茎立
春、温かい日が続いて、大根や蕪などの花茎がぐんぐん伸びることを「茎立(くくたち)」という。一般的には、「薹(とう)が立つ」という言い方のほうが馴染みが深いか。つい、袋入りで買った人参なんかを使いきれず、鬆(す)が入るまで置いてしまった時とかは、申し訳なく思う。
薹(とう)が立つ。でも、この表現はあまり好きじゃない。
なんでって、人に使う輩がいるからだ。
大根や蕪だって、いかに太陽を効率よく受けるか研究し、葉を放射状に広げては、開花のため一心に茎を伸ばしたのだ。
どんどん高く、もっと高く。
頭には王冠。南瓜の馬車はないけれど。
いいんじゃないの、上を目指しても。
ほら、築いた根城に、塔が建つ。
茎立(くくたち)
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