NZ life|たいせつなもの
ニュージーランド生活61日目。
天気はれ。気温21度。陽射しは眩しいけれど、心地よい風が通る。
明日はお引越し。
パッキングをしている時間は、いつもわくわくしちゃう。
スーツケースに必要なものを、とは言っても、スーツケースひとつであちこち放浪している場合、取り出したものを、再び同じように仕舞い込む作業になるのだけれど。
これが案外むずかしくって、パズルのようにああでもない、こうでもないって試行錯誤しながら仕舞っていく。
でもスーツケースひとつで生きるのも二年目に突入し、だいぶ手慣れた気がする。
わたしのスーツケースはあまり大きくはない。あまりメジャーなブランドではなかったものの、ここ最近では注目されているようで、持っている人をたまに見かける。
一目惚れして、本当に欲しくて、帰ってからもずっとそのことばかり考えてしまって、三日三晩忘れられなくて、ついには夢にまで出てきたスーツケース。
そんな大切なスーツケースに入れるものは、もうすっかり決まっている。
何年も着ているマウンテンパーカー。シルエットが良いだけではなく、ポケットもたくさんついている。背中にはなんと、宝の地図を入れることができる。かわいくて最強。
何軒もハシゴしてようやく見つけたぴったりのデニム。裾直しをお願いしたので、サイズも色合いもすごくお気に入り。最近はいい感じに育ってきたので、くたびれ加減も愛らしい。
一目惚れしてから、一週間ずっと忘れられなかったヘリーハンセンのアウター。温かくて、軽くて、風を通さないから本当に頼れる存在。ニュージーランドに来てから、膝掛け代わりに使っている。
やっぱり一目惚れして(とてもつよい衝撃を受けた)、何度も繕い直したカットソー。基本的には黒い服しかない私のワードローブのなかで、唯一、カラフルと言うか華のある服。80年代アメリカを思わせる、レトロなボーダー。
大切なものは、まだまだある。
ずっと昔に弟が東京土産に買って来てくれた、ファイナルファンタジーのペンケース。帆布にレトロなチョコボのアップリケがついている。
小学3年生の誕生日に兄が贈ってくれて以来、ずっと読み続けている本。わたしの心をつよくしてくれる。
もう何冊目になったか分からない、モレスキンのノート。これはぜったいに黒と決まっている。どんな時も欠かせない、もうひとりの自分みたいな存在。
わたしの人生にとって大切なものはそう多くはないけれど、どれも置き去りにはできないものばかり。
でも本当は、本当にずっと持ち歩きたいものは、スーツケースなんかには収まり切らないことも知っている。
いつもそばにいて欲しいものは、いつも遠くにある。
どこへでも持って行きたいものは、どこにも持って行けない。
スーツケースを開ければたくさんの大切があるのに、どれだけひっくり返しても、いちばんすきなもの、だいすきなものは入っていない。
だからと言って落ち込んではいけないので、帰りたい気持ちが溢れ出す前に、スーツケースをパタンと閉める。
次の場所でもたくましく、つよくなれますように。
成長した姿で、大好きな人たちのもとへ帰れますように。