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【体には感覚の地図がある】 #21

”子どもと遊ぶ”が仕事の
小児の作業療法士ミキティです。
遊びに隠された7種類の感覚の秘密を
簡単にまとめたり、療育・保育・子育てに
関わる内容をお伝えしています。

今回のテーマ:図地判別

# 21 感覚統合 図地判別

1.図地判別ってなあに?

私達の生活にあふれている情報。
それらは「視覚」「聴覚」「触覚」などを
通して脳にピッと流れて知らせてくれる。

その量は実は洪水のようにあまりにも大量。
その為、脳では必要じゃない情報を
削ぎ落とし、見るべきものと聞くべき事を
コントロールしてくれています。

つまり、目の前の背景の中から
不必要な情報を脳が抑制する事、
それを「図地判別」と呼んでいます。


2.二つの図地判別

図地判別にはいくつかあります。
ここでは「視覚」「聴覚」の
図地判別をまとめます。

視覚の図地判別

多くの視覚情報の中から
自分に必要な情報を選択する力。

例:
下の図から因数分解の公式を探す

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聴覚の図地判別

多くの聴覚情報の中から
自分に必要な情報を選択する力。

例:
授業中に先生の話だけを聞く

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3.図地判別が難しいとどうなるの?

視覚の図地判別が難しいと…

学校などで黒板の文字を写すのが
難しくなります。

なぜなら黒板の中の文字だけでも
たくさんあるのに、その周りの
時計や掲示物などが
気になってしまって大事な部分だけ
を探せなくなってしまう
から。

聴覚の図地判別が難しいと…

先生の声だけに注意を向けることが
難しくなります


後ろのお友達のヒソヒソ話や
誰かが椅子を引いた音、
廊下の給食を運ぶ音、
外の鳥の鳴き声や
自分が動いた時に聞こえる
服の擦れる音までも…

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大人がそれを感じるとしたら…
ちょっとイメージしてみましょう。

例えば、あなたは目の前で料理してくれる
レストランのカウンターにいます。

調理している様子をインスタに上げる為に
録画しました。

再生したらどうでしょう?
フライパンでお肉が
焼ける音だけじゃなく、
スパイスの蓋を開ける音、
お客さんの出入りの音、
箸を置く音…など
同じレベルの音量で入ってきます。

でも目の前の私には
「ジュッ」「パチパチ」等
目の前のお肉が焼ける音だけが
ボリュームが大きくなって聞こえます。

脳があなたに必要な情報だけ
ピックアップしているのです。

なんとなく想像できますか?

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4.どうしたらいいんだろう?

もしお子さんが、勉強についていくのが
難しそうにしていたり、
耳塞ぎ(自分で音を調整している)
のような様子があれば、
その刺激を取り除く配慮が必要です。

視覚の図地判別

ビジョントレーニング
◉読んでいる位置が分かりやすいように、
色がついた専門の定規などを利用する
◉机の上や周りの整理整頓
◉可能なら黒板周りの掲示物を移動してもらう

聴覚の図地判別

◉名前を呼んで、注意を向けてから
簡潔にメリハリある説明をする
◉授業に集中しやすいように
席の位置を移動し、窓を閉める
◉椅子の足にテニスボールなどをはめ
椅子を動かす音を静かにする
◉イヤーマフをつける

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5.まとめ

場面に応じて焦点を当てる事が
難しいと集中が出来ず、
注意散漫と思われがち。

また、学校の勉強にも影響
考えられます。

前回お話しした
脳の抑制機能」を高める遊びで
脳が余分な刺激を抑制する力を
育てる
ことも有効です。

「図地判別」、
意外と身近で困っている
お子さんも多いです。

もし配慮が必要かな?
と感じたら…
それらを少し
取り除く工夫をしてみてくださいね。

子ども 外遊びカイト男の子

参考:
感覚統合勉強会

作業療法士(OT)は 実は子ども達のサポートも しているリハビリ職。 これらの記事が読んで頂いた方の 子育て・療育のヒントになればと思っています。 子ども達は今この瞬間が 生きてきた人生で一番成長している時。 記事を通してみなさんと 関わる事が出来たら嬉しいです✨