🇫🇮フィンランドの画家の方とお会いしてきました
ある晴れた5月の日。フィンランド人の画家さんを東京観光に案内するために、私は浅草へ向かっていました。
きっかけは一通のメッセージ
事の始まりは、前回のnoteに記載した語学学習アプリ「HelloTalk」で会話をしていた内の一人から頂いた一通のメッセージ。
「私は今東京の旅行中で⚪︎日まで浅草に泊まります。会えたら嬉しいですが、東京の近くにいますか?」
この方はフィンランドで画家をされている方で、以前、絵描き同士ということで話が合い、インスタを交換したアントンさん(仮名)。
いつか誰かに会ってみたいなあと思ってはいたものの、突然訪れたチャンスに動揺しつつ、私の家族と3人で会うことを提案すると二つ返事で了解をもらえたためお会いすることにしました。
日本語が中級程度に話せるという事も会おうと思えた理由の一つにありましたが、一番の理由は他にありました。
彼のインスタにはなんと、彼の展示会にフィンランドの元大統領タルヤ・ハロネンさん(フィンランド初の女性大統領になった方)が訪れている写真が投稿されていたんです。
それを見て、なんかすごい...!会えるものなら会ってみたい!という好奇心でいっぱいになりました。
いよいよ、待ち合わせへ
そして浅草での待ち合わせ場所へ。メッセージや作品からも控えめな印象はあったものの、「一体どんな人なんだろう、想像がつかないね」と話しながら向かうと、浅草のど真ん中にポツンと佇むブロンドの髪の外国人が。
視界に小さくうつる彼は、異国の地で初対面の人と待ち合わせをするという孤立感を差し引いても、とても物静かな方なんだろうという事を遠目から感じ取ることができました。
長い横断歩道の真ん中あたりで目が合い、こちらに気が付いた彼を安心させるため、大きく手を振りながら「初めまして〜!」と全力で駆け寄る。
私「初めまして、⚪︎⚪︎(本名)です!アントンさんですよね?」
アントンさん「初めまして、アントンです。来てくれてありがとうございます。」
ゆっくりと話す日本語も相まって、優しい雰囲気が漂う、控えめで物腰柔らかい人というのが第一印象。
「フィンランド人はシャイ」だとか、「フィンランドはヨーロッパの日本」だなんて言われる国ですが、彼もそんなフィンランド人の一人なのかも。
互いに日本語での挨拶を一通り終え、上野観光へ向かうことに。
上野観光へ
上野を歩いていると、京都の伏見稲荷のように鳥居が連なっている花園稲荷神社が見えたため、入ってみることに。
本堂では参拝の二礼二拍一礼を教えた。
アントンはちょっと恥ずかしそうにお賽銭に1円を出していた。
稲荷神社なのでキツネの石像があり、「私の住んでいるところにもキツネがいます」と話してくれた。他にも住んでいる動物はいるかと聞いてみると、野生のハリネズミやリスなんかがいるそうだ。
野生のハリネズミ!?可愛い...!チョー羨ましい…!
フィンランドの田舎への憧れは増すばかり。
その後は上野東照宮へ。「徳川家康を祀る神社」という説明を考え、アントンには「日本のサムライの墓」と伝える。
すると「墓」が分からなかったようなので、英語で説明する。
知らなかった単語を知り、「オオーーっ😳」と目をキラキラさせて熱心にメモを取る姿はなんだか素敵だった。
引き続き上野を歩いていると、お祭りの屋台や簡易テントの雑貨屋さんが立ち並んでいた。雑貨屋さんといっても昭和のガラクタが主な商品だ。
アントンは古くて黒ずんだトミカを手にして「これはちょっと調子が悪い」と笑っていた。
別のテントを覗くと、漢字一文字の鉄製スタンプがたくさん売られていた。
アントンに「手紙に押せる漢字はありますか?」と聞かれたので、英語で意味を教えながら一つずつ見ていくが、「愛」「友」「絆」「誠」のような良い感じの字が一つもなく「専」「具」「絶」「浅」みたいな、単体ではイマイチ魅力に欠けるものばかりだった。
というかおそらく中国製だ。
「墓」があり、アントンと一緒に笑った。
それでもなんとか良さそうなものを探し、最終的にアントンが購入したのは「即」「送」「迎」「城」だった。
即送迎してくれる城…ギリ縁起良さそう。
手紙に押してあっても許されるだろう。
フィンランドの田舎での生活
彼の居住地について尋ねてみると、ヘルシンキから交通機関で2時間ほど北へ行った町らしい。
フィンランドの大きさを考えると、都心のヘルシンキに近い地域と言えるだろう。
Googleマップで住んでいる町を検索してストリートビューに切り替えると、のどかな田舎町が広がっていた。
ハリネズミやリスやキツネや鹿がいる、のどかな田舎の町で画家をしながら暮らす人生を想像してみた。
そんな人生があるなんて、東京で暮らす私には別世界の話のようで、なんだか夢みたいだった。
以前映画で見たゴッホの人生を思い出した。
(「ゴッホ 最期の手紙」という、世界各国の画家による油絵のアニメーション映画がものすごく良かったので、絵が好きな方には是非見て欲しいです!決して明るい内容の映画ではありませんが)
上野の商店街へ
昼食後、上野の商店街を散策。
アントンはガチャガチャ屋さんがあるたびに楽しそうに覗いていました。
秋葉原の観光では食品サンプルのガチャガチャを山ほど回し、プレステ2の本体とソフトを20個も購入したそう。
確かにオモチャやゲームって任天堂が有名な日本ならではの買い物って感じがする。
私たちより年上だけど、ガチャガチャを楽しそうに回す姿は少年のようでした。
「カプセルはここに捨てられますよ」と教えると、少し日本語を考えた後「カプセルもお土産です☺️」と言われて、なんだかほっこりした。
フィンランド人は日本人と似ている?
前述の通り、フィンランド人はシャイで大人しく、日本人に似ているなんて言われる国民性だと聞きます。
日本人のシャイで控えめな人は「遠慮しぃ」「他人の顔色を窺う」という性格の方が多いのに対して、シャイなフィンランド人であるアントンは「マイペース」「無言の時間を楽しむ」…そんなのんびりとした空気感をまとっていました。
お土産屋さんでは同じ場所で30分〜1時間も吟味していたり。笑
今日のお誘いも、「会えたら嬉しいです」「私は⚪︎日が空いています」とストレートなお誘い。
「もしご都合が良ければ…」「もしご迷惑でなければ…」なんて前置きは日本人特有の気遣いなのかな?
アントンに日本の好きなところを聞くと「文化や礼儀作法」と言っていたので、つい遠慮しがちな日本人の性質も好意的に思ってくれているのかなぁ。
いくつか商店街のお店を周った後、解散することに。
二週間東京に滞在しており、明日が帰国日だと話すアントン。
「ずっと日本にいたので帰る事が悲しいです」と言うので「そういう時、日本人は『名残惜しい』と言いますよ」と教えた。
そうしてアントンは「名残惜しい」と言って、ホテルへ帰って行った。
私たちも、名残惜しいなあ。名残惜しいねえ。と話しながら中央線に乗って帰路についた。
翌日、語学アプリでアントンの位置情報を見ると、ちゃんとフィンランドになっていた。
無事帰れたんだなという安心感と同時に少し寂しさがあった。