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英語&翻訳解説【Exodus】


まず曲を理解する

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圧倒的なスケール感を持つこのアルバムタイトル曲は「解放の歌」です。

自分を抑圧し、辛い状況に閉じ込めている社会的、心理的なモノや人から心と身体を解き放ち自由になるんだと歌っています。

預言者モーセがユダヤの民をエジプトでの苦難から救い出し、約束の地へと導いた旧約聖書の「出エジプト記」がモチーフとなっています。

自由になるには勇気と決意が必要です。最初の一歩を踏み出せなければ永久に囚われの身のままです。

さあ、行こう、何度もそう繰り返してボブは虐げられ臆病になってしまった我々を励まし、決意と共に闇から脱出するよう促しています。

耐えがたい苦しみの中にいてそこから逃れたいともがいている人は今も世界中にたくさんいます。生き方を変えたいと心から願うすべての人を力づける永遠の応援歌です。

英語表現と訳し方

Exodus
Movement of Jah people

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Exodusは「国外脱出」、「集団移住」、「大量出国」という意味です。

旧約聖書では「出エジプト記」を指します。

続くMovement of Jah peopleは「Jah peopleの大移動」というexodusの内容説明です。

Jah peopleとはJahを信じる人たちのことです。

Jahとはアブラハムの神(The Heathenに関するあれこれで説明しています)のことです。

「国外脱出/Jahの民の大移動」では、さあ出発だ!というドラマチックな雰囲気が伝わらないので「出ていくんだ。 Jahの民は旅立つ」と動的に訳しました。

Help me Jah Jah
Let me tell you this

ネット上のあらゆる歌詞サイトにはこの部分、Heaven will tell to let me tell you thisと記載されています。

完全に聴き取りミスです。Heavenとは言ってません。そして間違いなくJah Jahが入っています。

 Help me Jah Jahは、ゴスペルに出てくるHelp me Lordと同じです。神に対するお願いです。

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Men and people will fight you down
Menは成人男性たち、peopleはここでは女性や子供を含むそれ以外の人たちを指します。

Men and peopleはこの曲以外では見かけないフレーズです。

聖書にも出てきません。調べがつきませんでしたが、たぶんラスタ用語だと思います。

Fight youは「君に口論をふっかける」=「お前は間違ってると言われる」という意味です。

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Fightに続くdownは特に意味がありません。Fight downはボブの口癖です。

Roads of creation
Creationは「神による創造」を指します。

創造の道では何のことか分からないので「神が創った道」と訳しました。

出エジプト記でモーセが海を割った時、出現した道のように神から与えられた脱出経路のことです。

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We the generation
Weとthe generationの間にareが隠れています。

We are the generationという意味です。

Trod
Treadの過去形です。

Treadは「歩く」、「踏む」、「進路を進む」という動詞です。

過去分詞形のtroddenを使ったwell-troddenという形容詞もあります。

Well-trodden pathで「踏み慣らされた道」です。多くの人が選ぶ選択肢という意味です。

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Tribulation
「苦難」を意味する日常会話には出てこない言葉です。

旧約聖書、新約聖書に何度も登場します。

ひとつだけ例を挙げておきます。

その苦難の日々の後、たちまち 太陽は暗くなり、 月は光を放たず、 星は空から落ち、 天体は揺り動かされる。

(マタイによる福音書24章29節 新共同訳)

Immediately after the tribulation of those days shall the sun be darkened, and the moon shall not give her light, and the stars shall fall from heaven, and the powers of the heavens shall be shaken.

(Matthew 24:29 King James Version)

Babylon
ユダヤ人たちが今のイスラエルやパレスチナから捕虜として連れて行かれて労働者として働かされた異郷の地、新バビロニア王国の首都バビロンのことです。

現在のイラクの首都バグダードの南にあった古代都市です。

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ラスタ用語としてのBabylonはアフリカ系の人たちを抑圧してきた西洋文明や資本主義社会のシステムを指します。

そういったものが眼に見える形で存在している欧米の大都市もBabylon呼ばれます。

Babylon in today's world

反対語はZionです。

必要に応じて聖書を読み替えて解釈するラスタにとってZionとはエチオピアのことです。

Fatherland
「父祖の地」です。

「祖国」のことです。

似た表現にmotherlandというのがあります。

同じ意味です。こちらは「母国」が定訳です。

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この歌詞の場合、Father=Godなので「父なる神の国」と訳しました。

Brother Moses
Mosesとは、旧約聖書の代表的預言者モーセのことです。

英語では別名Deliverer(救出者)としても知られています。

この映画で有名です。

キリスト教の世界では信仰を共にする仲間のことをbrotherとかsisterと呼びます。

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英語圏の黒人たちも同じように親しい人のことをbrotherとかsisterと呼びます。

Mosesは通常brotherと呼ばないんですが、自分に与えられた大きすぎる使命に悩みながらも人々に神の意思を伝え、それを実行に移したMosesにボブは特別な親近感を感じていたんだと思います。

From across the Red Sea
From acrossはものすごくよく使われる表現です。

Across以下を「横切った向こう側から」という意味です。

From across the riverだと「川を渡った向こう側から」、from across the streetだと「道路の向こう側から」です。

Red Seaは「紅海」です。

ここです。

今は諸説あるんですが、モーセが割った(=水を引かせて歩けるようにした)海はキリスト教では長い間、紅海だとされていました。

「海割り」は出エジプト記前半のクライマックスとも言える有名なエピソードです。

「海を割る」はparting the waterと言います。

Downpression
ラスタ用語です。

Oppression(抑圧)という意味です。

Up(上方向)はポジティヴな言葉だ、でも抑圧はネガティヴな状態だ、というラスタ式ロジックでupと音が似たoppをdown(下方向)と言い換えることで「発音」と「意味」を一致させています。

Wipe away ~
「~を拭い去る」という慣用表現です。

Take awayとかremoveと言い換えることができます。

自動車のwipersのwipeです。

Transgression
宗教的、倫理的な「罪」を指す硬い言葉です。

日常会話レベルでは決して使わない単語です。

Set ~ free
「~を開放する」、「~を自由にする」という慣用句です。

The Supremesのヒット曲You Keep Me Hangin’ Onの出だしで使われたことで知られるフレーズです。

Captives
「捕虜」とか「囚われた人」を指す言葉です。

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Prisonersと言い換えることができます。

似た言葉にhostagesというのがあります。

こちらは「人質」です。

韻を踏んでいる箇所

次の2か所で韻を踏んでいます。

Through the roads of creation
We the generation
Tell me why?
Trod through great tribulation

Jah came to break downpression
Rule equality
Wipe away transgression

翻訳する上で難しかった点

出だしのExodus/Movement of Jah peopleの訳し方が難しかったです。決然と出ていく力強さを表現したかったので動詞形で訳しました。

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