オロナミンCのオロナミンについての考察。
分かりそうでわからない。
オロナミンCがわからない。
思えば、物心ついたときからオロナミンCは私のそばにあった気がする。私だけじゃなく、広くこの国のみんなのそばにオロナミンCがある。
オロナミンCって、どんなときに飲むだろうか。たとえば、恋人にフラれた帰り道、雪が降る中悲しみに暮れて、あっと自販機に目をやり、オロナミンCのボタンを押すだろうか。
押さない。
絶対押さない。
オロナミンCを飲むのは家の中だ。時間帯はなんでかわかんないけど夜だ。オロナミンCは夜、家の中で飲む。
もちろん、お風呂上がりに。
オロナミンCのオロナミンが何を意味するのかも考えずに、みんなオロナミンCを飲む。オロナミンCはあの瓶とフタ、香り、炭酸のシュワシュワ、そしてガブっと飲んだときのあの多幸感。
あれのせいで、オロナミンCのオロナミンの意味までは頭が回らない。薬用なのか単なるスポーツドリンクなのか、はたまたジュースなのか、その効能がよくわからない。
効能もわからないし、名前の意味もわからない。
第一、オロナミンCの「C」ってなんだ。ビタミンCならまだなんかわかる。ビタミンでしょ。ビタミンはBもあるよね。ビタミンAってあるんですか?
オロナミンCの「オロ」がわからない。オロで区切るのが正しいのかもわからない。ビタミンという言葉とオロナミンは後ろ2文字の「ミン」が共通してる。ということはオロナミンは「オロナ」で区切るのが正しいのだろうか。
だとしてもわからない。
オロナミンが何に効くのかわからない。ビタミンはなんとなくわかる。本当になんとなくわかる。ビタミンのことはしっかり理解してないのに「身体にいい」ということだけはわかる。ビタミンは果物とかに入ってそうなこともわかる。
ビタミンのことは理解してあげられそうなんだ。
だけど、オロナミン。オロナミンを理解してあげられない自分がここにいる。わかってあげたいのにわからない。
「あなたのことは、どうしてもわかってあげられない」と過去の恋人に言われたこともない。
オロナミンという言葉をオロナミンC以外で聞いたことがない。しかも今こうして書いていて思ったが、私はおそらく手書きで「オロナミン」と書いたことがない。
ビタミンはたぶん家庭科の授業でノートに書いたことがある。でも。オロナミンは手書きで書いたことがない。
オロナミンCがわからない。
ここで思うのは、私たちは名前の意味が分からなくてもオロナミンCを飲んでいる、ということである。
名前の意味がわからないのに、オロナミンCを摂取しているのだ。これは不思議だ。となると、私たちが物事を判断するときには、名前の「響き」は重要かもしれないが、それ自体の「意味」は判断材料にはならないということだ。
こういうふうに考えてみるとそりゃそうだ。私たちには名前がある。たとえば私はイトーダーキを名乗っているが、この名前の意味を考えたことがあるだろうか。
ないね。あるわけない。
考えたくもない。
もしかすると「イトーダーキ? これって本名をもじってるのかしら?」とかは考えるかもしれないが、この名前のそもそもの意味まで考えるような人はいないでしょう。
大事なのは響きであり、見た目だ。
「オロナミンC」という名前から漂う、なぞの健康感。なんかわかんないけど、身体に良さそうというか、清涼感がありそうというか、オロナミンというか、Cというか、なんというか。
つくづく思うのは、カタカナの持つ謎の引力である。ひらがなよりも漢字よりも、何かのネーミングをするときにはカタカナを使うと頭に残る。これはおそらく同意が得られそうだ。
そしてかつ、カタカナで表記しつつ謎の語感と見た目を意識するとさらに頭にこびりつく。
オロナミンCは「オロナミン+C」だからこそ機能している。ネーミングの妙である。
この記事を通して、オロナミンCの名前の由来について、調べた結果を書くことはしない。なんでも答えがあると思ったら大間違いだ。
オロナミンCはオロナミンCだからこそオロナミンCなんだなぁ、と思いました。
ところで、
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