ビートルズの全13アルバム完全網羅。
非常にむずかしい。
ビートルズを語る、という行為は非常にむずかしい。カレーがどれくらい好きか、とか、ラーメンがどれだけ好きか、みたいな話なら全然むずかしくない。みんな好きだから。
でも、ビートルズはむずかしい。
知ってる人がどちらかというと少数派だから。少数派のものを語るときのマウント合戦みたいなものがビートルズにはある。
そもそも、ここでビートルズをビートルズと表記しているのが怪しい。ビートルズの正式名称は「The Beatles」である。でも、めんどいのでビートルズと書くことにする。
さて、本題に入る前に、
「この記事の想定読者様」
「この記事でわかること」
を書いておこう。
こんな感じだ。
ビートルズについて、その歴史やら名曲やらをわざわざ得意げにこのnoteに書くことほど粋じゃないことはない。そんなのは誰でもできる。ここに残すのは「私がどれだけビートルズが好きか」だけでいい。
私がこの生涯でたった一度だけ行ったライブは元ビートルズのポール・マッカートニーのライブである。これ以前も以降も、ライブには行ったことがない。
【関連】ビートルズについて過去に書いてた
この記事では、ビートルズが発表した全アルバムについて書く。楽曲全てをつぶさに紹介することは不可能なので、各アルバム中で、私がどの曲を最も好んでいるかを書く。それらの曲のどこが好きなのかも書けたらいい。おそらくすこしセンチメンタルなものになる。
断っておくがこの記事は、
と思われたいがために書く記事ではない。
好きだから書く。
そして、好きなものを知ってほしいから書く。
ここまで、すでに800文字近くを使っている。ビートルズを語るときには、最低これくらいは「歩」の駒を使っておかないと、なんと言われるか分かったもんじゃない。
さあ、どうなるか。
それではアルバム順に、
「13本」いってみよう。
絶対ヤバいぞ!
※通称「アンソロジーアルバム」は未カウント!
いくぞ!
れっと! いっと! びーー!
[1]Please Please Me
-コメント
記念すべきビートルズのデビューアルバム。まず、このジャケット写真を見てほしい。この下からのアングル。吹き抜けの空間。もうセンスがある。
「Please Please Me」という言葉遊びも絶妙だ。和訳すれば「俺を喜ばせてくださいよ」であるが、中学生のときはよくわからなかった。
-どの曲が好き?
14曲のうち、私が最も好きなのは(甲乙つけ難いが)「Do You Want to Know a Secret」かなぁ。コーラスがいい。「ドゥーラル♫」みたいなコーラスがいい。ちなみに歌詞はほんとにくだらない。
なに言ってんだ、ジョン、とツッコみたくなる。
Do You Want to Know a Secret|Youtube
[2]With The Beatles
-コメント
ビートルズの2作目アルバム。これもジャケット写真が絶妙。このアルバムに関しては、当時の1位を塗り替えるかっこよすぎる武勇伝があるのだけどここには書かない。
デビュー作同様、アップテンポな曲が多く、疾走感がある。井上陽水が影響を受けた楽曲「Till There Was You」はこのアルバムに入っている。
-どの曲が好き?
14曲のうち、私が最も好きなのは(これまた甲乙つけ難いが)「Hold Me Tight」かなぁ。これもコーラスがいいんだ。アップテンポでロックなのにそれぞれのハモリが美しい。
ポールの甲高い声が響く。サビ最後の「It's You…You,You,You」の箇所が非常に良い。あと、この曲の歌詞はとにかく抱きしめすぎ。
Hold Me Tight|Youtube
[3]A Hard Day’s Night
-コメント
ビートルズの3作目アルバム。まぁ、このあたりは映画のサントラをかねてたりするから、正直なところどうなの? と思うのだけど、良曲が揃っている。
アルバム名はリンゴ・スターの言い間違いから取られているという話は有名だから書かない。「A Hard Day's Night」の最初の「ジャーン」という音のコードが「G7sus4」なのか他のコードなのか、という論争は決着がついたのかよくわからない。
-どの曲が好き?
13曲のうち、私が最も好きなのは(またまた甲乙つけ難いが)「If I Fell」かなぁ。この曲は過去のスタエフでmoriiさんに話したことがあるのだが、私が恋に落ちるたびに聴いた曲であり、なんだか物悲しいような、なんというか、形容し難い気持ちになる。とにかく美しい曲だ。本当に美しい。本当に。
If I Fell|Youtube
[4]Beatles For Sale
-コメント
これは割とガチなのだが、ビートルズのおすすめアルバム上位5つを教えて、と言われたら、おそらくこのアルバムを挙げる。Beatles Foe Saleはこの秋の季節にちょうどいいアルバムである。もうジャケット写真に「秋」って書いてるようなもんだもんね。
-どの曲が好き?
