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「レーエンデ国物語 夜明け前」ネタバレなしのあらすじと感想

多崎礼さんの「レーエンデ国物語夜明け前」は累計22万部を突破している大人気ファンタジー小説。2024年本屋大賞ノミネート作「レーエンデ国物語」シリーズの最新刊である第4巻にあたります。


「革命の話をしよう」


という印象的なフレーズで始まる「レーエンデ国物語」。一度読み始めると、あまりの壮大さに驚くことは間違いありません。

第1巻から第4巻までで、時代はなんと約400年も経過! それぞれの話はひとまとまりになっており、史実として次の巻にリンクしていきます。

当然、それぞれの巻の主要人物は異なり、レーエンデという土地に根差した歴史が続いていくというわけです。

レーエンデ国物語 夜明け前 第4巻のネタバレなしあらすじ

まずはネタバレなしのあらすじをご紹介しましょう。

四大名家の嫡男・レオナルドは佳き少年だった。
生まれよく心根よく聡明な彼は旧市街の夏祭りに繰り出し、
街の熱気のなか劇場の少女と出会う。
――そして、真実を知り、一族が有する銀夢草の畑を焼き払った。
権力が生む欺瞞に失望した彼の前に現れたのは、片脚を無くした異母妹・ルクレツィアだった。
孤島城におわす不死の御子、一面に咲き誇る銀夢草、弾を込められた長銃。
夜明け前が一番暗い、だがそれは希望へと繋がる。

Amazon作品紹介より引用

レーエンデを自由に導くために、異母兄弟のレオナルドとルクレツィアが光と影となって歴史に翻弄されていきます。それぞれの正義、それぞれのやり方でレーエンデのために動く様子に、胸が痛みます。

本文の冒頭部分を読むと、この後、どんな展開が待っているのかわかる内容になっています。冒頭とラストがつながる形で進むので、もう初めから相当悲劇的…。

さらに、この「夜明け前」では今まで謎に包まれていた、「天満月の乙女」ユリアが残した御子についても明らかに! 勘のいい方は読み始める前から、そのヒントに気づいているかもしれません。

レーエンデ国物語 夜明け前 見どころポイント

◇キャラクターが魅力的!◇

登場人物がそれぞれ、これまでの歴史にさまざまに関わってきてすごく面白い! これまでの3冊を読んでいるからこそ楽しめるところです。

レーエンデ国物語が複雑だといわれる理由のひとつに登場するキャラクターの多さがあります。今回も、実に多くの魅力的なキャラクターたちが活躍します。

この「夜明け前」の主人公であるレオナルドとルクレツィアは異母兄弟。二人の父ヴァスコ・ペスタロッチは正妃と愛妾を持ちます。正妃の子供であるレオナルド・ペスタロッチと愛妾の子供であるルクレツィア・ダンブロシオ・ペスタロッチ。

レオナルドとルクレツィアを軸に、親友ブルーノ、従兄弟ステファノ、そして彼らを取り囲む人々が複雑な関係性で描かれていきます。それぞれがそれぞれの立場で、それぞれに味わう苦悩がひしひしと伝わってきて、辛いです。

ちなみに、個人的には会計士のノルン推しです♪

◇巧妙なストーリーテリング◇

権力と真実、絶望と希望の対比の描写が非常に巧み!

一筋縄ではいかない国の統治や、国の未来を揺るがす預言の在り方、神の御子の持つ不思議な力など王道ファンタジーらしい展開に、ワクワクどきどきしてしまいますよ。

◇最終巻への布石◇

いよいよ壮大な物語が終わりに近づき、最終巻へと続きます。これまでの4冊は、絶望と希望の比重がやや絶望寄り…。これまでの4冊の中でも、特に辛いシーンが多かったように感じます。

最終巻で神の御子がどうなるのか、レーエンデに自由がもたらされるのか期待が高まります。最終巻のサブタイトルは「海へ」。なんとも気になるサブタイトルです。

これまでの登場人物たちが築き上げてきたレーエンデの自由への礎。これがどう動いていくのか、とても楽しみです。

◇◇◇

作者の多崎礼さんのブログによると、2024年4月の段階で、最終巻はプロットしかできていない模様。

『レーエンデ国物語』は全5巻。
残すは最終巻である5巻のみとなりました。
実を言うと、第1巻の発売が決まる前に
4巻までの初稿はすでに書き終えていました。
なので、地獄の改稿作業を乗り越えれるだけでよかった(よかった?)のですが
問題の第5巻は、現時点で、まだプロットしか出来ていません。
恐ろしいことに、最終巻の5巻だけは、今から書くのです。
ですので、大変申し訳ございませんが
発売までに、それなりのお時間をいただくことになると思います。

多崎礼 公式blog 霧笛と灯台より引用

壮大なレーエンデの歴史がいったいどんな風に実を結ぶのか、気長に待つ必要がありそうですね。

書籍情報
レーエンデ国物語 夜明け前
発売日: 2024年4月17日
価格: 2,530円
ISBN: 978-4-06-535198-7
ページ数: 600ページ

「『レーエンデ国物語』公式ガイドブック レーエンデの歩き方」も発売中。ただし、こちらは4巻までの内容がかなりネタバレされてしまうので、未読の方は要注意です!

「レーエンデ国物語4巻 夜明け前」まで全部読み終わったら、こちらで年表、登場人物の移動ルート、人物相関図、名セリフ集、聖イジョルニ帝国の歴史から支配構造、レーエンデ国の地誌などを眺め、思い出に浸りながら、たっぷり楽しみましょう♪


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