【3分小説】 空を撮る人
空を撮ってる人がいた。彼女はドラッグストアの前で寝巻きのようなスウェットを着て、片手に袋を持ったまま空に携帯を向けていた。交通指導のバイトをしていた私は、その人を見てから、同じようにその空の方角を見つめた。しかし、そこにあるのは暗くなったばかりの空だけであり、これと言って撮るべき対象があるように思えなかった。それから私がもう一度彼女の方を向くと、次はこちらにカメラを向けていた。
何も無い空の次は私か。確かに、私には何も無い。
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