14曲のうち、私が最も好きなのは(毎度甲乙つけ難いが)「Every Little Thing」かなぁ。いやぁ、ここは非常に拮抗している。あえて選ぶとしたらEvery Little Thingだ。
なにがいいかと言うと、ドラム音である。「ドンドン」と内臓を震わせるようにドラムが響く。少し異質な曲な気がする。
Every Little Thing|Youtube
[5]Help!
-コメント
Help!という楽曲自体はあまりに有名すぎる。なぜ「Help!」を作ったのかは、当時の彼らのかわいそうな状況があるから悲しい。このアルバムの前後から、彼らの楽曲作りのあり方が変化していく。
当時はただのアイドル集団だったビートルズが、一流のアーティストとして広く認知されていく契機となる曲がこのアルバムに収録されている。
みなさんご存知「Yesterday」だ。
-どの曲が好き?
14曲のうち、私が最も好きなのは「You're Gonna Lose That Girl」だなぁ。何度も書くが、コーラスが好きだ。ジョンの刺々しい声に、ポールらのコーラスがよく合う。
ジョンの背後で「イェシュ、イェシュ、ゴナ、リュザッガール♫」と聴こえてくるのが心地いい。マジでいい。最初から最後までずっと美しいので、この曲は、トップ10に入るかも。
You’re Going To Lose That Girl|YouTube
[6]Rubber Soul
-コメント
ラバーソウルはすごい。これもまた、好きなアルバムトップ5に入るのでないか、と思えるほどの完成度である。
このあたりから完全に、アイドルとしてのビートルズから脱却し、アーティストになっていく。恋に関する楽曲が多数を占めていたのが初期だが、ここからはいわゆる中期。
「人生」や「哲学」に関する曲が目立ってくる。
-どの曲が好き?
ここはあえて「In My Life」を選びたい。というか間違いない。好きな曲トップ5に入りそうな曲である。本当に。この曲ほど人生を謳った曲はないのではないか。
私は恋愛をするたび、引っ越しをするたび、仕事を変えるたびに「In My Life」を聴いてきた気がする。泣きそうになる曲だ。
だれにでも人生における不変の場所があり、忘れられない場所がある、いろんな人に出会って人生を過ごしてきたはず。
なんだけど。
そのどんなものも及ばない素晴らしいものがある。それがなにかというとね……を歌う曲であるね。
In My Life|Youtube
[7]Revolver
-コメント
おそらくなのだが、ビートルズマニアに「1番おすすめのアルバムは?」と聴いたらこのリボルバーが挙がるはずである。リボルバーの完成度はたしかにやばい。
これまでジョンとポールの後ろに隠れていたジョージ・ハリソンの才能が花開くアルバムであり、実験的な楽曲が多数収録されている。
ビートルズ中期を代表する名盤といえるよね。傑作と呼んでも過言ではない。私も好きだよ。
-どの曲が好き?
ここは申し訳ないが「Here, There And Everywhere」一択である。ここまで書いてきて思ったが、私は美しい曲が好きなのだな、と気づく。ポールの曲であるが、もう愛情たっぷりの曲だ。
恋人ができたら聴かせてあげたいと思ってギターのコードを覚えた昔の私だったが、披露の場はなく、いまもこの脳内にコードが刻まれているのみである。
現在、私が自宅で一人この曲をギターとともに歌っていても妻はなにも言ってこない。
おそらくこの曲を知らないのだ。
Here, There And Everywhere|Youtube
[8]Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band
-コメント
歴史に残る大傑作アルバムといっていいでしょう。ビートルズの集大成に限りなく近い。世界初のコンセプトアルバムなのだ。架空のバンドがコンサートを行っているという体裁で繰り広げられるライブアルバムである。
しかし厳密に言えば、途中からライブではなくなるから、コンセプトアルバムではない、という専門家もいる。このアルバムについては過去のスタエフで20分近く語っている。
-どの曲が好き?
あえて「A Day I The Life」を推したい。このアルバムは最初から最後まで、まるでライブ会場にいるかのような臨場感が味わえる。
A Day In The Lifeはジョンが作った曲だが、この傑作アルバムのラストに位置する楽曲だ。
おそらく、ビートルズ全213曲の中で、だれに質問しても歴代トップ3以内にランクインする曲である。それだけの楽曲かどうかは、ぜひ聴いてたしかめてほしい。
人生におけるとある1日、を切り取った歌詞、かと思えばそのメロディから感じるのは、遥か遠い宇宙の壮大なゆらめきだ。
A Day In The Life|YouTube
[9]Magical Mystery Tour
-コメント
個人的には最も好きなアルバムランキングの上位に入ってくるアルバムである。アルバムと呼んでいいのかは余地ありだが。
いつかの記事にもこのMagical Mystery Tourについて書いたことがある。
「マジカルミステリーツアー」が正しい日本語なのだが、当時耳で聴いたままに「マジカルミステリータワー」だと思っていた。マジカルでミステリーな電波塔を歌っているものだと思っていたのである。
中期ビートルズの中でも遊び心満点の楽しいアルバムであるように思う。ジョンとポールのそれぞれの代表曲もこのアルバムに収録されているよ。
-どの曲が好き?
