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文字の向こう側にいる、中学生のわたしへ。

実家にいる。たまたま見つけた中学二年生の頃の漢字練習帳をパラパラめくって読んでみたら、当時書いた短文が意外とおもしろくて読破してしまった。まさに中二病と言われる時期。わたしの頭の中では一体何が起こっていたんだろう。

印象的な短文をいくつか取り上げ、ほろ酔いに任せて中学生の自分にコメントとエールを送ってみる。

短文1.人と比較することばかりにこだわっていてはいけない

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思春期って比較真っ盛りだ。比べないと自分の輪郭がさっぱりわからないもん。周りにも比べられてばっかだもん。比べちゃうのは仕方ない。

スクールカースト、容姿、陸上100mの記録。あなたが悩んでいるとすれば、この辺りでしょうか。わざわざ書いたってことは、自分に言い聞かせたかったのかな……?

大きくなっても、比較しないで生きていくのは正直無理だ、少なくともわたしには。人との関わりのなかで生きている限りはねえ。

でも一つだけ言える。本当に素晴らしいものってのは、心からときめくものってのは、比較しなくたってわかっちゃうの。比較を超えたところにある。

めざすものじゃなく、いつの間にかなってるもの、いつの間にかあるもの。陸上の記録はまたちょっと違うけどね。

あなたは比較の世界で生かされていく人間でもあるけれど、比較を超えたキラキラしたものにも助けられていく。出会った人とか、言葉とか。芸術だって愛だって。何かを、誰かを、好きな気持ちだってそう。

あなたの軸を作ればいい。シビアな数字の世界が存在することは、だいたい知っているだろうから。

そしてあなたも誰かの軸において、たとえ「誰か」がたった一人だとしても、比較を超えた存在になれたとしたら、それは奇跡なんだよ。


短文2.私は人を束縛するのも束縛されるのも嫌いだ。

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大人に束縛される。学校に束縛される。制度に束縛される。「常識」に束縛される。

あなたに限らず多くの人が、生まれた瞬間からいろんなものに良くも悪くも束縛されながら生きてきたんじゃないかな。

束縛という言い方はネガティブな感じがするけれど、「ルール」や「制度」や「型」に、あなたは少なからず助けられてもいる。守られてもいる。自由だと不安定だし、ますます実力勝負だし、何でも自己責任になっちゃうしね。

なのに、なのにあなたは耐えきれなくて、自由に生きたいともがくんだ。今は落ち着いてきたけれど、やっぱり毎日、ちょっとずつもがいている。仕事でも家庭でも。それもいいと思う。

もがく人生は、苦しいけれどそこそこ楽しい。新しい着地点を見つけると、また一歩、地面を踏みしめた感じがするから。

お菓子休憩もしながら気楽に行こう。


短文3.同じ事の繰り返しの毎日の中にも、光るものを少しでも見つけられれば良い。

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毎日学校に行って授業を受けて部活をして帰ってきて……言われてみれば、あなたも同じことの繰り返しのなかに生きていたんだね。「同じこと」のなかにもいろいろあったんだろうけど、規則正しい生活で繰り返しに思えるのもわかる。

大人になっても、仕事が変わっても、家族が変わっても、やっぱり人生は、一瞬一瞬、一日一日の繰り返しでしかなかった

めんどくさいな、いやだな、と思うことだってもちろんある。でも微かな光を集めていくしかないみたい。

あなたの大好きな『耳をすませば』に登場する原石のように、磨いてようやく光るものもあるかもしれないよ。泥の中から見つかるものもあるかも。

よく見て、感じて、あなたにとっての光るもの、探していって。


短文4.何かを手に入れるには、それだけの犠牲が必要であると改めて実感した。

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何を手に入れようとして、何を犠牲にしたのでしょう。「実感した」って何があったの?笑

思いつく限りでいえば、陸上のタイムを求めて筋肉をつけたら足が太くなってズボンが入らなくなったこと。チョコチップメロンパンをたくさん食べて顔がパンパンになったこと。体型のことしか考えつきません。深刻な悩みだったのかもしれないけれど、今はもう思い出せない。

お金か時間か。仕事か家庭か。安定か冒険か

どうも世の中では、あなたの言うようにトレードオフで語られるものが多いみたい。そして実際にトレードオフなものもやっぱりある。欲張るのも不可能ではないけれど、多くの人は妥協しながら生きている。

トレードオフになりそうなものの狭間でどうバランスを保って、あるいは保たずに生きていくか。大小さまざまな選択を繰り返すのが、人生なのかもなんて思ったりもする。神様、全部くれたらいいのにって思うことがあるのは内緒です。

でも振り返ると、「犠牲にしちゃった、しなきゃよかった……」と後悔しているものは今のところないかな。あなたもそうでしょ。足が太くなったことを後悔なんてしていない。陸上は楽しいよね。今でも大切な思い出だよ。


短文5.冷酷な人であればあるほど、表方ではいい顔をしていたりする。

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これまた何があった?本、ドラマ、映画?うーん、「……あればあるほど」には賛同しかねるけど、7割くらいは合っている気がします。

実は、この文を読んで真っ先に思い浮かんだ顔がありました。人生で最初で最後の出会いだと願いたい、遠くに見かけただけで体が硬直して動けなくなってしまうくらいに苦手だった人の顔。思い出すだけで鳥肌が立ってしまう人の顔。

つまりあなたは将来そういう人に出会うってこと。憂鬱な気分にさせてごめんね。

でも運が良かったからか、その人くらいなのよ、思い出すのは。出会ってきた何百人の中の、たった一人だからそこに気持ちを引っ張られる必要はない

人はどうも、辛いこととか、嫌な人とか言葉とか、そういうものはよく覚えているみたいなんです。嬉しかったことや優しくされたことよりも。

だからこそあなたには、できれば覚えにくいほうをちゃんと覚えていてほしいな


短文6.とりの唐揚げは私の大好物だが、油分が多いため頻繁には食べられない。

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気にせずに食べなさい。以上。


おわりに

わたしからのメッセージを見て、中学生のあなたはどう感じましたか?偉そうだなって思わなかった?わたしもそう思う。こんな文章書き始めた時点で偉そうだなって。

だって20〜30分前にはこんなのを人に送りつけていたのです。痛いと思いませんか?社会人でも、こんなもんです。

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思っていたよりも中学生のあなたは大人だった。よく考えてるなって思う。

そうだよね、中学生ってそこそこ大人。人によっては大人よりも大人。そもそも大人ってなんなんだよって思うよね。大人とか子どもとか分ける時点でナンセンスじゃんって思うことない?思うよね?

「大人」はやっぱり大人ぶりたいから、こうして「子ども」と見なした相手に語っちゃったりするんだけど、あなたにはあなたの今があって、あなたの今を生きている。そこに上下も優劣も軽い重いもありません。

「そんなの大したことないよ」「大人になったら笑えるよ」「子どもは気楽でいいよな」「人生そんなもんだよ」とか知らんがなって感じでしょ。それでいい。それでいいんだ。

じゃあまたね。酔っ払いは話が長いんだ。わたしは酔っ払ってなくても話が長いことで一部の人からは有名だけどね。

じゃあほんとに、またね。元気でね。あなたがあなたでいてくれて、ありがとう。

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