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英語&翻訳解説【Rasta Man Chant】

まず曲を理解する

ラスタが使う旗印

これはついにボブが自分たちの正体=Rasta(ラスタ)を明かした曲です。

この曲のテーマは使命です。

ラスタの使命とは彼らがBabylon(バビロン)と呼ぶ欧米人が自分たちの利益のために生み出した黒人にとって抑圧的で差別的な社会のシステムを打ち砕くことです。

この使命を果たした時、ラスタは神に召され、天の国に旅立つんだと歌っています。

英語表現と訳し方

Hear the words
命令形ではありません。

主語「I」が抜けています。口語表現です。

ここだけでなく、ボブの歌詞は、主語「I」を抜かしていることが多いです。

文型だけ見て命令形だと判断して訳しているのを見かけますが、多くの場合、勘違いだと思います。

ボブは上から目線で人に命令とか指図をするようなタイプじゃないです。

「~したらどうだい?」「さぁ~しよう」と歌の中で呼びかけるのが彼の基本スタンスです。

Hear the words of ~ say
通常はhear ~ sayという形で使われます。

「~」がsay以下の内容を言っているのが聞こえるという意味です。

Rasta Man
ラスタのことを指します。

第三者について語る時に使う言葉です。

He's a Rasta manという風に使います。

自分について言う場合、rastaを使います。I'm a Rastaと言います。

女性形はRasta Womanです。

Iya Man
Higher Manという意味のI-word(ラスタ用語)です。

Herb(マリファナ)の助けを借りて意識や精神が真実に向けて開かれ、「より高いレベル」に到達してる人のことを指します。

ラスタマンの同意語です。

Babylon
一般的にはメソポタミア地方(現在のイラク)の古代都市を指しますが、ラスタがこの言葉を使う場合、抑圧的な資本主義、物質万能主義に毒された西欧中心の腐った現代社会という意味です。

完全にネガティブな言葉です。

Babylonを打ちこわし、そこから脱出するんだというのがラスタの信念であり、基本的な生活信条です。

ちなみにボブはBabylon SystemというBabylonに対する抵抗の歌も作っています(アルバムSurvival収録)。

Angel with the seven seals
新約聖書の最後に置かれたヨハネの黙示録Revelation5章 に出てくる「天使」のことです。

ボブが使っていた欣定訳King James Versionの表現に合わせると、a strong angel with a book sealed with seven sealsとなります。

新共同訳で使われている日本語表記に直すと「七つの封印で閉じられている巻物を持つ力強い天使」です。

(イメージ画像)

日本語でも英語でもこれではあまりにも長すぎます。なので思いっきり短縮してangel with the sevel sealsにしたんだと思います。

名詞sealには、「封印」以外に「印鑑」、「密封」、「保証」などの意味があります。

そのままの音で日本語にもなってます。封筒や小包なんかに貼る「シール」のことです。

Fly away home
Fly awayは「飛び去る」という意味です。

飛んでいく先が「わが家」や「生まれ故郷」を意味するhomeなので「天に帰る」と訳しました。

ラスタやクリスチャンが帰る家とは「天国」のことです。

Zion
聖書的には、エルサレム旧市街の東南部に位置する「シオンの丘」を指しますが、ラスタは天国、またはエチオピアという意味でこの言葉を用います。

Babylonの反対語です。ラスタは、ZionとBabylonを対にして多用します。

Work 
いろんなことを指す万能系の名詞です。

「仕事」、「労働」、「努力」、「研究」、「職場」、「作品」、「土木工事」など、さまざまな意味があります。

ここでは生活していくための「労働」ではなく、自分が「やるべきこと」、「果たすべき勤め」という意味で使われています。

I have work to doと言えば、「私にはやるべきことがある」という宣言になります。

Man
単数形で冠詞なしで使われる場合、「人」、「人間」、「人類」を指します。

God and manと言えば、「神と人間」という意味になります。

韻を踏んでいる箇所

この曲には韻を踏んでいる箇所はありません。

翻訳する上で苦心した点

メッセージが明確なので特に難しい箇所はありませんでした。

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