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ラジオ体操おわりに遊びに誘ってほしかった。

小学校時代の夏休みといえば、朝のラジオ体操なのだが、これは全国共通なのだろうか。おそらく共通だろう。

小さなころ住んでいた町は北海道の田舎で、私の実家があったのは、その町の中でもさらにへんぴな場所だった。同年代の子どもはいたにはいたのだが、同い年の男の子の友だちは近くに住んでいない。

ラジオ体操ってのは、夏休みの朝に、家の近くの公園に集まってやるもので、なぞのお兄さんがラジオをもってきて放送をかけ、ねむけまなこで集まった子どもたちを扇動して体操をする。

体操がおわったらラジオ兄さんの前には列ができる。

その日のラジオ体操にきましたよ、のスタンプがもらうためだ。



小さなころの私はどうだったかな。
たぶん行ってた気がする。

子どもの楽しみといえば、夏休みの早朝からラジオ体操をして、だれと約束をするでもなく、近くに住んでいる友だちとそのまま遊ぶことだった。

先述のとおり、私が住んでいた場所には同年代の男の子がいなかったから、ラジオ体操おわりにだれかと遊ぶ、ということは少なかった気がする。

私より下の世代の子どもたちが多かったので、その子たちはその子たちで固まって遊んでいたような。



小学校5年生か6年生のとき、スタンプを押してくれるなぞのラジオ体操兄さんに、私がなる番がやってきた。立候補したのかなんなのか覚えていない。あのスタンプはどこから支給されたものなのか、いまとなってはよくわからない。

なぞのラジオ兄さんとして、家にあったラジオの周波数を確認し、朝早くおきて公園に行く。

チャリで行ってた気がする。
公園には3分でつく距離。


なぞのラジオ兄さんである私がチャリでやってくると、すでに公園にきている下の世代の子どもたちが、ぽこぽこと体操の準備をする。私がラジオを流す。田舎の朝の公園に音声が流れる。

なぞの男の人がどこかの会場から叫ぶ音声だ。

あれは謎だ。
全国各地をまわっているんだろうか。


ラジオ体操第一、第二でフンフン言いながらみんなで体操をして、それが終わるとスタンプを押す時間になる。ここまで書くと、そのスタンプを押したときの何か特別なエピソードがあるような気もするが、正直なところ、何も覚えていない。


覚えているのは、スタンプを押され終わった子どもたちがほくほくしていた様子と、そのあと外でゲームボーイやベイブレードで遊ぶ様子。


もひとつ覚えているのは、この体操のあと朝7時台からだれかと遊べたら、どれだけ楽しいだろうか、という私の気持ち。


ラジオ体操おわりに遊びに誘ってほしかった。


<あとがき>
でも思うのは、きっと誰かと遊んでいたはずだな、ということです。でもこういう気持ちがあったことは事実なので、満たされていなかったのかと思われます。あのときあの公園にいた子どもたちはとっくに大人になっていて、この社会で生きているんだな、と思うと不思議な感覚になります。今日もありがとうございました。

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