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装って楽な着付けについて

「お母さん、私、今、話ができないのよ」と娘がつらそうな顔で言いました。

それは長女と博多座の歌舞伎を観に行った時のことでした。

舞台では、中村七之助が美しい着物を身に纏い、女形を演じている最中のこと。

七之助が大好きな娘は胸紐を強く締めたために話ができないほど苦しかったのです。

「もう2度と着物を着て観劇したくない」と言う始末。

また次女はやせているため、成人式では真綿の補正を手始めとして6枚のタオルで補正していました。

美容室を変えて別の着付けをしてもらっても同じで、7枚目のタオルがあるといいくらい、と言われたこともありました。

さらにある時、3人で着物を着付けてもらい、観劇した時には次女が「お母さん、今、紐が肋骨のところに当たって息をするたびに痛いのよ」と言いました。

幸い母親の私は自前の肉襦袢があることで骨に紐があたって痛いということはありませんでした。

しかし、美容室で案山子のように両手を広げて美容師さんに着付けてもらうことに慣れていた私にとっては着崩れしないようにと何本もの紐で体に着物を縛るように着せられることでとても窮屈な思いをしていました。

そこで頭に浮かんだことは、自分で着ることができれば少しは楽に着られるかもしれないという考えでした。

折しもいち瑠の着方教室の広告を目にすることがあり、早速、教室に通い始めました。

当初は紐を結ぶ時には、とにかくギュウギュウと締めてばかりいた私でしたが、「腰紐はギュッと締めますよ」「伊達締めは、ギュッと締めて、スッと緩めます」などしっかり締める所と締めすぎない所を講師の先生がたに教えていただき、次第に長く身に付けていても楽に着られるようになりました。

さて長女は、福岡天神校に通うこととなり、また次女にも私が自分の習った補正を教えることで、何と6枚のタオルが1枚で美しく補正ができて、「お母さん、ありがとう楽だよ」と何よりも嬉しい言葉が返ってくるようになりました。

これからは装って楽な着付けであれば、着物を着る機会も増えることでしょう!

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