまりラスタは神から選ばれた民だと言っているわけです。

Predict the flop
Predictは「予測する」、「予想する」という動詞です。

Flopは「失敗」とか「しくじり」を指します。

俺たちにはすべてを支配する神がついているから心配する必要なんかないという意味です。

Lightning, thunder, brimstone and fire
このままの形でワンセットでは出てきませんが、この四つはヨハネの黙示録から引用された言葉です。

Lightningは雷が発する光のことです。

Thunderは通常「雷鳴」を指しますが、ここでは「落雷」という意味で使われています。

Brimstoneは活火山の火口で真っ赤に燃えている「硫黄」のことです。

Fireは単なる「火」ではなく、hellfire(地獄の炎)を指します。

ボブはひっくり返してますが、fire and brimstoneが定番の表現です。

通常「地獄の責め苦」と訳します。

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大まかな説明になりますが、神が四つの災いを起こし、すべての悪を滅ぼし、地上を新しく造り直すというのがヨハネの黙示録の世界観です。

Conception
「妊娠」、「受胎」を指す名詞です。

転じて「発端」という意味でも使われています。

Wipe ~ out
「~を消し去る」、「~を一掃する」という意味です。

自動車のワイパー(wipers)と同じ動詞wipeです。

Creation
「創作物」とか「作品」という意味で広く使われている名詞ですが、本来の意味は「神による天地の創造」です。

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よく似た単語にproductionがあります。

こちらは「生産」や「製造」を指します。

「生み出す」主体が神とは関係ない場合に使われる言葉です。

Let Ises I
ラスタの祈りの言葉です。

IsesはI-wordです。元の形はpraisesです。

Praisesは「賛美」です。

語尾の「I」はmost highとHaile Selassie Iを同時に指しています。

前者は「いと高き神」、後者は「ハイレ・セラシエ1世」です。

文全体を英米式の英語に置き換えるとLet us pray to the Lordとなります。

In Ises black, in Ises red, in Ises dread
Blackは肌の色、redは血の色、dreadは髪の毛の形状を指します。

意味が通るように「黒人」、「血を流した者」、「ラスタ」と訳しました。

Let righteousness cover the earth
Let~cover the earthで「~に世界を覆わせる」という意味です。

Righteousnessは「神の正しさ」という意味のキリスト教用語です。

意味は文脈により変化します。

「神が人間に求める生き方」、「神の裁きの基準」、「人間を救う神の働き」、「神と人間の正しい関係」などを指します。

抽象的でとらえにくい言葉ですが、ボブのメッセージを理解する上ですごく大事な言葉です。歌詞でも多用されています。

韻を踏んでいる箇所

この曲はものすごく多いです。

以下の7か所で韻を踏んでいます。

It takes a revolution
To make a solution
Too much confusion
So much frustration

I don’t want to live in the park
Can’t trust no shadows after dark

So, my friend, I wish that you could see
Like a bird in the tree
The prisoners must be free

Never make a politician
Grant you a favor
They will always want to
Control you forever

So if a fire make it burn
(Make it burn, make it burn)
And if a blood make you run
(Make you run, run, run)

Rasta deh pon top, can’t you see?
So you can’t predict the flop

All weak at conception
Wipe them out of creation

翻訳する上で苦労した点

リフレインで突如出てくるパワーワードlightning, thunder, brimstone and fireをその前の歌詞とどう繋げばボブのメッセージがうまく伝わるのかというのが一番の悩みどころでした。

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