見出し画像

「ビジネス」を「デザイン」する仕事。

最近のこと。ときどき、わざと「ビジネス・デザイナー」という肩書で、人と話をするようにしている。

たいてい「ビジネス・デザイナー」ってどんな仕事ですか、「ビジネス・デザイン」って具体的にどういうことを手掛けるんですか、と聞いてもらえるので、自分の言語化が進むのだ(笑)。

僕はいわゆる"デザイナー"ではない。

ウェブページやフライヤーのデザインすら、インハウスのデザイナーさんにお願いしている。そんな僕が○○デザイナーなんて名乗ったら、怒る人もいるかも知れない。

でも、これには僕なりに思うところがあって。

デザインとは?って十人十色な定義がある。
「課題解決」だとか「意匠そのもの」だとか。でもシンプルに向き合うと、「こうなったら良いなぁ、と誰かが願うものを現実にする(作り出す)こと」だと理解している。

そうなると、あらゆるサービスもそうだよなぁ、と。

起業家さんも、事業をやっている人も、ある意味デザイナーなんじゃないか?「誰かにとって~になったら良いなぁ」に応える仕組み作りをしている人は皆デザイナーだとしたら、僕も一応、その端くれではある。

そんな話をしていたら、「だったら、サービス・デザイナーじゃないの?」とか「サービスとビジネスって、何が違うのさ?」というツッコミを頂いた。

そう、よくぞ聞いてくれました。
(こうやって言語化が進んで行くのです、ありがとう 笑)。

誰かのためにすることは、全てサービス。
お店がお客さんのためにすることも、お母さんが子供のためを思ってすることも、ボランティアや公共サービスも、全てサービスだ。

では「ビジネス」は?

この単語があまり好きでない方もいる。商売とか、稼ぐとか、拭えない"おカネ感"があるからかも知れない。アーティストさんやデザイナーさんからは、とりわけ抵抗のあるワードらしい。でも、心のどこかで"切っても切れない感"があるのも、不思議だ。

僕が(今のところ)しっくりきているのは、ビジネスとは「(サービスを)続けるための仕組み、手段のこと」という捉え方。

どんな良いサービスを思い付いても、続けるには工夫がいる。
お金を稼いだり集めたりするのも、人を採用したり育成したりするのも、製造工程や業務を設計したりするのも、すべてサービスを続けるため。ビジネスは目的ではなく「サービスを続けるための仕組み、手段である」という位置付けだ。

サービスやユーザーが異なるのはもちろん、運営者や環境が異なれば、それぞれに適した(動かしやすい)仕組み、採るべき手段も異なる。僕が手掛けるのは、サービスのテーマに関わらず「ユーザーや運営者を観察し、本質的な課題や要請を見つけ、彼らが続けたいと願う形で続けられる仕組みを作る」こと。

だから、"ビジネス"の"デザイナー"がしっくりくる。

よくコンサルタントや顧問業と混同されるんだけど、どちらもやっていた僕からすると、根本的に違う。

ビジネス・デザイナーは、コンサルタントのように分析、提案をする人(アウトサイダー)ではいられない。主体者かその一部(インサイダー)として、仕組み作りを手掛ける「実務家、作り手」になる。だから、同時に複数の仕事を受けるのは向かない、現場仕事だ。

一度作って終わりではなく、変化や対応ができる仕組み作りこそビジネス・デザイナーの真骨頂だ。だから、そもそも作る前の提案だけでビジネス・デザイナーを名乗ることには違和感がある。斬新なアイデア、エモいストーリー、キレイな資料は、それだけではビジネスになっていない、作っていないからだ。

僕は、いわゆる狭義のデザイナーや、コンセプトデザイナー、サービス(プロダクト)デザイナーと組みながら、やや裏方の(彼らの多くがニガテとする、ヒトモノカネの運営・実務などの)組み立てや、継続的な運用を引き受けることが多い。ビジネスをデザインする(作る)人というのは、資金調達、価格戦略、集客戦略、人材採用、組織・業務設計、契約・法制度対応、商標・知財、事業連携・提携など、あらゆる実務を手掛けるし、突き詰めるとCOOのような役割として組織に入っていくこともある。

これが、僕の考える、ビジネス・デザイナー。
言い換えるなら、「仕組み作り屋さん」とでも呼ぶべきだろうか。

ビジネス・デザイナーだけでなく、○○デザイナーと名乗る限りは、合理性だけでなく、直感的で、共感できる仕組みを作りたい。ちょっとした驚きや、新しい気付きのある仕組み/やり方にこだわるのも、デザイナーの大切な姿勢だと思う。

そんなこんなで、ビジネス・デザインって面白いなぁと思いつつ、これから「ビジネス・デザインって、具体的にどんなことをやるのか」みたいな話も、ちょくちょくアップしていきます。

どうぞよろしく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?