井上陽水さんと逃避行したくなった日

「探しものはなんですか」
で始まる
井上陽水さんの「夢の中へ」の歌詞が
脳内でループ再生していた1日。

家族が出社後
つけっぱなしになっていたテレビを何気なく観ていたら
星座占いで
「ラッキーアイテムは真珠です！」
と言っていて
いつもなら聞き流すところなのだけど

最近たまたま冠婚葬祭の際の服装について考えていたタイミングだったので

そういえば私の真珠のネックレスとイヤリングはどこにしまってあるのだろう・・・

と突然不安になった。

最後に使用したのは
確か7年前の友達の結婚式

式場から出てすぐに外して仕舞ったのだろうか・・・
当日持っていたサブバックの中？
ドレスと一緒にいまだにハンガーにかかっているとか？

思い当たる場所を家中手当たり次第に探したものの
どこにも見当たらず。

結婚式当日の家計簿を見渡したら
式場からの帰り道に
SOGO(デパート)で魚とパンを買っている模様

・・・SOGOに落とした？

7年前に真珠のアクセサリーを落とした可能性があるんですけど・・・

ってさすがに恥ずかしくて問い合わせできないよね？

途方に暮れる

至るところを探したので

家の中にいらないものがいっぱいある

という目を背けたかった現実を直視せざるを得なくなり
自己嫌悪というダメージだけが地味に残る。

「まだまだ探す気ですか？」
「それより僕と踊りませんか？」

日も落ちてきて
そろそろ探し疲れたし
いよいよ現実逃避したくなってきて
陽水さんと踊りたい気分だわ・・・と思い始めた。

ふと、引っ越し以来ほぼ触れていない
収納の最上段に目がいく。

天井高が3メートル以上あるので
脚立なしではまったく届かないし
しまうものもなくてガラガラになっているはずの場所

家族の会社の創立〇周年記念みたいな分厚い本のみ手前に見えているが
それ以外は何もなさそう

だが・・・
一縷の望みにかけて脚立をのぼる！

あ！と声が出た。

収納の一番奥に見覚えのあるショップの紙袋！

こんな場所にあった・・・

まったく記憶にないのだが

結婚式から戻った私は
ちょっと高価なものだからと
隠すつもりでここに真珠のアクセサリーを置いたのだろうと・・・思う。

思い返せば

隠した場所を忘れる

という失態を人生で何度もやってきた。

部活の遠征で電車移動した際
切符を絶対失くすな！と顧問に強く言われて
絶対忘れない場所・・・と迷って
ハイソックスのふくらはぎ部分に切符を挟んだものの
1時間近く電車に乗ったら
すっかり隠し場所を忘れて
ない！ない！ないいいい！と
なったり・・・
(1時間もふくらはぎに切符挟んでたら肌に同化して違和感もなくなります)

貰ったお年玉を絶対に誰にも見つからない場所に隠して貯めようと思い
口の狭い花瓶に福沢諭吉を何名も押し込み
すっかりそんなところに隠した事実を忘れて
あれ、お金がない！ない！ないいいい！とパニックになったり・・・

花瓶の中に隠したことは数日後に奇跡的に思い出したものの
口の狭い花瓶なので諭吉を救出することが困難極まりない上に
運悪く中に水が残っていたようで
どうにか取り出した福沢諭吉の顔が原型なく
ふやけた諭吉になってるわで

半べそで乾かしてアイロンで伸ばしたのだった。

何十年経っても相変わらず
隠し場所を忘れるという
馬鹿なことをやっている。

「ここに隠しておきました」っていう
自分に宛てたメモが必要かね？
・・・それもなんか、違うよね？

この先もきっと
似たようなこと
やり続けるんでしょうね。

「夢の中へ夢の中へ」
「行ってみたいと思いませんか？」

是非行ってみたかったし
すでに片足突っ込んでたのだけど
ギリギリのところで探し物が見つかってしまったので
無事(？)陽水さんとの逃避行の話は立ち消えになった。

今度探し物する時は
「夢の中へ」を実際に聴きながら
ゆるりとした気持ちで探してみることにしよう。