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水引の結びに込められた思い

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普段見かけるご祝儀袋には登場しない古典の結びの紹介と意味などを紹介します。
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2021年6月の記事一覧

【松に日の出結び】(まつにひのでむすび)

【松に日の出結び】(まつにひのでむすび)

この結びは縁起物の「松」と「日の出」の二つのモチーフを組み合わせた結びで、豊かに枝を伸ばした松の向こうから朝日が登るシーンを連想させます。

メインのモチーフである松は一年を通して青々とした葉を繁らせる常緑樹であることから、長寿を象徴する縁起物として知られています。
冬の寒い時期にも葉を落とすこともなく、雄々しく寒風を耐え忍びます。

そして後光のように仕上げられた輪っかの部分が日の出を表していま

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【宝結び】(たからむすび)

【宝結び】(たからむすび)

大きな袋の口をキュッと閉めて、金銀財宝でパンパンに膨らんだ形を模したとされる宝結び。

面白いことに水引で作る宝結びと着物のなどの文様に見られる宝結び紋は全く別の形です。

(↑宝結び紋)

水引は物を贈るときに結ぶので、物質的な意味が強くなります。
一方、着物の柄の宝結び紋は連続する八の字が終わりなく続き、繁栄、長寿、多幸などを願う吉祥紋として用いられ、概念的な意味が強くなります。
残念ながら水

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【返りあわじ結び】(かえりあわじむすび)

【返りあわじ結び】(かえりあわじむすび)

「より返し」や「あわじ返し」など、呼び方も色々あります。
結びの基本のあわじ結びの変形です。

一度結んだあわじ結びをもう一度返して結ぶため、寄せては返す波のように「幸せが幾重にも重なっていきますように」「慶びがくり返すように」との意味かあります。
結び終わりの束が上を向いて結びあげる結び方もありますが、どちらのタイプも「何度もくり返す事」を意味するので、結婚式には使いません。
進級祝い、新店舗オ

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【梟結び】(ふくろうむすび)

【梟結び】(ふくろうむすび)

日本で「フクロウ」は
「不苦労」=苦労しない
「福来郎」=福が来る
「富来老」=豊かに年を重ねる
など縁起の良い当て字があることで昔から縁起物として愛されてきました。
まフクロウは夜目が効くことから「世間に明るい」「幸福を見逃さない」との意味もあります。

日本だけで愛されるモチーフではありません。ギリシャ神話では女神アテナの使い、ローマ神話でも女神ミネルヴァの使いとして、智恵と学問を象徴する精霊

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