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寝る前のタバコ時間。

寝る前にカフェラテを飲みながらタバコを吸う。
病気になってからいつからか私の習慣になった。
最初は夜眠れずなんとなくボーッとベッドから見える景色を眺めていた。
夜更の真っ暗な街。
だんだんと色つき始める街。
手持ち無沙汰になっていつしかタバコを吸うようになった。
幸い二十歳は超えていた。
今思うと単純にタバコというものに興味もあったのだろう。
私の両親はタバコを吸わない。
なのでタバコ自体が珍しく身近な存在ではなかった。
病気も眠れなかったも言い訳だろう。
両親は吸わないのに何故か子供たちはみんな成人したら喫煙者になっていた。
でもみんな家の中では吸わずベランダに出るので
喫煙姿はあまり目にしなかった。

私はしばらくの間は両親には隠していた。
息子ならともかく、娘が目の前でプカプカ吸っていたら嫌だろうと思ったからだ。
それに寝る前以外は吸う事もなかったので
頑張って隠す程大変ではなかった。

ある日私のカバンの中にタバコがある事に母が気付いた。
急に祖父が亡くなりバタバタとして鹿児島へ向かった時だ。
確か何かを探している母に私がカバンの中にあるから勝手に取っていいと言ったからだ。
でないと母は娘であろうと勝手にカバンを開けたりしない。そんな人だ。
その前からなんとなく気付いていただろう。
でも見て見ぬふりをし続けてくれていた。
カバンの中にあるのを見たはずなので私はその時に確か母とは話をした記憶がある。
そして見つけた時はやっぱりショックだったと言われた。

きっと父も気付いていただろう。
いつから知っているのかは今となっては分からないし思い出せないが
女の子が吸ってはいけないとか言うことはなかった。
それは兄達にも同じだった。
自分は興味もなく吸いたいとも吸ってみたいとも思わなかったとよく言っていたっけ。
だから禁煙を勧められることはなかった。

でも、そのうち寝る前以外にも吸うようになった。
喫煙量が増えるのは家を離れた時とこれから何かがある時だ。
例えば久しぶりに友達と会う。
そんな日はソワソワして家を出る前に吸ったりするようになった。
自分を落ち着かせる為なのか。
結果、落ち着いているとも思えないが…。

父の前でも吸うようになったのは
この何年かだと思う。
別に気にしないだろうけれど
それでも私は父の前でプカプカとタバコを吸う姿を見せたくはなかった。
きっと頭では分かっていても目の前で娘が吸う姿はいいものではないと。
その努力は結構頑張ったと思う。
今の家に引っ越し、3人で暮らすようになってから父の前で吸わないというのは至難の技だった。
体調不良もありその努力も諦めてしまったのだ。

仕事をしていた時はバンバン吸っていた。
心が落ち着かなかったのかとにかく何かあれば吸っていた。
仕事を今回辞める時、タバコもやめようと本当は思っていた。
収入も減るのに嗜好品を嗜むなど贅沢だ。
でも今も吸い続けている。

今は家から外に出ない。
外に出ないという事はタバコを買ってきて貰わなければならない。
これが本当に心苦しい。
繰り返しになるが両親は喫煙者ではない。
なのにタバコを買わせるのはどこか両親を汚してしまうように思えた。
最後の悪あがきだが父には買わせたくない。
母は私の為に度々買ってきてくれる事はあったので
母だけにお願いしたいと思ってしまう。
それこそふらっとコンビニに行ければいいのに…。
私にはタバコを吸う資格はない。

今は外にでない。
だからタバコは基本、寝る前のみだ。
その時に私は音楽を聴くようになった。
歌詞を表示しながら聴く。
その歌の情景を頭の中で作り上げる。
そして歌詞に沿うように物語を紡いでいく。
でも大抵は???と途中でなってしまう。
登場人物の行動の意味が分からなかったり
何故そうなるのか理解出来なかったり。
この歌はなんの歌だろうなんて時も少なくない。
疑問は疑問を呼び、そこから新しい世界が生まれていく。
こういう事だとしたらここはこんな意味にも取れる。
それならこんな世の中だったらどうだろう。
主人公はこんな人にして見たら…。
そんな一人遊びが楽しいのだ。
いろんな意味にもとれる歌詞を作り出す方に感謝と尊敬の意を表したい。

そこからいつかちょっとしたお話が書けたらな。
そんな事を思いながら
今日も寝る前に音楽を聴く。
カフェラテを飲みタバコを吸いながら。


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