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蝶の昼

今日は、外にも出ずゆったりと家で過ごした。
洗濯機を回したり、食事のためのご飯を作ったり、溜まっている本を読んで、眠くなったら昼寝する。良い休日だ。

日常は他人とのしがらみが多すぎる。
意志の弱い私は、大して行きたくもない誘いを断り切れず、自分の時間を切り売りしては、理由を付けて何とかそれに意味を見出そうする。どこかしらエンターテイナー気質な私としては、フットワークの軽さが売りではあるのだが、人と居る時間というのはどこかの機関がじわりじわりと疲弊する。まるで鱗粉のような遅効性の毒に、自らが静かに当てられているみたいに。


草花にとまって休む蝶の様子を「眠る蝶」と表したり、麗らかに晴れた春の日中を「蝶の昼」と呼んだりするようだ。

洗濯物を取り込もうと窓を開ければ、
一匹の蝶が、世界の継ぎ目を縫うように目の前を横切った。

蝶の昼(ちょうのひる)

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