英語&翻訳解説【Rebel Music】
まず曲を理解する
この曲のテーマは「自由」です。
ここは自由な国だろ?なのに、どうして俺たちは自由に生きることができないんだ?
マリファナ所持と路上検問という実体験を通じて自分たちを縛っている不条理なものに対する疑問をリスナーに投げかけています。
舞台はジャマイカ、時代は1970年代初めです。でも自由を求める歌詞は不自由を強いられている世界の人たちの心に今も響きます。
束縛から解放されて自由に生きることは、人種、性別、年齢、貧富といった違いを越えてすべての人が共有するべーシックな欲求だからです。
英語表現と訳し方
I…rebel music
I am rebel music、「俺は反逆の音楽だ」と言っているわけではありません。
英語は徹底的に論理的な言語です。人は音楽にはなり得ません。
この「I」はmyという意味です。一種のI-wordです。
単刀直入に曲を紹介する目的でmy rebel music、つまり「これは俺の反抗するための音楽」だと歌っています。
I-wordsとは、ラスタが用いる独特のボキャブラリーです。様々な単語の最初の音をIに置き換えるのがその基本ルールです。
Rebelは「反抗」、「反逆」、「反乱」、「非服従」を意味する語感の強い言葉です。
The rebel armyと言えば、「反乱軍」という意味になります。
I'm a rebelという風に名詞としても使います。
Roam
「あてもなく歩き回る」とか「放浪する」とか「うろうろする」という意味の動詞です。
現在進行形にすると、携帯電話のローミングサービスのroamingになります。
Open country
Openは「解放されている」、「出入り自由な」という意味です。
Open countryで「自由な国」です。
「閉鎖的」な「閉ざされた国」はclosed countryと呼ばれます。
Open countryには「広々とした見通しのいい土地」という意味もあります。
こちらのニュアンスも込めたダブルミーニングな表現だと思います。
Roadblock
検問のために設けられた道路上のバリケードを指します。
そこから転じて「路上検問所」という意味も持つようになった言葉です。
通行を遮断するための障害物が設置されていない検問所はcheckpointと言います。
Throw away ~
Throw(投げる)とaway(離れた場所)で、「投げ捨てる」という意味の慣用表現です。
投げ捨てる対象はモノだけではありません。
He threw away a good opportunityと言うと、「彼はいいチャンスを棒に振った」という意味になります。
Throwとawayをドッキングさせた形容詞throwawayというのもあります。
「使い捨て」という意味です。
割り箸のことは、throwaway chopsticks と言います。
Herb stalk
Herbはマリファナのことです。ラスタ用語です。
Stalkは、植物の葉と茎を含んだむしり取れるひとかたまりの部分を指します。
ピッタリの日本語が無いのでとても訳しにくい単語のひとつです。
ちなみに育てたマリファナは根元から丸ごとカットするのではなく、先端部だけをstalksの形で収穫することが多いようです。
Sus ~ out
「~を調べる」、「~を調査する」という意味です。
非常にイギリス的な表現です。北米ではまったく使われません。
アメリカ英語のsearch ~ outに相当します。
In doubt
「疑わしい」という意味です。
When in doubt, check it out in a dictionary(疑わしい場合は辞書で調べなさい)という風に使います。
Cop
「警官」を指す口語表現です。
教科書的な英語だとpoliceman、policewomanになります。
もっとていねいにofficerと言う人もいます。Police officerの略です。
Birth certificate
出生(birth)の証明書(certificate)です。
英米同様ジャマイカにも戸籍制度(family registration system)は存在しません。
Birth certificateが唯一の身分証明書です。
どこに行くにも持ち歩くようなシロモノではないです。
韻を踏んでいる箇所
以下の二か所で韻を踏んでいます。
翻訳が難しかった箇所
ピッタリの日本語が存在しないため、herb stalkをどう訳すか悩みました。「茎」と訳しましたが、あまり納得はいっていません。
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