2年のフルリモートワーク経験者によるコミュニケーションにおける同期・非同期 使い分けに関する考察
はじめに
フルリモートワークを開始して2年が経ちます。これによって、私の働く場所は、オンサイトからリモートに完全に切り替わりました。この「オンサイト」か「リモート」かという観点のほかに、私のチームでは、「同期」、「非同期」という働き方を意識して使い分けてきました。これには、それぞれメリット、デメリットがあります。今日はそれぞれの違いについて焦点をあててみました。それぞれを推奨するユースケースも記載しています。何か日々の仕事のヒントになりましたら幸いです。
最初に結論から。それぞれのメリットデメリットを1枚でまとめてみました。これらを理解して、使い分けたり、特に組み合わせて、コミュニケーションのスピードと質の最適解を探ることが重要と考えています。以降は、本チャートの内容にも、肉付けをしつつ、詳しく説明していきます。
同期して仕事をするとは
言葉の定義
まずは辞書的な意味から見ていきます。
言葉の定義:「同期」
では、仕事の場に転じて、どのような意味で使われているのか、私の言葉で書いてみました。
言葉の定義:「同期して仕事をする」
まぁ、なんとなく、タイミングを調整して集まって何かすることなんだな程度に理解いただければと思います。
つづいてメリット・デメリットをみていきます。
同期のメリット
「感情」、「想い」、「複雑な話」といったアナログでテキスト化しにくい情報を共有するのに適しています。また、情報の受け手の反応を見られる点も魅力です。
同期のデメリット
[そもそも同期するためにコストがかかる]
調整時間のオーバーヘッドが発生(空きスケジュールの確認、会議室の空き部屋探し)
同期中は、イベントに集中をしなければならない(内職する場合を除く)
ついつい必要以上に人を招待し、結果、全体の生産性を落とすことがある
オンサイト×同期は一番コストがかかる(調整時間、拘束時間、移動時間、交通費、場所代)
[同期することで成果を出しづらくなることがある]
必要以上に人を招待して、集団浅慮(「誰かがなんとかしてくれるから、自分は何もしなくて大丈夫!」とお互いが思ってしまうこと)が発生することがある
人が増え、発言時のプレッシャーがUPしたり、話の脱線が起きやすくなり、ファシリテーションの難易度が増す
「定例」や「次の会議」でしか情報や質問が出て来ないため、ナレッジ共有のスピード、意思疎通が遅れる(=「来週Aさんと打ち合わせだからそのときに聞いておきます」じゃなくて「Slack一本なげます」で即聞くと良いですね)
自身の貢献度が低い定例会議が仮に1日1時間/週発生すると、あたかも時短勤務でフルタイム労働者と同様の成果を出さないとならないような縛りプレイをすることとなる
[同期するとそれが当たり前になってしまう]
一度同期して仕事をすると、それが定例化して、同期し続けるループにはまりがち
同期が効果的なユースケース
感情や想いを共有するイベント系は圧倒的に強いです。
飲み会は好きです。コロナ前はよく幹事をしていました。
非同期で仕事をするとは
言葉の定義:「非同期で仕事をする」
非同期のメリット
[同期するために支払うコストが不要になる]
会議、勉強会など何らかのイベントの為の時間や場所の調整が不要
イベント前後に発生する移動時間が不要になる
定例的に発生するイベントに費やしていた時間が0になる
[カルチャーが変わり副次的な効果が生まれる]
必要なときに必要な分だけ同期するという思考になる
比較の上、同期ならではのメリットが分かると、コストをかけて同期する場合の効果を、最大化しようと工夫する
(例:顔出し、事前の議題共有、ホワイトボーディングツールを使うなど※私は顔出さないことまだありますが…。)非同期用のコラボレーションツール(Slackなど)での議論がメインとなるため、その場にいない人にとっても、議論の形跡がわかりやすい。
「次の会議」を待たずともナレッジ・質問が出てくる、たまる。
デメリット:
[変化への対応が求められる]
音声情報を、関係者の誰もがわかる明瞭なテキストに変換する能力が求められるので、辛い場合がある。
ドライな印象を与えることがある。Slackなどの絵文字を使ってマイルドにすると良い。
「これからは非同期だ!」と思って、ツールを間違えると時間がかかる。例えば何往復か必要な議論をメールでしようとすると、メールはその特性から返信に時間がかかりがちで、後追いもしづらく非同期のメリットを低減する印象があります。
仕事の仕方が異なるので、カルチャー変革のマインドが求められ、現状のやり方がすべてだと思うと、辛い場合がある。
非同期が効果的なユースケース
同期する必要がないものはだいたい原則こちらでいいのかなと思います。
ただ組織によって、ケースバイケースです。
あえて例をあげるなら、下記でしょうか。
同期と非同期の複合パターンのユースケースも(イチ押し)
実はこれらは組み合わせることができます。
結構気に入っている仕事の進め方が下記2つです。
事例①オンデマンドセミナー(非同期)とSlackでの質問部屋開設(同期)
私のいたチームでは、昨年まで、とあるITツールのハンズオンセミナーを社内で開催していました。ほぼ毎週の頻度で、年間1,000名程の方に参加いただきました。
これまで、私自身、一般的に「セミナー」というと定刻に講師が話を始めるイメージでした。この度、講師の説明を「動画」にし、クラウド上のファイル共有ストレージに格納し、いつでも見たい時に見れるようにしました。受講者はオンデマンドでのハンズオンが可能となりました。
また、質問したい方向けに、質問部屋をSlack Callで開設、毎週2時間だけ質問を受け付けるようにしました。
このように、同期、非同期の仕組みを組み合わせたところ、「好きなタイミングで受講できて嬉しい」という声を頂戴したり、自分たちの負担も最小化できました。
事例②MTGでの活用
私が会議を主催するときは、MTGのアジェンダ、ゴール、事前に読んでほしいもの、考えてほしいことを記載した議事メモのBoxnote(Google Doc等でもOK)をあらかじめ共有して参加者に準備をしてもらうようにしています。これはタイミングを合わせる必要がないので非同期といえます。
いざ、同期をとって会議で集まる際には、各人が会議の趣旨を理解し、準備をしているので、会議時間の短縮、参加者の満足度をUPできるものと考えて取り組んでいます。
まずは小さいところから始めてみませんか?
以上、同期・非同期にはそれぞれメリット、デメリットがあるという個人的見解とユースケースを記載しました。何か今後のヒントが提供できていたら幸いです。
ちょっとしたことでも、日々の中で、意識して使い分けていただけたら幸いです!
おまけ
コミュニケーションに関する記事
コミュニケーションに関する記事をこれまで3つ書いてみました。
よかったらご覧ください!
パワーポイントのデザイン本
今回本文中にパワーポイントのスクリーンショットを2枚貼っています。
いずれも「表」の機能を使って作りました。「表」の機能は本書がとてもわかりやすく解説しているのでよかったらご覧ください!普段はKindle版を書いますが、今回は書籍版を購入しました。
著書の福元雅之さんは、大手外資系IT企業での提案書をデザイン面で支えておられる方で、年間約100冊の提案書作成に関与されているそうです。
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