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カラフルな世界で生きたい!


最近、「原因は一つではない」ことを、意識している。意識しているというか、そう考えるクセを作ろうとしているといった方が正確かもしれない。


ことあるごとに「原因は一つではないぞ!」と自分に言い聞かせている。


特にテレビやネットニュースを眺めているときは、それを意識している。「円安経済なのは、総理が~」とか「政治ジャーナリストを刺した犯人は、彼の親が~」とか。人々の目を引くために、あらゆるパワーワードが並んでいるが、その全てに対して、「いやいや、原因は一つではないからね」とツッコミを入れる。


「原因は一つではない」


このツッコミを入れるだけで、世界の見え方が変わったりする。でも、そんなことは当たり前なのだ。


恋人と別れた。
相手が浮気したからだ。
はい、おしまい。


いやいや、原因は一つではない。もちろん、浮気は大きなキッカケだと思うし、浮気した人間が悪い。でも、浮気をする前から、きっと二人の関係には亀裂があったはずだ。


タオルケットの使い方、トイレの便座の開け閉め、掃除、洗濯の作法、交友関係・・・。些細なズレが積み重なり、そして浮気という大きな後押しが、結果的に別れに繋がったのだろうと想像してしまう。


では相手が浮気をした原因はなんだったのか。これも、きっと一つではない。たまたま仕事で大失敗をして、ヤケ酒をしているところに誘惑がやってきたのかもしれない。浮気相手に略奪されたという可能性だってある。いやいや、そもそも相手に自制心がなく、浮気グセのようなものが備わっていたクズ人間だったのかもしれない。


とにかく原因は一つではない。様々な要因が絡み合った結果なのだ。でも、やっぱり原因を絞って「なにかのせい」にするのは簡単だし、その方が都合がいいことの方が多い。


「ミスをしたのは誰だ?」

「アイツです」

「原因はなんだ?」

「アイツが忘れてたみたいです」


たしかに、これで納得がいく。でも、やっぱり原因は一つではない。だって、「アイツ」が前日の夜遅くまで上司の接待に付き合わされていた可能性だってあるんだから。もしかしたら、直前までは仕事を覚えていたが、急に別の大きな仕事を振られたせいで、キャパオーバーになってしまったのかもしれないし。わざわざ話を複雑にする必要もないとは思うが、「忘れる」にしたって、色々と要因はあるものだ。


「彼女は、どうして退職することを決めたんだ」

「なんか、自分のやりたいことができたみたいですよ」

「なるほどな。頑張ってほしいな!」


いやいや。それだけのワケがないだろう。原因は一つではない。年齢、人間関係、家族関係、様々な理由があったはずだ。でも、体裁を考え「やりたいことが見つかった!」という表現をしたのだろう。その方が見栄えもいいわけだし、転職するにしても印象がいい。そして簡潔であるほど、人は納得しやすいしね!


大人の社会では「話を簡潔に」なんてことを言われたりする。だから余計に、省いて物事を考えるようになってしまうし、シンプルに伝えることが美しかったり、カッコいいと思われる風潮がある。


でもさ、でもさ。考えれば考えるほど、原因なんて一つじゃないし、簡単に説明できることなんてないと思うんだよね。なんにしてもそう。子どもにだって、言い分はある。「遊びたい!」と言っていても、その言葉の裏には「友達にはいじめられるから、ママとパパと遊びたいんだ!」という気持ちがあるかもしれない。


はああ。わざわざ物事を複雑に考えるなんて、非効率的だし野暮ったい。そして、「複合的に考えるメリットはなんだ?」と聞かれたら、正直、コレと言った解答はできない。だって、これも一つだけではないからさ。でも、強いてあげるなら「見てる世界の色が増えて、生きてて楽しくなる」・・・かな。


相手を「赤色の人」と捉えるか、それとも「カラフルな人」と捉えるか。


そんなような違いだと思う。


なんにしたって、ウチはカラフルな世界に生きたいってことだね!


だからウチは、今日も「原因は一つではない」と唱えている。



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