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【エッセイ】 不安との付き合い方。


朝起きても、太陽が昇っていないことがある。黒い空の中を、ぼつぼつとグレーのかたまりが浮かんでる。車が轟音を立てて家の前をすぎる。まだ昨日が続いている感じ。あたしは、そんな重い朝に影響されやすい。

天気と同じように心の模様も変化する。雲ひとつないような晴れもあれば、白い絵の具を撒き散らしたような晴れもある。曇りも同じ、雨もそう。一つとして同じ天気は存在しない。曇り空が続いていても、昨日と今日の雲は違う。雲が近くて、どんより暗い時もあれば、空が高い時もある。ほんとうに、バラバラ。

朝だけじゃない。夕方に見せる表情も、毎日変わる。昨日の夕暮れは、これから朝が始まる予感があった。夕方なのに朝を感じるって、面白いでしょ。地平線が真っ赤に染まり、天に向かって青が深くなる。朝の景色と似てたんだ。朝焼けと、夕焼け。どっちも焼け方がそっくりだった。そんな日もある。刻々と移ろい、時々、ぴたりと似てたりする。予報だって、外れるさ!

あたしの今の心の天気は、雨の日が続くみたいにシトシトしてる。湿度高め。実際、雨が降るみたいに涙を流す時もあった。でも、スッキリしない。雨だってスッキリするために降ってるわけではないもんね。空が濁ってる。

不安の正体は分かってる。漢字3文字。停滞感。
カタカナにしてあげたら、ゲームのキャラクターみたいになる。テイタイカン。

解決方法は二つ。一つ、前進してる実感を得ること。これは哲学だと思う。難しくて面白い話。なにをもって「前進してる」と感じるんだろうね。昨日より今日の方が進んでると思えることって、どんなことがあるのかな。筋トレもそうかもしれないし、読書とかもそうかもしれない。仕事だって、メールを送ればいいだけだったら、前進してるといえると思う。でもなにかが違う。そうじゃないと思ってしまう。だから難しいのよ、ゼンシンカン!

そして、もう一つは、天気が変わるのを待つこと。ただひたすらに、過ぎていくのを待つということ。やまない雨はないからね。じっと待つ。待ってる間になにかができると考えてしまう、効率なんて考えてしまうのはヒトだけ。他の動物をみてみると、鳥も虫も静かにしてる。流れていく水玉たちには逆らえない。だから、ひたすら、待ってる。

あたしも待とうと思います。解決するために、待とうと思う。動物を見習って、待って、待って、待って、待つ。どれだけ雨が続いてたって、たまには晴れる時がある。それは間違いないんだよ。そんな晴れの日を、ちゃんと覚えて書いていこう。雨は「恵みの雨」とも言う。この不安も、「恵みの不安」なのかもしれない。ある晴れた日に、地面に若葉が芽吹いているかも。そんな日を想像すると、ポッと笑みが溢れてくる。

これがあたしの不安との付き合いかた。


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