動物園に行くたびに思い出す魔法。

以下に書くようなおとぎ話は、
想像しやすいはず。

やさしくてイケメンの王子様が、ある日突然カエルになっちゃう話。悪い魔女に魔法をかけられた王子は、だれに気づかれることなくカエルとして過ごすけれど、ひょんなことから心の綺麗な女性に拾われて…。

みたいなそんなやつ。

あるよね。

…

さて、みなさん、動物園はお好きか。

ゾウにキリン、ゴリラにパンダ、
ヒグマにダチョウにチンパンジー。

札幌に住んでいる私だが、
もう何年も動物園には行っていない。

札幌には円山（まるやま）動物園という動物園がある。札幌市民が「動物園行こうよ」と話したとき、まず浮かぶのが円山動物園だ。

友だちや恋人、だれかと一緒に動物園。
結婚してから1度か2度、妻とも行ったものだ。

動物園に行って、オリの中にいる動物たちを見て、こんなことをよく言ってたなぁ。

イトーダーキ
「ねぇ、見なよ、あのライオン。ずっと黙ってこっちを見てる。ありゃあ多分、中に人が入ってるぜ」

妻
「うわ、ほんとだ。大学生のバイトが入ってそう。時給は1,400円くらいだったりして」

ニヤニヤしながら観察する。

園内の別の場所に行き、
オランウータンを見たらこう。

イトーダーキ
「あぁ、オリの中でかわいそうに。なんだか、死んだひいおばあちゃんにソックリだ」

妻
「転生してたりして」

イトーダーキ
「じゃあ、ここから出してあげないと……」

その後も、5分くらいオランウータンを眺める。

爬虫類館に行って、カエルを見たらこうだ。

イトーダーキ
「このカエルたち、南米の失われた文明国の王子だったりして」

妻
「悪い魔法で不老不死みたいなね」

イトーダーキ
「俺をここから出してくれ！ って言ってそうな気が……」

妻
「なんかそれ、人間ぽくて、傲慢な視点だよね」

動物園にはもう、何年も行ってない。

道を歩いていて、カラスがウギャウギャ鳴いてる光景を見ると、たまに思う。

「こいつらも『元に戻してくれ』って叫んでたりして」

うーーん、傲慢だ。

＜あとがき＞
ひいおばあちゃんの生前、ひいおばあちゃんの顔を見ても、オランウータンは思い出しませんでした。しかし、動物園のオランウータンを見ると、ひいおばあちゃんを思い出すのです。不思議です。檻から出してあげたかった。今日も最後までありがとうございました。

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