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「イマジン」は想像力の歌だ。想像力を捨てるな。

最近ジョン・レノンの代表曲「イマジン」の新たな一面に気づき鳥肌が立っています。

これまでも(そしてこれからも)悲劇が繰り返される度にこの歌に言及する方は多いでしょう。

以前からこの歌が大好きだった私ですが、新たな解釈を共有させて頂きます。


世界中で愛されている「イマジン」はそのメッセージ性の強さゆえに賛否両論あります。
特に“no heaven”、“no hell”、“no religion too”といった宗教に触れる歌詞に違和感を憶える人が一定数いるそうです。

「天国の存在を否定するのは〇〇教の教義に反している」
「宗教をなくすなんてそこまで言わなくても」

しかし「イマジン」はまさにこういう人に向けた歌だと思います。
「イマジン」は、歌は、芸術はフィクションです。フィクションはクリエイターだけでなく鑑賞者の想像力があって初めて成り立つものです。もちろん虚構であることを前提に。
興味深いことに「イマジン」はその想像力を“It’s easy if you try”、“It isn’t hard to do”、“I wonder if you can”と文字通り促し、試しています。曲のタイトルですしね

例えば童話で動物が喋ること、映画で科学的に不可能な現象が起こることに対して本気で怒る大人がどれくらいいるでしょうか。
フィクションなんですよ。想像力のある人なら現実との違いは分かるはずです。
刺激的な歌詞を文字通り受け取り、デリケートなことだから、と現実を引っ張り出して予防線を張るその行為こそ想像の放棄、敗北です。
ジョンに完全に迎え撃たれているようにしか思えません。
なんとも皮肉なものです。


最後は真面目な話で。
今後の人類にとって最も大きな課題のひとつは想像力の欠如でしょう。

SNSのフィードを見てみましょう。自分の見たくない情報なんてほぼないはずです。
ニュースは様々なフィルターを通した現実の一部しか伝えていません。
インターネットの普及などで多種多様な情報が手に入る一方で、しっかり考えなくても都合のよい情報ばかりが耳に入り、さらに都合よく考えることしかできなくなるといった負のスパイラルに陥りかねない怖い時代になりました。

ですが救いはあります。どんな人間でも自分の中で想像することはできます。
その力は自ら捨ててしまわない限り絶対に失われることのない小さくも強大な力です。
自分の気持ちだけでなく他人はどう思うのか。言い訳を見つけて人の道を踏み外してはいないか。本当に自分を取り巻く人間や情報を信頼していいのか。
一人一人が想像力を捨てなければ少しずつまともな世界に近づくのではないでしょうか。

ついつい歌詞にばかり気を取られて肝心のタイトルを甘く見ていたことに気づきました。
「イマジン」は平和の歌である前にタイトル通り想像力の歌であった、と。
そしてジョン・レノンさん、改めてあなたの歌は、あなたの想像力はとんでもない、と。


ヘッダー画像はジョン・レノン公式サイトのストアより拝借いたしました。

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