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手術後の話と、感覚のフィードバック

麻酔が効いている時のこと

わたし、数年前に全身麻酔の手術を受けたんですけども。術後の麻酔が覚めるか覚めないかの時のことです。

目を開けると椅子に座って読書中の夫が傍にいます。『気づくかな…』そのまま夫をじっと見ていました。しかし眠気に抗えない私は、すぐに目を閉じてまた眠ってしまいます。そんなことが数回繰り返されました。

この時、声を出そうとか、手を動かして気づいてもらおうとか、そんな発想が全く浮かばなかったのです。

後からこのことを考えていて、そういえばあの時感じていたのは、『見えるもの』『暑さ寒さ』だけだったことに気がつきました。聴覚…はあったと思いますが、病室ですので静かだったから覚えがないのでしょう。


覚醒状態だとたくさんの刺激を感じ、フィードバックがある

今、こうして文章を書いていると沢山の刺激を感じます。こたつに入っている下半身の暖かさ、腕や肩に入っている力や腕の重さ、呼吸に合わせて膨らんだりへこんだりする肺(の存在)。

覚醒状態にある今はそうした気づきがあるので、それに合わせた行動をとれます。姿勢を少し変えようとか、飲み物を取ってこようなど。


感覚がないと、どうにかしようという発想もしづらくなる

しかし麻酔が効いていると、そうした感覚は制限されます。私が夫に呼びかけなかったのも、手を動かそうという発想すらできなかったのも、自分の身体から感じるフィードバックの無さと関係がある気がします。感覚が無いから、動かせる気もしなかったのです。

別アカウントでの記事、『感情のコントロール』でも少し書きましたが、フィードバックがあると自身の感情による身体の変化にも素早く気づけます。気づくから、感情の波が小さいうちに早目の対処がとれるのです。


障害のある子どもの身体感覚

日々、発達障害のある子どもたちと接していると、身体からのフィードバックの弱さを感じさせられます。筆圧の強すぎる字。音を立てて勢いよく置かれるコップ、血が出ていても続けられるカサブタをはがす行為など。

彼ら彼女らの身体の内部感覚はどのようになっているのか、尋ねたい気がしますが、きっとお返事しづらいだろうと思って訊いたことはありません。


感覚は変わる

感覚を整えるのはとても大切です。敏感すぎても、鈍感すぎても不都合があります。

これから先もこのままの不都合が続くとは決まっていません。感覚は変化するものです。今より良くなる可能性はあるので、様々な刺激が得られるよう、どの子にも色々な機会がたくさんあるといいなぁと思います。

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