Machico.

眠れないなら、二人でおしゃべりしましょう from Clementine.

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最近の記事

ナンセンス文学の話

調べ物をしていて、ふと私が好きな物語や詩節は所謂 #ナンセンス文学 と呼ばれていると知ったので、覚書です。いくつになっても新しいものに触れるなあ。脳みそが100個あればいいのに。 たとえば不思議の国のアリス、アリスが迷い込んだお茶会で帽子屋に問われる「カラスと机が似ているのはなぜ?」というなぞなぞには答えがない(スペルをもじった言葉遊びだと諸説あるが本当のところはわからない)。泣き喚いた赤ん坊がブタになる、それにもおよそ意味はな

    • 来世と、女の話

      twitterにつぶやいて、これはテキストにしようと思った思い出話。 24歳だった。 12月31日、国道2号線に面したチェーン居酒屋の前だ。かすかにほこりのような雪が舞う深夜3時。この日のために新調したメルトンのコートはまだ固くてずっしりと重く、さっきまでいた大勢の香水やお酒やたばこの匂いが染み付いていた。 私は立ちすくんで泣いていた。 数メートル先に停められた原付にまたがり、浅く腰掛けた彼が俯いてる。小さく折りたたまれた薄手のダウンジャケットを膝に広げ、細かくついて

      • 春の話

        眠れなくなったのはいつかの3月半ばだった。 耳元でずっと囁かれる「どうして生まれてきたんだ」とか「お前なんか死んでしまえ」そんな類の言葉と、鉛のような全身の気怠さが毎晩私を襲っていた。運良く眠ったとしても嫌な夢に怯えた自分の叫び声で目覚める、そもそも眠れずに泣く、そんな日々を過ごしていた。 桜が咲き始めていた。 春に生まれた人が好きだった。 病院で処方された薬は頭が悪くなりそうですぐに飲むのをやめた。脳みその回路が遮断されて、考えが浅いところで止まってしまうのは怖かった

        • SMAPに愛を込めて

          2016年の年末にインスタグラムに投稿したものを修正・追記して再掲します。ただひらすらに愛を込めた、彼らへのラブレターです。復活を願っている。 これはただの、あまりに長い独り言です。 2016年12月31日、SMAPは解散するらしい。らしい。 どうしたって実感がわかないので仕方がない。そのニュースを聞いたのは仲間内の飲み会の席で、驚いた私は携帯画面を見て固まっていた。飲み会の中には別れたばかりの元恋人がいた。形あるものはいつか壊れるからね、仕方ないんじゃない?とまっすぐ

        ナンセンス文学の話

          宇宙船の話

          マンスリーマンションの契約をしたのは2015年が明けてすぐのことだった。様々なことで心を溶かしていた私は、這うようにして実家を出て一人暮らしを始めた。名ばかりのそれはおよそ一人暮らしと呼べるような代物ではなかったけど、藁をもすがる思いだった。 宇宙船の話をしよう。 私は幼い頃、自分は宇宙の片隅で星と星がぶつかり誕生した宇宙人だと思っていた。地球で過ごすのは短い期間だけ、きっと本当に私がいるべき場所があるんだと、日がな迎えの宇宙船を待っていた。繁華街からは電車を乗り継ぎ約1

          宇宙船の話

          夢の話

          人は稀に変体するか、能力を得る。瞬間移動とか、ものすごいパワー。ドラゴンとか、透明人間になるやつもいる。けどそれは地球には異端だから、不要な人間はノアの方舟みたいな乗り物に乗せられる。月に一度、宇宙に放ち殺される。淘汰され、強制的にいまの人生を終えて生まれ変わらされてしまう。 来世で会いましょう、 方舟を見送る港は悲喜交々。 私は後輩が瞬間移動してるのを見てしまい、能力をもったことに気づいた。彼女は楽団には入らなかった。方舟にのって次の人生を歩み始めた。 来世で会いまし

          夢の話

          千年刻みの日時計

          田中泯さんの講演のこと。 2015/11/14の記録。 冒頭で流されていた30分ほどの映像の中では、今目の前にいる人と同一人物だとは思えない形相の田中泯さんが踊っていた。踊っているといっていいのかわからない艶かしい動きは、気のふれたような怖さがあって、これは生で見てしまうと憔悴すると思った。五感ではない感覚で受け止めてしまう得体の知れないエネルギーは、どんな形であっても発散しないとダメになる。人間はそんなにいろんなことを抱えきれない。 映像を観たあと、思想史家、神大教員

          千年刻みの日時計