英語&翻訳解説【Stir It Up】
まず曲を理解する
この曲は1967年にジャマイカ国内でオリジナル・ウエイラーズ(Peter+Bunny+Bob)がシングルとしてリリースしたナンバーのリメイクです。
ネット検索して知りましたが、マリファナ入りブラウニー(pot brownies)作りを隠喩で表現した曲だと考える人もいるようです。
でもこれは前年に結婚した最愛の妻Ritaのためにボブが書いたラブソングです。
あいまいな歌詞(たぶん意図的にそうしてあります)で確かに解釈の余地が大きいですが、ヘンに勘ぐり過ぎるのはよくないです。
英語表現と訳し方
Stir it up
Stir ~ upは「~をかき混ぜる」、「~をかき立てる」という意味でよく使われる表現です。
文脈によって「~を引き起こす」とか「~を刺激する」とか「~を動かす」という意味にもなります。
いくつか例を上げておきます。
実はStirに関しては、どうしても書いておきたいことがあります。
この曲のカタカナタイトルは「スター・イット・アップ」ですが、完全に間違ってます。
カタカナで書くとStirの発音は「スティア」です。アメリカやイギリスだけでなく、世界中の英語話者がこう発音します。
どうして明らかに発音と異なるカタカナ表記が採用されたんですかね?曲を聴けば誰にでもわかるミスを長年訂正してないのも不可解です。
今回動画投稿するにあたって、カタカナ表記を「スティア・イット・アップ」に直すべきか悩みましたが、曲タイトルで検索する人も絶対にいると思うので、オリジナル表記のままにしておきました。
長くなってしまいました。解説に戻ります。
この曲Stir It Upで問題となるのは、目的語Itが何を指すのかですね。
答えは「わからない」です。ワザと不明瞭にしてボカしてあります。そうすることでいろんな風に聴こえるようにしてあるんだと思います。
「こころ」のことだと理解する人もいるし、「身体」だと解釈する人もいます。両方という考えもアリですね。
個人的には性的なニュアンスがあるような気がします。でもそのへんは個人個人の感じ方次第だと思います。
特定の解釈を押しつけないように「かき立てて」と訳してみました。
Little darling
Little自体に意味はないです。Darlingにセットでついてくるお決まりの言葉です。
Little babyとかlittle sweetieなんて言い方もあります。
Get ~ on my mind
この表現は、Have ~ on my mindと言い換えることもできます。「~について考える」、「 ~を気にかける」という意味です。訳としては「気にかけ始めてから」で問題ないんですが、少し詩的に表現しようと思い、「こころに住みついてから」と訳してみました。
I…blaze your fire
この箇所は「…」のところで歌詞を抜いてます。
本来の歌詞では「…」のところにI’ll push the woodというフレーズが入っているんですが、この録音では歌ってません。理由は謎です。
ちなみにI’ll push the woodのwoodとは、素直に解釈すればfirewood(焚き木)のことです。
Pushという動詞のチョイスが独特でおもしろいです。「焚き木を押し動かす」とはあんまり言わないです。通常だったら焚き木をbring(持ってくる)と言うところでなぜかpushを使ってますね。
裏読みしすぎかもしれませんが、「何を押してるんだろう」、「woodって何?」と思わせる意図があるのかもしれません。
Keep it in it
直訳すれば、「それをそこに留める」となります。
この場合、「それ」→ your heart’s desire、 「そこ」→ your fireなので「満たされたこころを火に留める」となります。
こころに火がついた状態をキープするんだと歌ってるんで「火を消さないこと」としました。
Cool me down
Cool ~ downで「~を冷やす」です。
正反対の表現にheat ~ upというのもあります。「~を温める」、「~を加熱する」という意味です。
韻を踏んでる箇所
この曲はここ一か所だけです。
翻訳する上で悩んだ箇所
曲のタイトルである上に、何回も繰り返されるキーフレーズStir it upをどう訳すかが難しかったです。
初期段階では「かき混ぜて」や「かきまわして」も仮訳として試してみました。時間をおいて何回か読み直してみて、「かき立てる」が一番しっくりくるな~と判断し、この訳語を選びました。
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