むずかしいが、ここは結局「Penny Lane」だろう。先日の潮永さんとのスタエフを聴いてくださった三毛田さん曰く、若かりし頃のメールアドレスを「pennylane@~」としていたらしい。
非常にダサい。
さすが三毛田さんである。でも、そうしてしまう気持ちもわかる。Penny Laneはポールの曲だが、内省的なジョン・レノンと比較して、元来の明るさ、育ちの良さ、教養の高さが見える明るい曲である。
Penny Laneはなんか聴いちゃうんだよなぁ。
Penny Lane|YouTube
[10]The Beatles
-コメント
このアルバムはそのジャケットから通称「ホワイトアルバム」と呼ばれる。2枚組のアルバムで収録楽曲数が非常に多い。有名な「オブラディ・オブラダ」はこのアルバムに収録されているし、ドリフの大爆笑のテーマソングである「Birthday」もこのアルバム。
このホワイトアルバムだが、感覚的に言うと「美術館」のようである。ジャンルに縛られず、さまざまな楽曲が収録されているのだ。特にDISC2に収録されている「Revolution 9」は前衛的すぎて頭がおかしくなるから要注意。
-どの曲が好き?
これはめちゃくちゃ難しい。と、いうか、ここまで書いてなんだが、どの曲が一番好きかということを決めること自体が不可能である。
たとえば「Savoy Truffle」はイントロからして現代にも通じるおしゃれな作り。「Sexy Sadie」もなんだか物悲しくなるイントロ、不思議なリズム。「I Will」なんてこれまたポールのやさしさが詰まったラブソング。
最も思い出深いのは「Back In The U.S.S.R.」である。この曲は、私がコピーライター養成講座に通っていたとき、教室に向かう自転車に乗りながら聴いていた。飛行機の音から始まるイントロと疾走感は「これから何かをやるぞ!」というときに必ず聴くことにしていた。
Back In The U.S.S.R.|Youtube
[11]Yellow Submarine
-コメント
個人的には最もどうでもいいアルバムである。おそらくビートルズが好きな人とは意見が一致することと思う。「Yellow Submarine」は楽曲単体でみると有名ではあるのだが、ことアルバムと言われると微妙だ。
ただ、微妙ながらも良曲がちりばめられており、決して侮れないものになっている。どうしても「Yellow Submarine」は下に見られがちなアルバムなのだ。
-どの曲が好き?
うーん、どうでもいいんだよなぁほんとうに。
なので、このアルバムには好きな曲がありません。
本物のマニアはこの中からもきちんと選出すると思うんだけど、本当にどうでもよくて、選ぶ気も起こらないのが残念だ。
[12]Abbey Road
-コメント
あまりにも有名なジャケット写真ではなかろうか。当時、私が通っていた小学校の通学路に喫茶店があった。その外壁にこのジャケットイラストが外壁一面に描かれていたことを覚えている。子どもながらに「これはなんだか引き込まれるぞ?」と思っていた。
Abbey Roadに関しては実質最後のアルバムといっていい。アルバム中の「Mean Mr. Mustard」〜「The End」までの曲はすべて演奏がつながっており、メドレー形式となっている。
解散を控えたビートルズが「The End」で本当に終わる、という寂しさを感じたものである。とっくにビートルズは解散してるのに。
-どの曲が好き?
ここは「Because」を選出したい。「Because」の歌詞はもはや「詩」である。きちんと韻を踏んで、意味をもたせている。メンバーによるコーラス、ゆったりとした曲調、言語化できない浮遊感を味わえる。
Becauseの何がそんなに好きなんですか? と聴かれても困るんだけど、なんか好きなのだ。
Because|Youtube
[13]Let It Be
-コメント
ビートルズといえば「レットイットビー」ってイメージあるよね。ポールの大傑作だもんね。ビートルズのコードって簡単なものが多いから簡単に弾ける。特に「レットイットビー」は王道のカノン進行が使われていて、おそらくギター初心者でも弾ける。
途中の間奏ギターを私の父が弾くことができて、私がコードを奏で、父がギターソロを演奏する、ということを実家でたまにやったことを覚えている。うちの父が私にギターを教えてくれたとき「手始めにLet It Beから練習してみ」と言っていたが、間違いない。
実家で私と父以外の誰も聴かないセッションを、いつかまたやりたい。
-どの曲が好き?
Across The Universeももちろんいいが、ここは王道の「Let It Be」を推したい。ポールが夢から覚めて一気に作った曲だ。曲中では「マリア様が現れて、この深淵なる言葉を授けてくれるのさ」と歌うのだが、たしかこのマリア様はポールのお母さんだという話があったはずだ。
だれだって失意の底にあるときは、この曲に励まされてきたはず。
そんな曲である。
Let It Be|Youtube
おわりに
ほら、気づいたら1万字を超えた。
こんなもの誰が最後まで読むのだろう、と思いながら書いている。
もしも、今日この記事を最後まで読んでくれた方がいたら、コメント欄に「イエローサブマリン」と書いて教えてね。
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